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路地裏のウィーニー  作者: みゃーじま
第五章 アウトローのアウトロー
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第87話 神の意図 〜神が仕組んだSacrifice 知らぬまま立つHalf Blood Life 悪魔と並ぶそのChoice 世界を割って響くVoice〜

 悪魔に目を奪われていたシルヴァーナの横で、ソルセリオンが小さく言った。


「限界か、女王?」


 シルヴァーナが振り返ると同時に、腹に衝撃が走る。


ドンッ!!


「うっ!」


 シルヴァーナの背中が地面に叩きつけられた。


 ソルセリオンを拘束していた蔦は、いつのまにか枯れていた。


 シルヴァーナが立ち上がろうとした、その時。

大地から伸びた金の光が、巻き付いた。


 今度はシルヴァーナが拘束される。


「形勢逆転。どうする、女王?」


「くっ! まだ、体は戻らぬか……」


 ソルセリオンの仮面の下の口が吊り上がった。


「女王が、言い訳か」


 その時、セラが地面を蹴った。


「私がやるっ!」


 振り上げた剣。


 ソルセリオンは、セラに手を翳した。


「セラ」


 その瞬間、セラの動きが止まった。


「くっ! な、何、これ……」


 セラは、剣振り上げたまま、ソルセリオンの光に拘束された。


 ソルセリオンは、セラに顔を寄せた。


「そなたは、どこまで勘違いするつもりだ」


 琥珀色瞳が、セラの瞳を射抜く。


「合いの子では、神を“やれぬ”」


 ソルセリオンの光が、セラとシルヴァーナを締め上げる。


「ぐっ、ぐぐ……」


 ソルセリオンは、小さく息を吐くと、剣を抜いた。


「もうよい、セラ。そなたは──眠りなさい」


 ソルセリオンが、刀を振った。

白い刃が、一直線にセラの首に向かう。


 その瞬間、ソルセリオンの視界の端に金の光が差し込んだ。


「させねえっ!!」


 白刃が、セラの首筋に触れた、その瞬間──


バキッ!!


「っ!!」


 ソルセリオンの仮面が砕けた。


 ウィーニーの拳が──間に合った。


「……ウィーニー」


 ソルセリオンの体が地面に叩きつけられた。


「セラ! 大丈夫か!?」


 ウィーニーは、倒れたセラを抱き起こした。


「ウィーニー……」


「た……助けに来た」


 ソルセリオンは、笑みを浮かべながら、スッと立ち上がり、ウィーニーを見下ろした。


「なるほど。君だったか」


 ウィーニーは、ソルセリオンを睨みつけた。


「何だよ、てめえ。どうして、神がセラを傷付けるんでえ!」


 ソルセリオンは、それに答えず続けた。


「君が、もう一人のハーフゴッドか」


「ハーフゴッド? 何のことだ!」


「……知らぬのか」


 その時、ソルセリオンの顔を炎の球が掠めた。


「シャクール!」


「ゴキブリが! オレ達の仲間に手出すんじゃねえ!!」


 ソルセリオンは、目を細めた。


「悪魔が、仲間、だと?」


 今度は頭上で風を切る音。


 ソルセリオンが後ろに飛んだ。


 地面に巨大な影が落ちた。


ズドオオォォンッ!!


 隕石。


 舞い上がった砂煙の中に、一本角が浮かぶ。


「ロベルト!!」


「お前が、神のリーダーかぁ?」


 ソルセリオンは、僅かに首を傾げた。


「ハーフゴッドが、悪魔と共にいるとは──世も末だ」


 ウィーニーは、ソルセリオンに拳を向けた。


「だから、どうだってんだ!」


 ソルセリオンは、割れた仮面を投げ捨てた。


「君の名前は、何と言う?」


「あん? オレは、ウィーニーだ!」


「ウィーニー……そうか」


 ソルセリオンは空を見上げながら呟いた。


「哀しいことだ。神の意図が、その犠牲が報われぬとはな」


「何言ってやがる! 一体何のことだ!?」


 ソルセリオンは身を屈めた。

その背中に純白の翼が広がる。


 ウィーニーは叫んだ。


「逃げんなっ!」


 ソルセリオンは、地面を蹴って高く舞い上がった。


「セラ。そして──ウィーニー。これ以上、神を失望させてくれるな」


「降りてこい、てめえ! 話はまだ終わってねえ!」


 ソルセリオンは、無表情のまま地上を見下ろした。


「我々の命は永遠。時はいくらでもある──焦るな、ハーフゴッドよ」


 ソルセリオンは背を向けると、ロベルトに視線を落とした。


「悪魔よ。それが、魔族の答えか?」


「あん?」


「これで休戦協定は、破られた。しかと準備しておくがよい──魔王ダマトの使いよ」


 そう言い残すと、ソルセリオンは壱番街の方へ飛び去っていった。


 ロベルトは、その背を見ながら顔を顰めた。


「ああん? ダマトだぁ?」


 ウィーニーは、自分の拳を見つめた。


「確かに捉えた。でも──感触が無かった……何も」


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