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路地裏のウィーニー  作者: みゃーじま
第五章 アウトローのアウトロー
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第77話 名前を置きに来た 〜爆ぜた聖地に沈むLow light 勝敗さえも揺らすOne fight 立ったまま眠る路地裏のFlame 伝説の島に刻むそのName〜

 路地裏と伝説が──ぶつかった。


 光が弾け飛ぶ。


 衝撃──いや、爆発。


 その場にいた全員が、宙を舞った。


 中心の二人を除いて。


 ゆっくりと光が闇に溶けていく。


 音が消えていた。


 二つの拳が、触れ合ったまま、止まっている。


 巨体が、フラリと揺れた。


ドスンッ!


 ジャックは、尻もちをついた。


 ウィーニーは、拳を突き出したまま、微動だにしない。


 シャクールの震える口から、言葉が漏れた。


「か……勝った……のか?」


 ロベルトは、膝をついたままウィーニーを見上げて言った。


「……いや」


 尻もちをついたジャックは、座り込んだまま笑った。


「ハハッ。全く……とんでもねえガキじゃねえか」


 シャクールは、慌ててジャックを振り返った。


「ふ、不死身かよ……」


 ロベルトは、ウィーニーに近づくと、その顔を覗き込んだ。


「ガキィ。立ったまま気絶してやがるぜぇ」


 ジャックはゆっくりと立ち上がると、自分の拳を見つめて呟いた。


「このガキ、神の力だけじゃねえ。魔族の力も感じた」


 ジャックは、ロベルトの方を見て言った。


「このガキ、何者だ?」


 ロベルトは、手を広げて肩をすくめた。


「わからねえんだぁ。オレ達にも」


 静まり返ったロックンロールアイランド。


 再び、ジャックの豪快な笑いが響いた。


「ブワハハハハッ!! 面白え奴らだ、ストリートデビルズ! 覚えておいてやるぜ」


 シャクールは、その場にへたり込んだ。


「これで……終わりってこと、か?」


 ロベルトは、ジャックを見上げて言った。


「どうなんだ?」


 ジャックはニタリと笑って背を向けた。


「タイマンだ。そのガキが動けねえなら、終わりだ」


「……つまり、オレ達の負──」


 言いかけたシャクールを遮るようにジャックが言った。


「今回は、引き分けにしておいてやる」


「へ?」


 ジャックは、ヘルズロッカー達に向かって言った。


「帰るぞ、野郎共!」


 一斉にバイクのエンジンがかかる。


 ジャックはバイクに跨がると、フリークス達を振り返った。


「久々に楽しい喧嘩だったぜ! ありがとよ!」


 ロベルトは静かに返した。


「ああ」


「ところでよぉ、お前ら、この島に何しに来たんだ?」


 ロベルトは、頭をかきながら答えた。


「上から、喧嘩してこいって言われてよぉ。それ以上は、オレも知らねえ」


 ジャックは、フリークス達をゆっくり見回して言った。


「ストリートデビルズ。お前らのボスは誰だ?」


「オレ達のボスは、デヴィン。──キングデヴィンだ」


 ジャックの目が、一瞬揺れた。


「デヴィン……だとぉ?」


「ああ。知ってるのか?」


 ジャックは、目を閉じ鼻で笑った。


「知らねえなぁ、そんなやつ」


「そうか」


 ジャックは、立ち尽くしたままのウィーニーを見て言った。


「そんなことより、そのガキ、目ぇ覚ましたら言っとけ。てめえの言葉は本物だったってなぁ!」


「ジャック……」


「ロックンロール、ベイビー!! じゃあなぁ!!」


 そう叫ぶと、ヘルズロッカー達は爆音を轟かせながら、暗闇へ消えていった。


 ロベルトは、大きく息を吐いた。


「ふう。帰るぞぉ」


 シャクールは、三匹のトラッシュを指差した。


「おい、お前ら! ウィーニーを担いで運べ! お前らの──ボスだろ」


 三匹のトラッシュが顔を見合わせた。


「うぃす」

「うす」

「……おす」


 フリークス達は、伝説が眠るロックンロールアイランドを後にした。


 ヘルカ・オルカの背に揺られながら、シャクールは、ロベルトに話しかけた。


「なあ、ロベルト。オレ達は、マジでこの島に何しに来たんだ? 本当にオスカーは、喧嘩してこいって?」


 ロベルトは、前を見据えたまま答えた。


「知らねえなぁ。インテリの考えることはよぉ」


 シャクールは、小さくなっていく島を振り返って言った。


「伝説のアウトロー、ジャックか……。たしかに、とんでもねえ伝説だったなぁ」


 そして、横で眠るウィーニーに視線を落として言った。


「お前もな……ウィーニー」


 一方、アジトに戻ったジャックは、ジョッキを傾けながら言った。


「キング・デヴィン……。ふん、お前がキングとはなぁ」


 ヘルズロッカーの一人が、空になったジャックのジョッキにビールを注いだ。


「ジャック。あのガキ共、ここに何しに来たんだ?」


 ジャックは天井を見上げ少し間を開けて言った。


「──名前だ」


「名前?」


「ああ。あいつらは、この島に名前を置きに来た。ストリートデビルズ──そのボスの名をなぁ」


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