第72話 ヒッター・ウィーニー 〜ここでもねえオレのゴール これは通過点 まだ止まる気はねえ 最前線から頂点へ 路地裏のガキが 全部ひっくり返すぜ〜
「Hey Yo ウィーニー!! どこ行くつもりだ!」
「シャクール。いや、どこって、いつも通り偵察だよ」
「ハッハッー! お前はもうランナー、クビだってよ!」
「クビ!?」
「もう自由気ままな一人行動は許されねえぞ!」
ウィーニーは、頭を抱えた。
「そ……そんなぁ……。やっぱりあの時、ビルから自分で飛ばなかったからか。……結局ロベルトに助けてもらわなきゃ何も出来ないから……」
シャクールは、落ち込むウィーニーの肩を叩いた。
「何落ち込んでんだよ? 今日から、ヒッターだぞ、お前」
「え!?」
「もう一人行動は出来ねえ。ランナーに指示出して、トラッシュ率いて最前線に立つんだ!」
ウィーニーの瞳が大きく揺れた。
「オレが……ヒッター……。オレ……」
「やったな、ウィーニー! さあ、ラップしろ!」
「え?」
「え? じゃねえ! ヒッターとしての心意気を、刻むんだよ!」
「心意気を刻む……」
「そうだ!フリークス、ビートだ!」
ドン! ドン!
フリークス達は、胸を叩き始めた。
ドン! ドン!
シャクールは、ウィーニーの背中を軽く押して言った。
「ほらいけ。聞かせろよ、今のお前の心の声」
「オレの心の声……」
ドン! ドン! ドン!
「Yo……」
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Yo いいのかオレがヒッターで
ロベルト 本気か?
Yo いいのかオレがヒッターで
シャクール 本当か?
Yo いいのかオレがヒッターで
フリークス マジで言ってんのか?
一人じゃ何も出来ねえ 赤くもねえ
角もねえ 力もねえ
何もねえ オレがヒッターで
立てるのか 最前線なんかに
……本当に、いいのか? オレなんかで……
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シャクールとフリークス達は天を仰いだ。
「おい、ウィーニー……何だそのふざけたラップは……」
「……こんなやつが、ヒッターって……」
ざわつくフリークス。
「やっぱり、まだ早すぎたんだろ、これ……」
ウィーニーは、フリークスの反応を見て、ニヤリと笑った。
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ハハ! いいに決まってる
オレがヒッター ウィーニー 今日から最前線
赤くねえ? 見えねえのか 芯で燃えるこの炎
角がねえ? 聞こえねえのか 敵突き刺すこの信念
強くねえ? だったら立てねえ この境界線
置いて来たぜ撤退線 一人じゃねえから前へ出る
臆病風は置いてきた あのビルの上に 置いてきた
震えてた拳も 今じゃ合図だ
下向いてた目も 今じゃ合図だ
走れランナー 道を開けろ
吠えろトラッシュ 壁を砕けろ
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シャクールは、目を見開いた。
「ウィーニー……お前……」
そんなシャクールを見て、ウィーニーはイタズラっぽく舌を出して笑った。
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Yo シャクール そこ驚いてる場合じゃねえ
エースヒッター その地位 絶対じゃねえ
次は ウィーニーが座る そこの位置
油断してたら 超えてく その高み
ヒッター ここでもねえ オレのゴール
これは通過点 まだ止まる気はねえ
最前線から頂点へ
路地裏のガキが 全部ひっくり返すぜ
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シャクールは、目を覆い隠した。
「このやろう……やるじゃねえか……」
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Yo フリークス 聞こえてんなら胸を叩け
ビート フロウで街を揺らせ
神が光なら こっちは火種
泥から燃え上がる 路地裏の眺め
笑われたネーム でもブレねえエイム
半端モン全部 ここに並べ
弱えから始まる ここからがスタート
変えるぜ世界 それがホンモンだ
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「……」
フリークス達は、沈黙した。
そして。
「うおおおおぉぉ!! 最高だ、ウィーニー!!」
「ウィーニー! ウィーニー! ウィーニー!」
大歓声。
フリークス達が突き上げた拳は、力強く握られていた。
その歓声に、ウィーニー自身が痺れていた。
「み……みんな……」
シャクールの瞳が大きく揺れた。
「ウィーニー……お前……」
「シャクール──」
その時。
ガツンッ!
シャクールのゲンコツが、ウィーニーの頭に落ちた。
「痛えっ! 何すんだよ、シャクール!」
「エースヒッターの位置が何だってぇ?」
ウィーニーは頭を掻いて照れくさそうに言った。
「へへ。ごめん、言い過ぎたかな」
シャクールは、遠くを見ながら静かに笑った。
「ハハ。いや、最高だったぜ」
少し離れたコンテナの上から、歓喜に沸くフリークスを見ていたロベルトは、静かに呟いた。
「ちったぁデビルズらしくなってきたかぁ?」
ロベルトは立ち上がると、カクテルグラスを傾けた。
「気張れよ……ガキィ」




