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路地裏のウィーニー  作者: みゃーじま
第五章 アウトローのアウトロー
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第72話 ヒッター・ウィーニー 〜ここでもねえオレのゴール これは通過点 まだ止まる気はねえ 最前線から頂点へ 路地裏のガキが 全部ひっくり返すぜ〜

「Hey Yo ウィーニー!! どこ行くつもりだ!」


「シャクール。いや、どこって、いつも通り偵察だよ」


「ハッハッー! お前はもうランナー、クビだってよ!」


「クビ!?」


「もう自由気ままな一人行動は許されねえぞ!」


 ウィーニーは、頭を抱えた。


「そ……そんなぁ……。やっぱりあの時、ビルから自分で飛ばなかったからか。……結局ロベルトに助けてもらわなきゃ何も出来ないから……」


 シャクールは、落ち込むウィーニーの肩を叩いた。


「何落ち込んでんだよ? 今日から、ヒッターだぞ、お前」


「え!?」


「もう一人行動は出来ねえ。ランナーに指示出して、トラッシュ率いて最前線に立つんだ!」


 ウィーニーの瞳が大きく揺れた。


「オレが……ヒッター……。オレ……」


「やったな、ウィーニー! さあ、ラップしろ!」


「え?」


「え? じゃねえ! ヒッターとしての心意気を、刻むんだよ!」


「心意気を刻む……」


「そうだ!フリークス、ビートだ!」


ドン! ドン!


 フリークス達は、胸を叩き始めた。


ドン! ドン!


 シャクールは、ウィーニーの背中を軽く押して言った。


「ほらいけ。聞かせろよ、今のお前の心の声」


「オレの心の声……」


ドン! ドン! ドン!


「Yo……」


────────────────────

Yo いいのかオレがヒッターで

ロベルト 本気か?

Yo いいのかオレがヒッターで

シャクール 本当か?

Yo いいのかオレがヒッターで

フリークス マジで言ってんのか?


一人じゃ何も出来ねえ 赤くもねえ

角もねえ 力もねえ

何もねえ オレがヒッターで

立てるのか 最前線なんかに

……本当に、いいのか? オレなんかで……

────────────────────


 シャクールとフリークス達は天を仰いだ。


「おい、ウィーニー……何だそのふざけたラップは……」

「……こんなやつが、ヒッターって……」


 ざわつくフリークス。


「やっぱり、まだ早すぎたんだろ、これ……」


 ウィーニーは、フリークスの反応を見て、ニヤリと笑った。


────────────────────

ハハ! いいに決まってる

オレがヒッター ウィーニー 今日から最前線

赤くねえ? 見えねえのか 芯で燃えるこの炎

角がねえ? 聞こえねえのか 敵突き刺すこの信念

強くねえ? だったら立てねえ この境界線


置いて来たぜ撤退線 一人じゃねえから前へ出る

臆病風は置いてきた あのビルの上に 置いてきた


震えてた拳も 今じゃ合図だ

下向いてた目も 今じゃ合図だ

走れランナー 道を開けろ

吠えろトラッシュ 壁を砕けろ

────────────────────


 シャクールは、目を見開いた。


「ウィーニー……お前……」


 そんなシャクールを見て、ウィーニーはイタズラっぽく舌を出して笑った。


────────────────────

Yo シャクール そこ驚いてる場合じゃねえ

エースヒッター その地位 絶対じゃねえ

次は ウィーニーが座る そこの位置

油断してたら 超えてく その高み

ヒッター ここでもねえ オレのゴール

これは通過点 まだ止まる気はねえ

最前線から頂点へ

路地裏のガキが 全部ひっくり返すぜ

────────────────────


 シャクールは、目を覆い隠した。


「このやろう……やるじゃねえか……」


────────────────────

Yo フリークス 聞こえてんなら胸を叩け

ビート フロウで街を揺らせ

神が光なら こっちは火種

泥から燃え上がる 路地裏の眺め


笑われたネーム でもブレねえエイム

半端モン全部 ここに並べ

弱えから始まる ここからがスタート

変えるぜ世界 それがホンモンだ

────────────────────


「……」


 フリークス達は、沈黙した。


 そして。


「うおおおおぉぉ!! 最高だ、ウィーニー!!」


「ウィーニー! ウィーニー! ウィーニー!」


 大歓声。

 フリークス達が突き上げた拳は、力強く握られていた。


 その歓声に、ウィーニー自身が痺れていた。


「み……みんな……」


 シャクールの瞳が大きく揺れた。


「ウィーニー……お前……」


「シャクール──」


 その時。


ガツンッ!


 シャクールのゲンコツが、ウィーニーの頭に落ちた。


「痛えっ! 何すんだよ、シャクール!」


「エースヒッターの位置が何だってぇ?」


 ウィーニーは頭を掻いて照れくさそうに言った。


「へへ。ごめん、言い過ぎたかな」


 シャクールは、遠くを見ながら静かに笑った。


「ハハ。いや、最高だったぜ」


 少し離れたコンテナの上から、歓喜に沸くフリークスを見ていたロベルトは、静かに呟いた。


「ちったぁデビルズらしくなってきたかぁ?」


 ロベルトは立ち上がると、カクテルグラスを傾けた。


「気張れよ……ガキィ」


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