表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/85

戦史記録④

────────────────────

《戦史記録:六番街動乱》


 本記録は帝国軍壱番街司令部による公式戦闘記録である。

 なお本戦闘は、記録者自身も生存が絶望視された極限下にあった。記述に乱れがあること、先に詫びておく。

────────────────────


【ワイルドブラッド、六番街教会を奇襲】

 帝国軍が南の森突破作戦を翌朝に控えた深夜、ワイルドブラッドが先んじて六番街の教会を急襲した。

 先頭にはリーダーと思われる赤髪の女が、黒い獅子に跨り、巡回兵および見張りを瞬時に制圧。続いてスケイルライダーズ、バシリスク騎兵、ラビットファイターの歩兵が雪崩れ込んだ。

 帝国軍は完全な奇襲になす術なく、戦線が崩れた。

 記録者注:我々は「攻める側」だと信じて疑わなかった。森は、我々が動くより先に動いた。


【ファントム将軍、戦場に介入】

 ワイルドブラッドによる殲滅が進む中、死亡したと思っていたファントム将軍とその部下が現れ、これを制止しようとした。両者の間には、戦いの是非を巡る思想の対立があったように見えた。

 二十五年前、本部はファントム将軍を拘束し、指揮権を奪い、南方森林地帯の伐採を厳命した。ワイルドブラッドが蜂起し、本部は爆撃を命じ、町と森を焼いた。現在の六番街は、その焼け跡である。

 奴らが二十五年を経て奪還に来たのは、必然だった。我々が、蒔いた種だ。


【アンデッド大軍、到達】

 交戦の最中、ブラックゲートより南下したアンデッドの大軍が到達。数、計測不能。先頭にネクロマンサー、そして死霊の王モルドレク。

 モルドレクの一撃で教会は両断。アークキャノンの狙撃も、奴に届く前に消えた。ネクロマンサーの障壁と思われる。

 戦場は、帝国軍、ワイルドブラッド、アンデッドの三つ巴となった。


【ストリートデビルズ、介入】

 絶望の中、悪魔の集団ストリートデビルズが乱入した。指揮はマニーと呼ばれていた。

アンデッドを一時、押し返した。

 奴らは我々を助けに来たのではない。街を骨に渡さぬ、それだけの理由で動いた。だが、おかげで我々は生きた。認めたくはないが、事実だ。


【モルドレク、完全顕現】

 ネクロマンサーが力を送り続け、モルドレクは膨れ上がった。倒した骨が、即座に起き上がる。何度倒しても、起き上がる。デビルズの主力すら捕らえられた。

 もう、駄目だと思った。

 私は、剣を抜いた。

 神などおらぬと、神父に怒鳴った。


【神の、軍隊】

 夜明けと共に、東の空から、降りてきた。

 無数の。整然と並んだ。何かが。

 あのシスターの歌が、終わった直後だった。

 神父は「主よ」と言った。泣いていた。

 神などおらぬと、私は言った。

 たった今。言ったばかりだ。

 なのに。

 あれは、何だ。

 あの光は、いったい──


【損害報告】

 六番街守備隊、壊滅。アークキャノン損失。教会、全壊。

 ワイルドブラッド、スケイルライダーズに甚大な損害。

 その他の損失、数えきれず。記録、追いつかず。


────────────────────

記録者 後記


 メカが黙り、骨が甦り、森が牙を剥き、空から神が降りた。

 一夜で、世界は何度も姿を変えた。

 あの少年と、あのシスター。

 二人を包んだ、金色の光。

 あれは何だ。

 私は、何を見ている。

 とにかく。

 夜は、明けた。それだけは、確かだ。

────────────────────


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ