戦史記録④
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《戦史記録:六番街動乱》
本記録は帝国軍壱番街司令部による公式戦闘記録である。
なお本戦闘は、記録者自身も生存が絶望視された極限下にあった。記述に乱れがあること、先に詫びておく。
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【ワイルドブラッド、六番街教会を奇襲】
帝国軍が南の森突破作戦を翌朝に控えた深夜、ワイルドブラッドが先んじて六番街の教会を急襲した。
先頭にはリーダーと思われる赤髪の女が、黒い獅子に跨り、巡回兵および見張りを瞬時に制圧。続いてスケイルライダーズ、バシリスク騎兵、ラビットファイターの歩兵が雪崩れ込んだ。
帝国軍は完全な奇襲になす術なく、戦線が崩れた。
記録者注:我々は「攻める側」だと信じて疑わなかった。森は、我々が動くより先に動いた。
【ファントム将軍、戦場に介入】
ワイルドブラッドによる殲滅が進む中、死亡したと思っていたファントム将軍とその部下が現れ、これを制止しようとした。両者の間には、戦いの是非を巡る思想の対立があったように見えた。
二十五年前、本部はファントム将軍を拘束し、指揮権を奪い、南方森林地帯の伐採を厳命した。ワイルドブラッドが蜂起し、本部は爆撃を命じ、町と森を焼いた。現在の六番街は、その焼け跡である。
奴らが二十五年を経て奪還に来たのは、必然だった。我々が、蒔いた種だ。
【アンデッド大軍、到達】
交戦の最中、ブラックゲートより南下したアンデッドの大軍が到達。数、計測不能。先頭にネクロマンサー、そして死霊の王モルドレク。
モルドレクの一撃で教会は両断。アークキャノンの狙撃も、奴に届く前に消えた。ネクロマンサーの障壁と思われる。
戦場は、帝国軍、ワイルドブラッド、アンデッドの三つ巴となった。
【ストリートデビルズ、介入】
絶望の中、悪魔の集団ストリートデビルズが乱入した。指揮はマニーと呼ばれていた。
アンデッドを一時、押し返した。
奴らは我々を助けに来たのではない。街を骨に渡さぬ、それだけの理由で動いた。だが、おかげで我々は生きた。認めたくはないが、事実だ。
【モルドレク、完全顕現】
ネクロマンサーが力を送り続け、モルドレクは膨れ上がった。倒した骨が、即座に起き上がる。何度倒しても、起き上がる。デビルズの主力すら捕らえられた。
もう、駄目だと思った。
私は、剣を抜いた。
神などおらぬと、神父に怒鳴った。
【神の、軍隊】
夜明けと共に、東の空から、降りてきた。
無数の。整然と並んだ。何かが。
あのシスターの歌が、終わった直後だった。
神父は「主よ」と言った。泣いていた。
神などおらぬと、私は言った。
たった今。言ったばかりだ。
なのに。
あれは、何だ。
あの光は、いったい──
【損害報告】
六番街守備隊、壊滅。アークキャノン損失。教会、全壊。
ワイルドブラッド、スケイルライダーズに甚大な損害。
その他の損失、数えきれず。記録、追いつかず。
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記録者 後記
メカが黙り、骨が甦り、森が牙を剥き、空から神が降りた。
一夜で、世界は何度も姿を変えた。
あの少年と、あのシスター。
二人を包んだ、金色の光。
あれは何だ。
私は、何を見ている。
とにかく。
夜は、明けた。それだけは、確かだ。
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