第57話 お仕置きのラピッドファイア 〜世界はお前らのもんじゃねえ 味わってみるか恐怖と絶望〜
「お仕置きだぁ!!」
マニーの声が戦場に響き渡ると、全ての目が、デビルズに向いた。
マニーが叫んだ。
「Yo フリーーークス!」
ドンッ!
ロベルトが胸を叩いて応える。
「Yo ドーーールズ!」
ドンッ!
今度はシュガー。
マニーの牙がキラリと覗いた。
「ブチかますぞおおぉぉぉ!」
ドン!
ドン!
ドン!
デビルズが、胸を叩きビートを刻み始めた。
ウィーニーは身震いした。
ドンドンドンドン、ドドン!
「ん? なんかリズムが……」
ドンドン、ドドドドドドド!
「早くなってる?」
シャクールが、横目でウィーニーを見下ろした。
「マニー、"ザ・ラピッドファイア(高速連打)"。聞いとけ、痺れるぜ」
「ラピッドファイア……」
ドドドドドドドドドドドドッ!
マニーの足元からフワリと赤いオーラが立ち登った。
「もう、止められねえぜ──Yo」
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Yo 人間 まずてめえらだ 聞いとけ おい
グダグダ グダグダ 何度も同じ
メカに焼かれても まだ学ばねえ
今度は踏んじまったか 森のRed Line
起こしちまった 死に損ないの大将
撃って消されて あとは待つだけDead Line
だっせえ だっせえ てめえら何がしてえ
世界はお前らのもんじゃねえ
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ウィーニーは、教会の方を見てリリックをなぞった。
「森のレッドライン、あとは待つだけデッドライン……」
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Yo 森の獣ども お前らも聞け
ガウガウ吠えても 恨みに呑まれ
奪われたから 奪い返す?
その土俵 乗ってんなら 人間と同じだぜ
煩悩に侵された その本能
牙を剥いても 濁ってる衝動
だっせえ だっせえ てめえら何がしてえ
守る森まで 血で汚してえ?
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アックスを握るファントムの手が緩んだ。
「煩悩に侵された……本能、か」
シルヴァーナの曲刀。
その切先がわずかに下がった。
「ストリートデビルズ」
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で、てめえらだよ Yo "死に損ないども"
意思もねえ 信念もねえ 空洞ども
神がいねえ だからちょうどいい?
死の隙間から 湧いただけ 名無しども
神の都合で動いてんのか クソ雑魚ども
死霊の王? そんなもん王じゃねえ
腐り果て 玉まで無くしたか でくのぼう
神より怖えモノ 教えてやるぜ 死に損ない
初めて味わってみるか 恐怖と絶望
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モルドレクが低い唸り声を上げた。
「グオォォォォ」
ネクロマンサーが、杖を握り締めた。
「ギギ……」
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おう おう おう オレのリリック
ブッ刺さっちまってんじゃねーか No King
教えてやるぜ腐れやろう
てめえが腐ったのは体じゃねえ その Soul
魂がねえから 腐るんだわ No Soul
安心しろ 今夜片付けてやる この騒動
オレは、マニー・ザ・ラピッドファイア
焼き尽くすお前らの妄想
止めてやるお前らの行進 衝動 行動
言っただろ
今宵は喧嘩でもねえ まして戦争でもねえ
ただのお仕置きだ 今そっち行くからなぁ
ケツ出して まっとけ 死に損ないがぁ!
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ウィーニーの瞳が揺れた。
マニーは、ただ罵っているんじゃない。
戦場にいる全員の痛いところを、真っ直ぐ撃ち抜いている。
言い訳の余地もない心臓を、高速連打で撃ちまくる。
誰一人言い返せない。
ウィーニーは拳を握った。
「世界はお前らのもんじゃねえ……カッコイイ……オレも、いつか……」
戦場に沈黙が落ちる。
誰一人、動かない。
シャクールが、ウィーニーの肩をポンと叩いた。
「驚くのはまだ早えぞ」
「え?」
マニーは、拳を高々と掲げた。
「出てこいやぁぁぁぁ!」
ウィーニーは首を傾げた。
「ヘルエナ?」
シャクールは指を振った。
「チッチッチッ」
マニーはその拳を、地面に突き刺した。
ズドンッ!!
同時に巨大な火柱が上がる。
ボンッ!
火柱の中から、大きな影がヌウッと歩み出た。
「……なんか、出てきた!」
シャクールが笑った。
「ヘルパニッシャー(地獄の仕置人)。マニーのペットだ」
「ペットって……」
巨大な角を持った獣人。
赤い肌。
漆黒の翼。
手には、巨大なハンマー。
マニーは、狼狽えるウィーニーに視線を向けた。
「お仕置きだ。そう言っただろ」
シュガーが甲高い声で笑った。
「キャハハハハ! さあ、行くでぇ! フリークス、ロベルト! アンタらの出番はあらへんでぇ!」
シュガーは、ロベルトを見た。
「え。おらへん?」
ロベルトは、すでに飛んでいた。
「先に行くぜぇ」
「チッ! いちいちムカつく奴やわぁ」
デビルズが、一斉に丘を駆け降りる。
その夜、戦場のビートは、悪魔達のものになった。




