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第48話 金色の瞳 〜森に響いた死の足音 牙も刃も届かぬ鼓動 灰になるNight 闇を裂くLight〜

第48話


「トロール」

「トロール」

「トロール」


 ウサギ達の矢が一斉にトロールに向く。


 左右両側の茂み、背後から飛び出して来た3体の巨大なトロールは唸り声を上げた。


「ガウゥゥゥ!!」


 セラは鼻を抑えた。


「うっ。この匂い」


 シルヴァーナが舌打ちをした。


「ちっ、アンデッド」


 背後のトロールは、軽装のヴァンガード達を掴み、次から次へと地面に叩きつけた。


「アーチャー!」


 シルヴァーナの声を合図に、ウサギ達が一斉に矢を放つ。


タンタンタンタンタン!


 トロールの胸に無数の矢が突き刺さる。


「グアァァァァ!!」


 しかしトロールは、構わず隊列に突っ込んだ。


 突き飛ばされたヴァンガードは、地面、木に叩きつけられ、そのまま絶命していく。


 シルヴァーナは、左のトロールの足元をくぐり抜け、膝裏に短剣を突き刺す。


「すまん、森よ。火を使う!」


 ファントムはそう言うと、右から迫るトロールに火炎瓶を投げつけた。


 2体のトロールは、一瞬足が止まった。


 蔦が解かれたファルコン少佐は、地面を這いながら、来た道を逃げた。


 背後で轟音が続く。

 振り返らなかった。

 振り返れなかった。


「将軍……生きておられた」


 ファルコン少佐は、唇を噛んだまま闇の中を走った。


 シルヴァーナはウサギ達に向かって叫んだ。


「ライダーズ!!」


 その声と同時、森の茂みが大きく揺れた。


ズン!


 地響きと共に茂みが割れる。


 セラが目を見開いた。


「こっ……これは……」


 シルヴァーナが呟く。


「スケイルライダーズだ。下がっていろ、小娘」


 巨大なオオトカゲの背に矢倉。

 その矢倉には、長槍を持ったウサギが数頭。


「ガウゥ!!」


 オオトカゲは中央のトロールの首に噛みついた。

 矢倉に乗っていたウサギ3匹が、長槍を持って飛び上がる。


ドン、ドン、ドン!


 3本の槍が、トロールの背中に突き刺さる。


 ウサギ達はニヤリと笑った。


「獲ったり〜」


ズン!


 トロールはそのまま前のめりに倒れた。


 オオトカゲが低く唸る。

 矢倉のウサギ達は槍を抜くと、軽やかにオオトカゲの背に戻った。


 その音を聞いて、シルヴァーナが静かに呟く。


「あと二匹」


 炎で足止めされているトロールを背に、シルヴァーナとファントムはもう一頭のトロールに向かう。


ブンッ!


 大きく振られるトロールの拳をスルリと躱したシルヴァーナは、左右の足を曲刀で切り刻む。


「ブワァァァ!」


 膝をついたトロールの首に、ファントムはアックスを振り下ろした。


ザン!


 ゴロリと転がるトロールの腐敗した頭。


「あと一匹」


 シルヴァーナが振り返る。


「しまった!」


 燃え広がる炎の向こうに向かって、ファントムが叫んだ。


「まずい! セラ!」


 膝をついて歩けないセラを、見下ろすトロール。


「クソ! 火の勢いが……」


 近づけないファントム。


 トロールはその大きな拳を振り上げた。


「止まれ」


 シルヴァーナが短剣を投げた。


タン!


 その短剣はトロールの首に突き刺さった。


 だが、トロールは止まらない。


「ちっ」


ブン!!


 容赦なく振り下ろされる巨大な拳。


「きゃあああぁぁ!」


「セラーーーー!」


 ファントムが叫んだ。


 その瞬間──


 セラの体から、金色の閃光が広がる。


「な、なんだ!?」


 誰もが、光に顔を背けた。


パァン!


 光が弾ける。


 ──静寂。


 ファントムはゆっくりと目を開けた。


 セラの頭上でトロールの拳が止まっていた。


 セラが目を開ける。


 微かに金色に光る目。


 その瞬間、トロールの体は黒い灰となって、音もなく崩れ落ちた。


「セラ……一体、何が起きたんだ……?」


 瞳から金色の光が消えると、セラはそのまま気を失った。


 一方、5番街を走るウィーニーは足を止めた。


「セラ?」


 ウィーニーは、南の森の方角を振り返った。


「今……なんか……」


 妙に静かな夜。

 傾いたビルだけがこちらを見下ろしていた。


「……気のせいか」


 ウィーニーは拳を握った。


「無事、だよな?」


 そう呟くと、再び5番街の闇を走り出した。


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