第40話 終局点 〜何者でもねえ だから届く ゼロからの一撃 世界を解く〜
コアゴーレムの五つの眼が、ウィーニーを捉えた。
《脅威評価:不明》
《リスクヘッジ》
《不明個体優先排除:開始》
「ガキ! お前が狙われてるぞ!」
ロベルトが割り込んだ。
ロベルトの拳が、ゴーレムの胸に叩き込まれる。
ガチンッ!!
弾き返されるロベルト。
「……かってえなぁ」
ロベルトは舌打ちした。
ゴーレムの腕がウィーニーに振り下ろされる。
「うわ!」
ロベルトは、ウィーニーを弾き飛ばした。
ズゴッ!!
ゴーレムの拳が地面にめり込む。
すかさずロベルトが飛ぶ。
「おらあぁ!!」
今度は、拳がゴーレムの顔を捉えた。
ガキンッ!
「いってぇ!」
効かない。
ゴーレムは構わずウィーニーに手を伸ばした。
「これならどうだぁ?」
ロベルトはさらに高く飛んだ。
空中で回転する。
ウィーニーが見上げた。
「あの技……隕石」
ロベルトの体が赤く光る。
ヒュン!
ロベルトはゴーレムの背中に落下した。
ドゴォォォォン!!
ゴーレムの膝が崩れる。
ギィィ……。
「やった!」
ロベルトは顔を顰めた。
「いやぁ、ダメだぁ」
ドスン!
ゴーレムは立ち上がってロベルトとウィーニーを見下ろした。
その時、マザーコアが赤く輝いた。
ギュィィィィン……。
《対悪魔拘束プロトコル》
「あん? 対、悪魔ぁ?」
コアから伸びた赤い鎖がロベルトに巻きついた。
《デモンバインド:発動》
《悪魔の力:封印》
「なんだぁ!? こいつら、悪魔のことまで知ってんのかぁ!?」
ガシュ!
ゴーレムの巨大な手がロベルトを捕まえた。
「……っぐ!」
「ロベルトォ!!」
ミシッ……。
ロベルトの体が軋む。
ウィーニーは、ゴーレムの手に飛びついた。
「ぐぬぬ……ロベルトを、離せ……!」
ミシ。ミシシ……。
「ぐあぁぁぁ!!」
ロベルトが悲鳴をあげた。
「ロベルト!! クソ! 離せ!……離せ!」
ウィーニーの目にジワリと涙が浮かぶ。
ロベルトは、ウィーニーを見ると目線をマザーコアに移した。
「ガ、キ……そう、じゃねえ……あっちだ……っ、ぐ!」
「え」
「お前……にしか、出来、ねえ……仕事がある……」
ウィーニーはハッとした。
ゴーレムの手から飛び降りたウィーニーは、マザーコアの前に立った。
(オレにしか出来ない仕事……)
ウィーニーは自分の拳を見た。
「オレが何者なのかは知らねえが……もう一度……」
ウィーニーは拳を強く握った。
「もう一度、あの力を……」
拳が金色に光った。
「オレにくれぇぇぇ!」
突き出した拳から、金色の閃光が走る。
ドンッ!!
弾かれた。
光が飛散する。
マザーコアはフワリと光った。
《種族……再解析》
背後でロベルトが再び悲鳴をあげた。
「ぐあああぁぁぁ!!」
ウィーニーは拳を見つめ、唇を噛んだ。
「ダメだ……クソ」
(やっぱり……オレには……何も出来ない……)
ウィーニーの頬を一筋の雫が伝った。
その時、シャクールの言葉が頭を過ぎる。
──ビートの中に、感情を閉じ込めるんだ。
「そうか……」
ウィーニーは、目を閉じた。
ゆっくりと息を吸う。
今度は、全身に、光が広がっていく。
光は、体の中に吸い込まれるように体の中へ入っていく。
「感情を閉じ込める……今日は──」
ロベルトの視界が霞む。
ウィーニーが振りかぶった。
「──拳に!!」
ウィーニーの拳そのものが金色に変わる。
トン。
リズムが──聞こえた。
「何者でもねえ。だから──何にだってなれる!」
踏み込んだ。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
金色の拳が、コアに向かって伸びる。
ドンッ!
今度は──弾かれなかった。
ピシ……。
マザーコアに、亀裂が走る。
ピシ。ピシ……。
《警告》
《コア……損傷》
亀裂が、広がっていく。
《対象識別……最終……解析……》
光が、コアの内側から溢れ出す。
《ハーフ……ゴッド……》
ドォォォォンッ!!
コアが、砕け散った。
──その瞬間。
地上の振動が、止まった。
《全ユニット……停止》




