表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/84

第21話 ワンホーン降臨 〜強さってのは感情から生まれる結実 命令じゃねえ 衝動から来る発火点 それがデビルズ それがオレ それが本質〜

「……"返し"だ。くそったれ」


 ──その瞬間。


ズン。


 地面が、揺れた。


 直後。

 テントの外で爆発音が響いた。


 ラプター大佐が叫ぶ。


「なっ、なんだ!?」


「大佐!! メ、メカです! た、大量に──」


ドゴォォォォン!!


 目の前が白く弾けた。


 ウィーニーとラプター大佐は、テントごと爆風で吹き飛ばされた。


「う……ぐっ」


 ウィーニーの目に、テントから這いずり出るラプター大佐が映った。


「くっ……」


 ウィーニーは痺れる足を押さえ、立ち上がった。


(手錠が……)


「外れてる……」


「待て……君……!」


 ラプター大佐は、倒れたまま手を伸ばした。


 ウィーニーは、足を引き摺りながら背を向けた。


 一瞬で周囲は火の海と化した。

 焼けた帝国軍の旗が、火の粉になって舞い落ちる。


パン! パンッ!

パララッ!


 乾いた銃声の中、ウィーニーはバリケードの外へ向かった。


「壱番街へ! ヴァンガードはどこだ!? 応援を要請する!」


「ドレッドウォーカー多数確認! 退避──」


ドォォン!


 すぐ横にドレッドウォーカーのミサイルが落ちる。

 ウィーニーの前に焼けこげた兵士が転がる。


「くっ……」


 それでもウィーニーは歩みを止めない。


(アジトに……デビルズに帰らなきゃ……)


 トラックの残骸、足場の影に身を隠しながら、ウィーニーは出口を探した。


 ドレッドウォーカーのサーチライトに照らされたゲートの赤い旗が見えた。


「あ、あそこから……出られる」


 辺りを見渡すと、ウィーニーはゲートに向かって飛び出した。


「走れ、ウィーニー……動け」


 自分に言い聞かせながら、ウィーニーは走った。


ドォォン!


 目の前に落ちる砲弾。


「っく……!」


 爆風で押し戻される。


 もう一度、立ち上がる。


 その時、ウィーニーの顔に赤い光が当たる。


「ウェブクロウラー……」


《研究対象:確認》


 その瞬間、一斉にメカ達が動きを止めた。


「え」


《最優先行動:変更》

《侵攻作戦:中断》

《捕縛活動:開始》


 ドレッドウォーカーが一斉にウィーニーを振り返った。


「……なんでだよ」


 ウェブクロウラーがウィーニーに飛びかかる。


「っわ!」


 ウィーニーは、地面を転がりギリギリかわした。


 ゲートを抜け、街灯のない五番街を走った。


 背後から飛びかかるウェブクロウラー。


「うわあああぁぁぁ!」


 咄嗟に出した拳。

 その拳が、じわりと金色に光る。


(また……光)


 滲み出た光は、閃光に変わる。


「熱いっ」


 その閃光が、ウェブクロウラーに突き刺さる。


ジュ。


 ウェブクロウラーは、光の中で消滅した。


「なんだよ、これ。オレは、一体……」


ズン。


 迫るドレッドウォーカーの足音。


「くそっ……」


 ウィーニーは、慌てて立ち上がる。

 再びドレッドウォーカーに背を向けた。


 その時──


ギィ……

ギギッ……


 暗闇に無数の赤い光。


「何体、いるんだよ……」


 ウェブクロウラーに完全に囲まれたウィーニー。


「なんで、てめえらまでが、オレを狙うんだ……」


 折れそうになる膝。

 それでも足を押さえ、踏みとどまった。


「オレは……帰るんだよぉ!」


 その時──


ヒュン。


 上空で風切り音。


「!?」


 空から落ちる赤い閃光。


ズドォォン!


 爆発音。

 そして衝撃波。

 地面が揺れる。


 ウェブクロウラーが粉々になって吹き飛んだ。


 砂埃の中──暗闇に浮かぶ一本角。


(ワンホーン……)


「ロベルト!」


 ロベルトは、ウィーニーを見下ろしてニヤリと笑った。


「立ってるねえ」


 そう言うと、ロベルトは、ウィーニーの肩に手を乗せ、顔を覗き込んだ。


「良い目だぁ。それでいい。折れねえハート、デビルズの最低条件だぁ、なぁ」


 ウィーニーは、静かに頷いた。


ドン!


 ウィーニーは、背後の音に振り返った。


「ドレッドウォーカーだ!」


 ロベルトは、ポンポンとウィーニーの肩を叩くと、その前に立った。


「お前の活躍、今日はもう十分だ」


「逃げなきゃ!」


 ロベルトは笑った。


「はは。でもお前はちょっと──悪魔を舐めすぎだ」


「え?」


 ロベルトはステップを踏んだ。


トン。トン。


「ウォーキー、ウォーキー、ウォーキー」


「いや、ロベルト。こんな時に……」


《敵性存在:確認》

《種族:悪魔》

《排除行動:開始》


トン。トン。トン。


「え、ドレッドウォーカー オレ、ワンホーンデビル」


ギギギッ。


 ドレッドウォーカーは、その砲身の腕をロベルトに向けた。


「ロベルト! 来る!」


 ロベルトは笑った。


「そりゃちげえ。オレが行くんだ。いくぜ、Yo!」


 その瞬間、ワンホーンが──消えた。


 ドレッドウォーカーの背後で、ロベルトの足音が響く。


「いつの間に!?」


トン。トン。


 反転したドレッドウォーカーがロベルトに迫る。


────────────────────

でけえ図体で突っ込んでくるかぁ

シンプルだねえ

でもな シンプルってのは

読めるんだぁ


お前の次の一手 全部見える景色

強えのに つまらねえ それが致命的欠如

────────────────────


トン。


 ロベルトは、ドレッドウォーカーの腕をすり抜けた。


────────────────────

なんでかわかるか 教えてやる理由

予測できる奴は 怖くねえ杞憂

感情ねえ奴は 読めるんだよ不自由

────────────────────


ズドォォン!!


 砲撃が連続で来る。

 爆風の中でロベルトのステップは止まらない。


(すげえ……)


 ウィーニーは瓦礫の影から目を離せなかった。


(戦いながら……ラップしてる……)


────────────────────

YO

強えだけじゃ 勝てねえ領域

速えだけじゃ 届かねえ高域

完璧なだけじゃ 超えられねえウォール

頑丈なだけじゃ 守れねえ中身はホール

正確なだけじゃ 刻めねえビート コール

デビルズに勝てねえ理由 今わかった不自由?

その差が 全てだぁ これが決定的理由

────────────────────


 ドレッドウォーカーの動きが一瞬止まった。


(ロベルトのビートが……止まらねえ)


────────────────────

さあ 終わりにしようかぁ

強え奴との戦闘 それがオレの本懐

でもな 感情ねえ奴とじゃ 物足りねえ感慨

怒りもねえ 笑いもねえ ただ動くだけの機械

それじゃあ足りねえんだよ オレのビートの世界


YO

最後に教えてやる 一つだけの真実

強さってのは 感情から生まれる結実

命令じゃねえ 衝動から来る発火点

それがデビルズ それがオレ それが本質

じゃあな 鉄の巨人

それが 今日のお前へのレッスンだぁ

────────────────────


 ロベルトが、踏み込む。


ズドォォン!!


 拳が、ドレッドウォーカーの単眼に突き刺さる。


ギ……ギィ……


ドシャァ!……


 ドレッドウォーカーは、金属を軋ませながら崩壊した。


「帰るぞぉ」


 何事もなかったかのように歩き出すロベルト。


「……うん」


 ウィーニーは、痺れる足を引き摺りロベルトに続いた。


(なんでオレは倉庫で意識を……)


 心を読んだかのように、ロベルトがウィーニーを振り返る。


「シュガーだなぁ。その頬の傷」


「え」


「シュガー"スウィートヴェノム"気をつけろよぉ」


「ヴェノム……あいつが?」


(だとしたら……同じデビルズなのに……なんで)


 ロベルトは、一本角にかかった埃を手で払いながら言った。


「自由。デビルズ。最高だろうがぁ」


 意味はあんまりわからなかった。


「気張れやぁ、ガキィ。マイクが待ってるぞぉ」


「マイク?」


 ロベルトは、正面に浮かぶ月を見上げた。


「ああ。見えるところ。そこまで上がる、お前をなぁ」


 13番街へ足を向けたロベルトとウィーニー。


 瓦礫の影から、赤い目が見ていた。


《捕縛対象:悪魔との共闘確認》

《捕縛対象:移動開始》


《追跡プロトコル起動》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ