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第11話 未完成の閃光 〜オレの生き様 焼き付けろ網膜 先頭じゃねえ それでも鳴らす音楽〜

 爆風に吹き飛ばされたウィーニー。


 砂埃の中、ゆっくりと顔を上げる。


「うう……」


 ウィーニーを見下ろす人影。

 帝国軍の紋章。


「メカに横取りされるところだった」


 ファルコン少佐は、冷たい視線をウィーニーに向ける。


「捕えろ」


 ウィーニーは兵士に無理やり起こされる。

 鋼鉄のワイヤーのようなものが巻かれる。


 めり込んだワイヤーが、ジャージを破る。


「くっ……」


「ほら、歩け! ガキ!」


 ガッ!


 顔から地面に倒れる。


「……っ」


 ファルコン少佐は背中を向けた。


「壱番街に連行する」


 兵士は髪を掴んで無理やりウィーニーを起こす。


「ほら、立て! ゴミめ!」


 その時、ファルコン少佐の足が止まった。


「やはり来たか……」


 砂埃の向こうに、赤い影が映った。


「……ストリートデビルズ」


(デ……デビルズ……)


 漆黒のジャージにゴールドのライン。

 赤い顔に、角。

 天を突くような牙。


 一際大柄の悪魔が、大きな金のネックレスを触りながらニタリと笑う。


「弱い者いじめは、悪魔の専売特許。貴様ら人間どもがやっていいことじゃねえ」


(マイク……)


 兵士達は一斉に悪魔達に銃口を向ける。


 ファルコン少佐が手を挙げる。


「待て! デビルズ! 貴様らは、なぜこのガキを助ける!?」


 マイクは、目を細めた。


「ああん?」


 ウィーニーと目が合う。


「なんだ、またてめえか、ガキィ」


 ファルコン少佐が、ウィーニーを振り返る。


「何?……貴様ら、このガキを助けに来たんじゃないのか!?」


「そのガキはどうでもいい。俺たちはデビルズだ! 悪魔より悪い奴は許さねえ。それだけだ」


「な……なんだと!? そ、それだけ……」


 マイクは、手を広げて笑った。


「さあ、戦争だ」


 ファルコン少佐は、ウィーニーを指差して叫んだ。


「くっ……ガキを連れて行け! 来るぞ!」


 兵士に腕を引かれるウィーニー。


(今しかない……ここしか……)


 ウィーニーの足が止まる。


「ぐっ! ガキ! 止まるな!!」


 兵士は慌ててライフルでウィーニーを殴った。


 ガツッ!


 額から流れ出る血。


「歩け!」


 もう一度。


 ガンッ!


 大きく仰け反る。

 でも──ウィーニーは倒れなかった。


「な、なんだ、このガキ!!」


 ドン! ドン! ドン!


 デビルズがリズムを刻む。


 マイクが一歩前に出た。


 始まる、デビルズのラップ──


 その時、ウィーニーが走った。


「おい! ガキ!」


 ウィーニーは、ファルコン少佐の前に立ち、マイクと向き合った。


 ドン! ドン! ドン!


 マイクがウィーニーを睨みつけた。


「なんだ、ガキ」


 ドン! ドン!


 ウィーニーは、デビルズのリズムに合わせて頭を振った。


────────────────────

Yo……

オレはウィーニー

ここで逃げねえ これが起点に

助けてなんて言わねえ これがオレの理念に

────────────────────


「ああん?」


 デビルズがリズムを止めた。


 ウィーニーは──やめなかった。


────────────────────

これはオレの戦闘 見てくれ現状

デビルズ その目で刻め この衝動


オレの生き様 焼き付けろ網膜

先頭じゃねえ それでも鳴らす音楽


わかってる

これが最後のチャンス 試されてる段階


ゴミで終わるか 変わるか……


ゴミで終わるか 変わるか


今ここで決めるだけだ!!

────────────────────


 デビルズ達は顔を見合わせる。

 マイクはニタリと笑った。


「ほう」


 ウィーニーは、振り返った。


 ファルコン少佐の口が歪む。


「貴様、何を……」


「ここで終わらせる……オレは」


 ファルコン少佐はウィーニーの髪を掴んだ。


「黙れ、ガキ! 下がれ!」


「オレは……ガキじゃねえ。オレは……オレは」


 ウィーニーは拳を握って力を込めた。


「ウィーニーだああああぁぁぁぁ!!」


 その瞬間、ウィーニーの目が金色に光る。

 全身から漏れる金色の光。


「な、なんだこいつ!?」


 ファルコン少佐が後ずさる。


 デビルズ達は目を覆った。


 バチンッ!


 鋼鉄のワイヤーが弾け飛んだ。


 ウィーニーの拳に光が集まる。


「うおおぉぉぉぉ!!」


 ウィーニーが──飛んだ。


 金色の閃光が、ファルコン少佐の顔面を捉えた。


「ッグボォォ!」


 拳が突き刺さる。


 マイクが、目を見開いた。


「あのガキ、まさか!?」


 銃口が、一斉にウィーニーに向く。


 誰かが叫んだ。


「撃てええええ!!」


 その瞬間──音が消えた。


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