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路地裏のウィーニー  作者: みゃーじま
第六章 悪魔の代償
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第98話 死なない機械、朽ちない亡者 〜Scrapじゃ終われねえStill Alive MetalとBone混ざるZone Killしたはずでも Still move on〜

 13番街の港に、けたたましい金属音が響いていた。


「もっと右だ! 右! いや違う、オレの右だ、お前の右じゃねえ!」


 エドウィンが、設計図を片手に叫んでいた。


 その視線の先。


 巨大な鉄骨を担ぎ、のっそりと歩く緑色の巨体があった。


 牙が突き出た口元。

筋肉で膨れ上がった腕。

背丈は、トロールに匹敵する。


「あれは……何?」


 ウィーニーが、思わず後ずさった。


 シャクールが、頭を掻きながら答えた。


「ヘルオークだ。デビルズのペットの一種だな」


「あれも、ペット……」


 エドウィンは、設計図を手放して、頭を抱えた。


「ああああぁぁぁ! ダメだぁ、こいつら致命的に頭が悪い……!」


「エドウィン。どうだ?」


「あん? ああ、オスカーくん、か。いや、こんなんじゃ、いつまで経っても、終わらねえよ! ヘルオークの野郎どもが、バカすぎる。なんなんだ、アイツらは!」


 オスカーは、肩をすくめた。


「急げ」


「いや、聞いてる? ……あ、そうだ! 要塞建てるのに、このままじゃ材料が足りねえ。それに、武器の材料も……。メカの残骸がやっぱり必要だぜ」


 オスカーは、ウィーニーとシャクールを振り返った。


「街にはなぜか、メカの残骸が異様に少ない」


「何? セントラは、つい最近までメカが大量にいたはずだろ?」


「ああ。だが、オレ達がコアを破壊してから、異常な早さでメカの残骸が消えてる」


 エドウィンは、丸眼鏡を外しながら言った。


「人間どもが集めてるんじゃないのか?」


「多少はな。だがそれにしては早すぎる」


 エドウィンは、眼鏡を掛け直すと、オスカーの顔を覗き込んだ。


「オスカーくん。君たち、メカのコアをどこで見つけた?」


 オスカーは、フリークス達に視線を移した。


「西の遺跡、か」


 シャクールは、自分を指さして言った。


「行ってこようか? フリークスが」


 オスカーは、頷いた。


「ああ」


 エドウィンは、丸眼鏡を指で押さえると、ウィーニーを舐めるように見回した。


「オスカーくん、コイツは一体なんなんだ?」


 オスカーは、ニヤリと笑って言った。


「お前も驚くぜ、そのうちな」


 シャクールは、フリークスに向かって手を上げた。


「よっしゃあ! フリークス! 西の遺跡群だ!」


 フリークスが、走り去ると、13番街には再び鉄を叩く音と、エドウィンの怒鳴り声が響いた。


 西の遺跡群。


 ヘルエナが倒した鉄塔。

地下へ続く大きな穴。


 あの時と何も変わらない姿だった。


 シャクールは、丘の上から遺跡を見下ろしながら言った。


「ウィーニー。あの穴の奥には何がある?」


 ウィーニーは、小さく首を振って答えた。


「何もないよ。何もない空間が奥へ続いてた」


「コアがあった場所は?」


「一番奥に広い空間が。その中心に浮かんでた。一本道だから迷うことはないよ」


「そうか。……ん?」


 シャクールは、何かに気づいて目を細めた。


「おい。あの入口の前……アンデッドか?」


「そうみたいだね……。一匹だけ、何してるんだろう」


 遺跡の前を彷徨くアンデッドは、時折顔を上げて辺りを伺っていた。


 シャクールは、立ち上がると首を回しながら言った。


「ま、なんでもいい。とりあえずアイツぶっ飛ばして、中の調査だ。いくぞ」


「シャクール。なんとなく……嫌な予感がするんだけど……」


「うっせえ。いくぞ」


「……うん」


 シャクールは身を隠すことなく、アンデッドに近づいて行った。


「Yo! 通るぜ」


「ギィ……」


 悪魔達に気付いたアンデッドは、ゆっくりと身を屈めた。


 シャクールは、笑いながら手を振った。


「ハハッ。やめとけ。やめとけ。無駄死にするだけだ。……あ、お前もう死んでるんだっけ、ハハハッ」


「ギギ……」


 アンデッドは、ゆっくりと自分の背中に手を伸ばした。


 シャクールは、一瞬肩を竦めると手の上に炎を浮かべた。


「やめとけって。てめえ、一匹で何が出来るんだ、バカめ」


 その時、ウィーニーが目を細めた。


「シャクール……。こいつ──」


「なんだ?」


 アンデッドの、目の奥がかすかに赤く光った。


「あの目の光……メカ?」


「あん? ガラクタがどうしたって?」


 アンデッドは、背中から剣を抜いた。

シャクールが身構える。


「お、やるか?」


 だが、アンデッドが抜いたのは、剣ではなかった。


「シャクール! 銃だ! ロケットラン──」


「──マジかよっ!?」


 ロケットの爆音が、遺跡に轟いた。


「ウィーニー……おめえ」


 ウィーニーは、シャクールを庇っていた。

二人を包み込んでいた金のオーラが、ゆっくりと消えた。


「──そんなこと出来るようになったんか……」


「あ、いや……咄嗟に……」


 シャクールは、額の汗を拭いながら、遺跡の奥を睨んだ。


 その時。


ザッ! ザッ! ザッ!


 足音と共に、地面が僅かに揺れた。


「一匹じゃねえ……」


「うん……。来る!!」


 地下へ続く大きな穴から、無数のアンデッドが湧き出した。


 赤い目を光らせて──


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