第91話 アウトローのアウトロー 〜地獄が開くRed Night 魔王のOrder 踏み潰すBorder 外にいるんじゃねぇ 外ごと消すFlow 地獄すら奪うStreet King〜
その夜、13番街の空が、赤く染まった。
月が真紅に燃え、セントラの大地が悲鳴を上げながら裂けた。
その裂け目から、赤暗い炎がゆらりと立ち昇る。
そして──13番街の「西」が、消えた。
12番街、そしてその先の11番街。
化学工場の廃墟だけが広がり、生物すら寄り付かなかったその一帯に、黒い球体が浮かび上がった。
球体は、静かに、周囲を歪めていく。
瓦礫が、浮いた。
ビル一棟が、音もなく崩れ、浮き上がり、球体の中心へと消えていく。
──街そのものが吸い込まれていた。
一方、壱番街の司令塔。
屋上に立つソルセリオンと側近達は、無表情のまま13番街を見ていた。
「ソルセリオン様。あれは……」
神兵の一人が、震える声で問うた。
「魔族の介入か」
「迎撃を……」
「不要だ」
ソルセリオンは、目を細めたまま言った。
「奴らの敵意は、こちらには向いていない」
「……しかし、この気配……」
「総攻撃だ。こちらに向けば、今の我々だけでは勝てぬ」
「……天に、応援をっ!」
ソルセリオンは、手を伸ばして制止した。
「まだだ。動くな」
「……は」
ソルセリオンは、赤く染まった空を見据えながら、呟いた。
「しかし──魔族は、何を狙ってるのだ」
──13番街。
分かっていたかのように、高台には、その球体を見下ろすストリートデビルズ達がいた。
中央に置かれた巨大な玉座に、デヴィンがゆっくりと腰掛けた。
その時。
ズンッ!
ウィーニーの膝だけが、崩れた。
「ぐあっ……」
シャクールが、ウィーニーを振り返った。
「おい。何してんだ、ウィーニー?」
「急に……体が……重くっ……」
オスカーは、膝をついて震えるウィーニーを見下ろして言った。
「地獄の重量。地獄の門が開くとき、空間は神の血を拒絶する。ガキには、重いはずだ」
シャクールは、顔を顰めた。
「こ、こんな時に、まずいぞ、ウィーニー!」
「そ……そんなこと言ったって……」
その時、ロベルトの目が鋭くなった。
「ジャロン……」
肥大化した球体の中に、赤い影が映る。
ヘルエナの上で、ジャロンは首を鳴らした。
「待たせたなぁ、外道どもぉ」
その炎を見たヒッター以下のデビルズ達は、震え始めた。
「ジャ……ジャロン様だ……」
「ま、魔族、本体……本当に、敵に回しちまった……」
ジャロンの背後から、無数の影が土砂崩れのように流れ出る。
シャクールの瞳が揺れた。
「ちょっと、待てよ……。本気じゃねえか……」
地平線を埋め尽くした、地獄の軍隊が、炎に揺れた。
ウィーニーは、震える膝を押さえて立ち上がると、シャクールを見上げて言った。
「シャクール……、ヘルエナは……呼ばないの?」
「ヘルエナは、地獄の持ちモノだ。こうなったら、ペットは何も使えねえ」
その瞬間、球体から炎が噴き出た。
炎に包まれた巨大なドラゴン。
その翼を羽ばたく度に地面が溶ける。
その背には、漆黒の鎧を身に纏った──デーモン。
「あいつは……」
オスカーの顔が歪んだ。
「……ヘルドラゴンライダー」
ジェシーが、その横でケタケタ笑った。
「ちょうど6匹。準備がいいじゃねえか! ハハハッ!」
ロベルトは、ウィーニーの首を掴むと、デヴィンの玉座の横に座らせた。
「ガキィ。今日は、足手纏いだぁ。そこで、見てろやぁ」
「いや……オレもやれる……」
ロベルトは、ウィーニーを睨みつけた。
その赤い瞳が、ウィーニーを射抜いた。
「見てろと、言ってる」
「……くっ」
オスカーは、静かに言った。
「数の差、火力の差。どちらも、計算上は──詰みだ」
フロイドが呟く。
「流石に、死ぬかもな」
テレンスはフロイドを振り返った。
「初めてだぜ、お前の弱気」
マニーは、自分の腹を指で叩きながら、目を細めた。
「半分は、やりてえなぁ」
ジェシーはケタケタ笑いながら、手を叩いた。
「うるせえなあ! 死ぬまで暴れるだけだぁ! ハハハッ!」
ジャロンは、笑いながら両手を広げた。
「外道ども。安心するがいい。一瞬で消してやろう。その血も、その名も、その声も──跡形もなくなぁ!!」
その咆哮だけで、熱波がデビルズ達を襲う。
「くっ!」
シャクールは、顔を歪ませた。
「ロベルト、あいつ一体なんなんだ? ヤバそうなのは、ビンビン伝わってくるけど……」
「フン。クソ野郎だ」
「強えのか?」
ロベルトは、フロイドに視線を移して言った。
「フロイドが、唯一引き分けた相手だ」
「フ、フロイドが!?」
ロベルトは、奥歯を噛んだ。
「あれからさらに強くなってる。しかも地獄のエネルギーをたらふく蓄えてやがる」
「そ……そんなやつが……」
その時、デヴィンがゆっくりと立ち上がった。
それだけで、デビルズ、魔族、全ての目がデヴィンに向いた。
「下がるな」
デヴィンの一言に、デビルズの動きがピタリと止まった。
「オレ達は誰だ?」
「……」
デヴィンは、膝に手を置くと、大きく足を振り上げた。
シャクールが眉をひそめた。
「四股?」
ドォンッ!!
大地が揺れた。
デヴィンは、デビルズを振り返った。
「オレ達は、誰だ?」
「ス、ストリートデビルズ!」
デヴィンの体から真紅の炎が立ち昇った。
「オレ達は誰だ?」
デビルズが、身震いして叫んだ。
「ストリートデビルズ!!」
「もう一度聞く。オレ達は誰だ?」
「ストリートデビルズ!!!」
デヴィンは、魔族の大群を見下ろし、ニヤリと笑った。
「それでいい──いくぜ」
デビルズは胸を叩いた。
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
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YO……ストリートデビルズ
アウトローのアウトロー 外道の外道
それがストリートデビルズ
外に出る? 違え 外ごと消すコード
王座 構造 序列 頂上
その中で吠えてる時点で飼われた暴走
称号 血統 伝統 幻想
全部寄りかかるだけの安全な反応
無名 無冠 無法 無効
削って残した芯だけで鳴らす鼓動
与えられねえ だから奪う
守らねえ だから壊す
意味もねえ それでも動く
それが本能じゃねえ衝動
地獄の常識じゃ理解出来ねえだろ この構造
本能の結晶 魔族の象徴 デビルズ
つまりお前らは悪魔じゃねえ
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デヴィンは、ジャロンを見ていなかった。
地獄の入り口。
その奥を見ていた。
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ストリートデビルズ
アウトローのアウトロー
外にいるんじゃねえ 外ごと消すフロウ
アウトローのアウトロー
名乗るもんじゃねえ なっちまう鼓動
アウトローのアウトロー
上も下もねえ 全部壊す構造
アウトローのアウトロー
存在そのものが証明 それが本物
悪魔? 誰が決めたその定義
角と力で満足してる時点で停止
従属 統率 命令 統制
それもう悪魔じゃねえ ただの編成
例外の例外 枠ごと崩壊
制御不能 予測不能 理解不能 それが正体
管理された暴力 整った暴走
それで満足してるならそこがお前の構造
地下 無法 無名 無冠
否定 排除 無価値 無効
全部喰らって残った本当 本能
それがデビルズ 歪んだままの鼓動
アウトローのアウトロー
外にいるんじゃねえ 外ごと消すフロウ
アウトローのアウトロー
名乗るもんじゃねえ なっちまう鼓動
アウトローのアウトロー
上も下もねえ 全部壊す構造
アウトローのアウトロー
存在そのものが証明 それが本物
むしろオレ達が教えてやる
悪魔の在り方
外にいる?違え
オレは“外って概念を消した側”だ
叫べ──
オレ達はストリートデビルズ
外道の外道
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「アウトローのアウトローォォォォ!!」
デビルズが、赤く輝きだす。
ジャロン、そして地獄の大群が──後退った。
デヴィンは、ゆっくりと大群を指差して言った。
「──種族ごと終わらせる。ダマト──今日から地獄は、オレの庭だ」




