16.ウルウルお目々は反則です
ユージン兄様からの『クロードと1人ずつお茶会するってさ』の次の日から本当にクロード殿下とのお茶会が順番に始まった。
初日の昨日はアルシェとアントワープ公爵令嬢、ルーライ伯爵令嬢だったらしく、アルシェ曰く「優しくて素敵だった。男らしい所もあって素敵♡」とのことだ。アルシェがお茶会後にすぐに私の部屋まで来て報告してくれた。ちなみにアルシェとはもう敬語すらない仲になってきた。
そしてついに2日目はアルタナ侯爵令嬢と私の番だ。アルタナ侯爵令嬢とのお茶会が終わり次第、私が呼ばれるらしく今は控室みたいな所でアリーと待機している。
「エルレナ様ついにですね。あの時の運命の出会いを確認するチャンスです!」
「普通の挨拶をして普通の会話をするわよ。これも選考に影響するんだし、しかも運命の出会いの確認ってどういうノリなのよ」
「えー!せっかくなのにもったいない」
運命の出会いの確認ってなんなのよ。さすが恋愛小説マニアのアリーだ。
「でも他の候補者様達よりは少しリードしてますからね!仲良くなるチャンスです」
「そうよね!ここで好感度を少しでも上げておかなきゃ」
優雅なる皇太子妃生活への第一歩だ!書類仕事はほぼ確定だけども。
トントンとノックされ、アリーが「はい」と返事をすると、赤い髪の青年が部屋に入ってきた。初めましてのはずだけど、何となく見たことがあるような無いような。
「初めましてエルレナ殿下。アルタナ侯爵家のカーライル・アルタナと申します。アイリーン・アルタナの弟です。クロード殿下の侍従もさせていただいてますので、この度は僕がご案内させていただきます」
そうか!見たことがある気がしてたのはアルタナ侯爵令嬢に似てたからなのか。アイリーン様はクールビューティーな知的美人だが、カーライル様は目がぱっちりの可愛い系の男の子だ。だが何となく面影があるのと赤い髪が同じだからか、どこか似ている気がする。
「初めましてアルタナ侯爵令息様。アイリーン様にはお世話になっております。この度はよろしくお願いいたします」
「こちらこそユージンにはお世話になっています。いつも場を明るくしてくれて、一緒にいてとても楽しいです」
私が礼をするとアルタナ侯爵令息も礼をしてくれた。兄様と一緒にいて楽しいと言ってくれてありがたい。そしてニコニコと人懐っこい笑みが可愛らしい。
「じゃあ行きましょうか。場所は温室なんですよ」
「ではよろしくお願いいたします」
アルタナ侯爵令息は話し上手で温室に向かいながら色々な話をしてくれた。ユージン兄様の失敗した話しだとか、クロード殿下のヤンチャな面だとかピーラポック侯爵が一見普通な人に見えて実は変な人だとか、あとはクラウス様の話だとか…聞いてて分かったことは、この侍従メンバーかなり仲良しらしい。そしてあっという間に温室の前まで着いた。
「アルタナ侯爵令息様は長いからこれからはカーライルって呼んでほしいな。僕もエルレナって呼んでもいい?」
ここでお別れかと思いきや、急に距離を縮めてきたー!あ、物理的な距離ではなくて関係性の距離感だけど。でもここで油断してはダメだ。彼は他の候補者の親族だもの、距離を置いて付き合わねば。あまり親しくしてはダメだ!
「しかし殿下や親族以外の男性との交流は禁止事項に入ってましたし…」
「名前で呼び合うのは過剰な交流じゃないし大丈夫だよ。純粋にユージンの妹として仲良くしたいだけなんだけどダメかな?」
アルタナ侯爵令息はウルウルした目でこちらを見つめてくる。私すごく悪い奴になった気分なんだけど。めちゃくちゃ断りづらいんだけど…
「カーライル、これ以上は迷惑よ。お辞めなさい」
温室のドアが開いてアルタナ侯爵令嬢が現れた。
「アイリーン姉様!僕はただエルレナと友達になりたいだけなんだけど」
「バルディリス辺境伯令嬢は戸惑っているでしょう。あなたは急に距離を縮め過ぎるのよ。人との関係はゆっくり進めるものだわ」
「えー。気をつけまーす」
アルタナ侯爵令嬢その通りでございます。少しいや、かなりびっくりしましたでございます。
「バルディリス辺境伯令嬢、弟が失礼いたしました」
「いえ、お気になさらず。大丈夫ですわ」
「大変すみませんでした」
アルタナ侯爵令息に不貞腐れたように謝られた。アルタナ侯爵令息は私より少し年下のようで、不貞腐れた様子が少し可愛い。
「では失礼いたしますわ、アルタナ侯爵令嬢。カーライル、ここまで案内してくれてありがとう」
「エルレナどういたしまして!」
カーライルを名前で呼んだら、嬉しそうに応えてくれた。私はカーライルの可愛さに惨敗した。
そして温室に入り奥まで進むと、クロード殿下が椅子に座り待っていた。
「帝国の若き主に挨拶申し上げます」
「そんな堅苦しくしなくていいよ。お久しぶりユーリン」
今日も少し遅れての更新です。バタバタですみません!




