表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

14.つかの間の癒やし

私は午前中ひたすら書類をこなした。こなしてもこなしても書類は減った気がしないけど、取り敢えず机に向かい続けた。


「エルレナ殿下、妃教育の時間です。教育室に向かいましょう」


妃教育は1人1人個人で受ける場合もあるけど、基本的には全員で受けるらしい。またあのバトルが起こったらどうしよう、向かい打つ元気がない。

書類書類書類ばかりで疲れた身体を奮い立たせて、教育室に向かうことにした。


教育室に入るとみんな心なしか疲れている顔をしている気がする。アントワープ公爵令嬢なんて、あの流れるような艶々な金色の髪をお団子に括っている。意外に勤勉なのかもしれない。そしてアルタナ侯爵令嬢だけは余裕がある落ち着いた雰囲気だ。知的な感じがするから書類仕事は苦じゃないのかな。まさに文武両道だ。


妃教育自体はもう知っている知識であったり、全く知らない知識であったり様々だった。先生も科目毎に変わり、皇室専属の先生だけで構成されているみたいだ。



「バルディリス辺境伯令嬢、少しいいですか?」


本日の妃教育が終わったので片付けて部屋に戻ろうとしていると、マクロン侯爵令嬢から声をかけられた。


「どうしました?」

「よろしかったら今からお茶にいらっしゃいませんか?私、朝から書類仕事で疲れてしまって。バルディリス辺境伯令嬢と息抜きできたらなって」


えへへ、と笑いながら鼻を擦るマクロン侯爵令嬢が可愛い。可愛すぎる。元から可愛らしい子がするとこんなに破壊力があるのか!


「ぜひぜひ。私も朝から疲れてしまって。お話ししましょう」

「嬉しいです。すぐに準備させますね!」



「バルディリス辺境伯令嬢は長いので、よろしければエルレナとお呼びください」

「良いのですか!?では私のことはアルシェと呼んでください。」

「はいそうします。朝から書類仕事を渡されて大変でしたね。まだまだ終わらなさそうです」

「私もびっくりしました!皇太子妃の書類をこなす練習もあるんですね。私は領地の運営にあまり関わってこなかったので焦りました」


アルシェや他の方達には皇太子妃になった時の練習と伝えているのか。まあでも実際にクロード殿下と結婚したら書類を捌くのは皇太子妃になるんだろうな。


「エルレナの噂はよく社交界で聞いてて、どんな人なのかなってずっと思ってたんです。こういう形で過ごせて嬉しいです」

「社交界で噂ですか?」


ほとんどパーティーに参加していない私がどんな噂になるのだろうか。


「北の幻の姫君と謳われています!ヴィルヘルム様もユージン様もお美しいから、妹君もどれぐらい美しいのだろうと。そして社交界になかなか顔を出さないので幻の姫君と」


幻の姫君とな!?そんな大それた名前をこの私に!?ユージン兄様が美しいかは疑問だけど、ヴィルヘルム兄様に関してはあの顔だから期待するのは分からなくもないかな。さすが氷の貴公子!


「幻の姫君だなんて恐れ多いです。ただ王都に来る機会が少なかっただけですわ」

「バルディリス領は離れてらっしゃいますものね。寒い地域ではどのように過ごされているんですか?マクロン領は南部なので想像がつかなくて」

「寒いのであまり作物は育たないんです。魔物も多く出ますし、基本は家の中でゆっくり過ごすことが多いですね。南部だと気候が安定しているから外に出やすそうで羨ましいです」

「魔物退治が盛んなんですよね。南部はあまり魔物は出ないので私、魔物を見たことがないんです。こっちは外で過ごす方が多いので陽気な人が多いのかもしれません。王都みたいなスタイリッシュさはありませんね」

「あー、確かに王都に始めて来たとき、あまりにも都会でびっくりしました」

「分かります。南部は人との距離が近くてフレンドリーな人が多いのですが、王都の貴族の方は建前が多くて今でも戸惑っています」


アルシェと話していると、南部らしくオープンで人のことが好きなタイプみたいだ。


「エルレナもクロード殿下に好意を持ってこの候補選抜に挑まれているんですか?」

「いやー殿下自体、王都に着いて拝見したので…」

「そうなんですか?クロード殿下、広間でエルレナに声をかけてらっしゃったから前々からお知り合いだと」


そうだった。広間で思いっ切りクロード殿下に声をかけられたんだった。


「ちょっと偶然に知り合う機会がありまして。お互いの立場を知らずに会話していたんですよね」

「素敵!知らず知らずの内に出会っているなんて!他の方より一歩リードですよ!」


アルシェは嬉しそうに私の話を聞いているが、あれ?私達一応ライバルのはずじゃ…なぜアルシェは素敵!と喜んでいるんだろう?


「アルシェはクロード殿下に好意を持っているんじゃないんですか?先に殿下にお近づきになるなんてって怒らないんですか?」

「私は家門のためといいますか…中立派からも候補を出さないといけないということだったんですけど、婚約者がいない年頃の令嬢が私しかいなかったんです。父も出世に興味がないので、ほぼ押し付けられた状態で。だから箔付けと観客気分で来てしまったんです。なのでヘラヘラしているように見えるのかもしれません。アントワープ公爵令嬢に敵視されてしまっているので」

「そういうことも事情もあるんですね!アントワープ公爵令嬢は私にもアルタナ侯爵令嬢にも敵視していたから、全員のことを警戒しているんでしょうね」


アルシェの候補選抜の参加理由が予想外で驚いた。まさか興味がなくてここに来たとは。これで皇太子妃に選ばれたらどうするつもりなんだろう。


「アントワープ公爵令嬢は前からクロード殿下に好意を持っているらしいので本気でくると思います。一緒に残れるように頑張りましょう!」


私とアルシェは夕飯前まで話し込み、距離も縮まりすっかり仲良くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ