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カヌレに詰め寄られて、昨晩テツヤたちを部屋へ案内した偉いポジションのおっさんはしどろもどろ。
「いやそんな。我々はあなた方とは円満な関係を築いておりますので、はは。あなた方に断りもなく賭場を開くなんてこと、するはずが。はは」
「じゃあコイツが嘘ついたって言うのか。コイツはこの宿に泊まってる客なんじゃねえのか?」
カヌレの背後には、さっき逃げ出したクソデブ中年男が手下のゴブリンたちにガードされて立ってる。
「私はこの目でしっかり見たんですよ。食堂でサイコロ賭博が行われてるのを」
中年はたるんだ顔に喜色さえ浮かべて訴える。けど自分も参加してたことや、イカサマを見抜けないでボロ負けしたことは隠してる模様。
すっかり修羅場と化したロビーの様子をチラ見しながら、ハギがつぶやく。
「なるほど、ああいう迷惑な輩をぶちのめすためにみかじめ料を払うのですね」
けど、ネリキリは首を横に振る。
「いや、逆だ。この宿はカヌレのいるペリン商会にみかじめ料を払ってる側だ」




