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#193
「そんな、そんなのって……」
場に置かれた1のカードを呆然と見つめて、カヌレがつぶやく。
その正面で、ネリキリは銀貨の山をせっせと自分の方に運びながら答える。
「運だけなら、完全にアンタが勝っとった。だが、運だけじゃないのがバクチってもんだ」
「……」
もしカヌレが腕を折られる恐怖に勝って勝負に出てたら、その銀貨は全部彼のものになってた。
「つまりアンタは、実力で負けたっちゅうことだ」
「!」
心の折れる音が聞こえるなんてベタな例えはしないけど、それでもテツヤはカヌレの心が折れる瞬間を見たような気がした。
「……」
完全にハートがブロークンしたカヌレは、それ以上勝負を続けられるはずもナッシング。
そのままトボトボと店を出る。賭場はいつだって敗者に冷たい。
そして一仕事終えたネリキリがバーカウンターで休んでるところで、テツヤがこっそり尋ねた。
「けどおかしいッスよ」
「何がだ?」
「もしカヌレが10を引いてたら、どうするつもりだったんスか」




