#154
ケンカは苦手だったっていうテツヤのカミングアウトを聞いて、ハギたちはヒソヒソと顔を寄せ合う。
「まあ実際、強いとは言いがたいですわね」
「思い切りがいいから相手はビビるけど、腕っぷし自体は普通だよな」
「みんなひでえッス!?」
自分で思ってた以上に辛口なコメントを連発されて、思わず心が折れかけるテツヤ。なら最初から言わなきゃいいのに。
「別にスポーツもやってなかったし、中学では美術部だったッス」
「そのチューガクとかビジュツブとかいうのがどういうものかはよくわかりませんが、それがどうして鉄砲玉まがいのことをさせられることになりましたの?」
「そこなんスよ」
いい質問だとばかりにテツヤがうなずく。
「アニキからはよくバカだバカだって言われたッスけど、中学の成績はクラスの真ん中くらいで、そこまでバカじゃなかったんスよ。マジで」
「確かに、たまに変なところで知恵が回ったりしますわね」
微妙にほめられてないけど、気にしないでテツヤは続ける。
「けど高校入試の日に熱出して、無理やりテスト受けたけどひでえ結果だったんス。それで滑り止めとか考えてなかったんで、地元のバカにバカ学校って呼ばれるような底辺校に通う羽目になったんス」
「それはつまり……」
熱があるのに入試を受ける時点でバカなんじゃないか。ハギの顔にはクリアリーにそう浮かんでたけど、言う前に思いとどまる程度の優しさは彼女にもあった。




