表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
涙の海  作者: 黒米 紅子
ブンさまの海
34/48

④ボコのぼやき 其四


ボボッ

ボボッ


アンちゃんはまた眠ってるんだろうか

今日はブンさまも呼びに来ない。


ボコは図書館の大きな

掃き出し窓の前で

中を覗き見た。


やっぱりソファに横になってる。


ボボッ

ボボッ


アンちゃんは本を読むと寝てしまう。

でもおいらが昼寝すると

「なんで寝てるの!」

って怒るんだ。「自分ばっかり寝て!」

…納得いかない。


ボボッ

ボボッ


煙草の煙のように

ボコは空気の輪をいくつも吐き出した。

小魚達が競って寄ってきて

輪くぐりを楽しんで居る。

たまに失敗して 輪を壊してしまう奴も居る。


【下手くそだなぁ】

ボボッ


また輪を出してやる。

今度は尾を掠めただけで

上手くくぐり抜けたようだ。


【練習させてやるか】


ボボッ

ボボッ

輪を出しながらボコは思い出した。


おいらが人を落とすからって

ソリを引くようになった時

それでも人が落ちるからと

とうとうソリをくくりつけられた時。


アンちゃんは

「練習しようボコ」といって

おいらに人を落とさないで泳ぐ

練習をさせると宣言した。


アンちゃんは

おいらの背中の

白いソリを見上げる


「思ったより高いね。」


おいらの背中はボコボコしている。

大きい岩

小さな岩

隙間に走る青い稜線


「やるしかないか!」


アンちゃんはまず最初の大きな岩に足をかけた。


「うぐぐ、腿が攣りそう」


うんしょと登り その先の小岩に手をかける。


「もうちょいなのに届かない…」

「と、届いた!」


よいしょとばかりに

手にも足にも力が入る。


「あっ!」

ずるり!


後ろに大きくのけぞる。

掴もうとした手は、全く小岩に届かず


仰向けのまま落ちて行き…

落ちて行き…


あれは海だから

漂ってるって言うんだな。


地面に降り立ったアンちゃんは

憤怒とばかり

おいらの背中を睨んで言う。


「高い山も一歩から攻略よ」


もう一度、甲羅に足をかける。


ねぇ

アンちゃん、


ずるり…



浮けばいいんじゃね?


「あ!」



「今度こそ目指せ頂上!」


ずるり…。


ま 楽しそうだから言わないでおこう。


ボコはあくびを噛み殺した。


どうせ言っても聞かないしな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ