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涙の海  作者: 黒米 紅子
まやっちの海
28/40

③ ボコのぼやき 其三

アンちゃんは少しというか

かなりおかしい。


料理はうまい。

これはおいらが言うんだから間違いない。


掃除はまぁまぁかな。

と言うか おいらの身体じゃ

部屋に入れないからわからない。


洗濯は、海の中だから

泳いでたら洗濯と一緒だと思うんだが、

アンちゃんは違うらしい。


洋服を洗うように

おいらも洗う。


だから洗濯はバッテンだ!


亀ソリの扱いもいただけない。

何が超特急だだ。

自分じゃ モサモサしか歩けない

泳げないのに

なぜだか おいらには

「超特急」をさせる。


嫌いじゃないから困るんだけど。

そりゃ疲れるよ。

だけど確かにスカッとする。


アンちゃんなんか

「ヒャッホー」なんて声をあげて

手綱も離すから、落ちそうになるんだ。

その度 おいらはアンちゃんを

掬うんだ。

「キャハッ」って笑うアンちゃんを見ると

【仕方ないな~】って思うんだ。


「やったねボコぉ~さっすがぁ!

ダーーーいすき」って

おいらの首にぶら下がるんだぜ。


ま、楽しんでるんならいいかって思う

おいらも楽しんでるんだな。


アンちゃんは、昼寝が好きだ。

おいらも昼寝が大好きだ。

アンちゃんがおいらによっかかって

ぼんやりしながら

二人で休むのは安心するよ。


だけどさ

ブンさまとかいうトショカンってとこで

アンちゃんはすぐに寝てしまうらしい。

ブンさまに会いに行く~って

おいらを連れていくんだけど


もちろんおいらは入れないさ。


毎回ブンさまが

アンちゃんを引きずって

出てくる。


「よくお休みされてるので」ってさ。

おいおい 寝るならおいらのとこで寝ろって思う。

ブンさまに「お疲れ様」なんて言われちゃう。


なのにトショカンへ行くのを

やめないんだ。

寝に行くのは違うだろっておいらも思う。

そのくせ

「今日は寝ずに3ページ読めた!」って

喜んでるんだ。


喜んでるならまぁいいけど。


だからアンちゃんはおかしい。

ご飯だけ作って笑ってればいいのに

どうやらそれだけじゃ足りないらしい。


あとどれくらいで

またブンさまに ふよふよと

引きずられて出てくるのかな~。


なんだかおいらも眠くなってきた。

夢の中でご飯でも食べるかな。


「ボコ!」

「ボコ起きて!!」

「もー」

あれ?アンちゃんが怒ってるぞ。

おかしいな寝てないぞ。


「いっつも言ってるでしょ!」

「寝る時は顎の下にタオル引く事って」


ボォボボボォ


あー眠い。


「ボコは寝ぼけてヨダレまみれになるんだから!」

「どーせご飯の夢でも見てたんでしょ」


失礼な!


「ほらヨダレ拭いて!」

ボボボォ

なんで寝てないんだ?アンちゃん。


「どうして寝てないんだって思ったでしょ。」

「違うわよ、寝そうになっただけよ。」


ボボボォ

へー今日は起きていられたんだ。


「澪さんのアドバイスのおかげでね!」

「本を開かなければ起きてられたのよ!」


えっへん、と胸を張るアンちゃん。


ボボ…ボボォ。


へぇ。

それ、トショカンへ行った意味あるのか?

アンちゃんは満足そうに頷く。


「進歩よ!」


「今日は一冊も読まずに帰れたんだから!」


……。


ボォォ。


喜んでいいのか、それ?


その前にさ、アンちゃん。


毎度思うけど。


海の中でヨダレ出しても……


わかんないじゃないかな。







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