表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

朝露の温もりと、不器用な日常の始まり

第2期・第2章。

永遠の誓いを交わした夜が明け、二人は本当の意味で一つの家族となりました。

溢れるほどの愛情に包まれた特別な時間の翌朝、身体の痛みに戸惑う山城先輩と、彼女を誰よりも優しく労わる和樹。

弱々しくも愛らしい「妻」としての表情を見せる彼女と、深い責任感を持って包み込む彼の、どこまでも甘く切ない新婚生活の日常を描きます。

深く、どこまでも深い愛に満ちた夜が静かに明けていった。

カーテンの隙間から柔らかな朝陽が差し込む頃、和樹はゆっくりと意識を取り戻した。腕の中には、彼の胸にぴったりと身体を預けて眠る山城の姿がある。

夜の熱を帯びた名残のせいで、彼女の美しい銀髪は少し乱れ、汗ばんだ肌に張り付いていた。しかし、その無防備で安らかな寝顔は、これまでのどんな冷徹な表情よりも愛おしく、和樹の胸を強く締め付けた。

和樹は愛おしさを抑えきれず、彼女を再び腕の中に優しく引き寄せ、その頭をそっと撫でた。

その愛撫に反応するように、山城は長い睫毛をかすかに震わせ、ゆっくりと青純色の瞳を開いた。

「……かず、き……」

寝惚けた、けれど確かな甘えを含んだ声が和樹の名を呼ぶ。

「おはよう、山城」

和樹が彼女の額にそっとキスを落とすと、山城は少し顔をしかめ、布団の中で身動きを試みた。しかし、すぐに小さな悲鳴のような吐息を漏らす。

「……どうした?」

「……身体が、その、言うことを聞かないの。足が妙に重くて、それに……あちこちが痛むわ……」

慣れない激しい疲労と鈍い痛みに、山城の白い頬が一気に林檎のように赤く染まっていく。

和樹はその様子にすべてを察し、優しく微笑みながら彼女の頭をもう一度撫でた。

「無理に動くな。今日はここでじっとしてろ。今、温かいお茶を淹れてくるから」

「……うん。それと、あの……着るものを、何か貸して」

布団の端から視線だけを覗かせ、恥ずかしそうに懇願する彼女があまりにも愛らしくて、和樹は意地悪く彼女の顎を指先で少し持ち上げた。

「おや、俺の奥さんは朝からずいぶんと可愛い顔をしてるね」

「……もう! 意地悪言わないで、早く行って……っ」

山城は完全に布団の中に潜り込み、小さな声で反論した。和樹は声を立てて笑いながら、布団の中で手早くズボンを穿き、ベッドから立ち上がってキッチンへと向かった。

キッチンに入った和樹は、まずお湯を沸かした。

彼女の身体の痛みを少しでも和らげるため、沸かした湯をガラスの湯たんぽボトルに丁寧に注ぎ、熱が直接伝わりすぎないようタオルで包む。それから、香りの良い温かい紅茶を二人分淹れた。

お盆にボトルとマグカップを載せて寝室に戻ると、山城が布団から少しだけ頭を出して待っていた。

和樹から温かいボトルを受け取ると、彼女はそれを愛おしそうにお腹のあたりに当て、じんわりと広がる熱に心地よさそうな溜息を漏らした。そして、差し出された紅茶をゆっくりと口に運ぶ。

「少しは落ち着いたか?」

「ええ……温かくて、気持ちいいわ」

恥ずかしそうに微笑む彼女の枕元に、和樹は自分の大きめのスウェットと衣服をそっと置いた。

「着替え終わるまでリビングにいるから、ゆっくりでいいぞ」

そう言って和樹が部屋を出ると、山城は残された衣服を胸に抱きしめ、彼の匂いに包まれながらゆっくりと身体を動かし始めた。

リビングのソファに座り、深呼吸をして気持ちを落ち着かせていた和樹の耳に、静かな足音が聞こえてきた。

振り返ると、寝室のドアから山城が姿を現した。

和樹の大きすぎるスウェットの袖からわずかに指先だけを出し、両手を前で慎重に合わせている。身体の節々の痛みのせいで、その歩みはどこか頼りなく、小刻みに震えていた。

和樹と視線が合うと、彼女の瞳に熱い潤いが灯る。

一歩一歩、慎重に歩いてきた山城は、和樹の目の前に到達すると、そのまま吸い込まれるように彼の膝の上へと腰を下ろした。

細い腕を和樹の首に回し、じっと至近距離で彼を見つめる。

「和樹……」

「ん?」

「……まだ、眠いの。あなたの側で、もう一度だけ寝かせて」

その願いを拒む理由など、和樹にはあるはずもなかった。「いいよ、好きなだけ寝ろ」と囁き、彼女の細い腰をしっかりと支えて自分の胸に引き寄せた。山城は満足そうに目を閉じ、数秒もしないうちに、規則正しい柔らかな寝息を立て始めた。

それから2時間が経過した。

お腹に伝わる心地よい温もりで、山城は再び目を覚ました。

ゆっくりと身体を起こして周囲を見渡すが、先ほどまで自分を抱きしめてくれていた和樹の姿が膝の上にはない。

不安が胸を過った瞬間、キッチンの方からパチパチと小気味よい音が響き、香ばしい出汁と焼き物の匂いがリビングに漂ってきた。

ソファから降り、まだ少し痛む足を引きずりながらダイニングテーブルへと近づくと、そこには丁寧に作られた温かい朝食が並べられていた。エプロン姿の和樹が振り返り、彼女を見て優しく笑う。

「お、起きたか。ちょうど出来上がったところだ。ほら、座れ」

山城がゆっくりと椅子に腰かけると、和樹は彼女の前に座り、自ら箸を持った。

「身体、まだ痛むんだろ。ほら、口を開けて」

「えっ……自分で食べられるわよ」

「いいから。ほら、あーん」

少しだけ恥ずかしそうに躊躇った山城だったが、和樹の真っ直ぐな瞳に負け、小さく口を開けた。和樹の手から優しく運ばれる食事は、彼女の心と身体を芯から温めていく。

誰かにこうして無条件に愛され、労わられることの喜びを噛み締めながら、山城は生まれて初めて、何の不安もない満ち足りた朝を迎えていた。

本当の夫婦としての深い絆を結んだ和樹と山城先輩。身体の痛みに戸惑いながらも、和樹の献身的な看病と優しさに触れ、彼女の心はかつてないほどの幸福感で満たされていきました。

次回、新婚生活の甘い余韻も束の間、いよいよ学校の新学期が始まります。指輪をはめ、どこか雰囲気の柔らかくなった山城先輩の姿に、学園の生徒たちは驚きを隠せません。そして、親友である和泉と沙羅が二人のアパートを訪れ、二人の「重大な変化」に気づくことに……!?

次回も激動の展開をお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ