第十夜 お姉さんは少年の脚に夢中なのよ!(中編)
今日はとてもいい天気。
雲ひとつない青空が広がっている。
まだ午前九時だというのに既に暑い。身体中にうっすらと汗がにじんでいる。
海の家で大きなビーチパラソルが借りられるようなので一つ借りることにした。
「ひゃあああん?」
ゆうくんが不意に私の眼の前で、ジャージのズボンを下げて海パン姿になった。
いや海パンじゃない? これは!? 競泳水着か……なんて布面積が小さいんだ。
私はてっきり、ハーフパンツみたいなのを想像していたのに、これはすごい。
思わず変な声が出てしまった。
いや、だって、いきなりゆうくんが日焼けしていない白い太ももをあらわにしたんだもの、びっくりしちゃうじゃない。
つぐくんの脚も実に「お姉さん好みのいい脚線美」だったけど、ゆうくんもまたいい脚。
普段ジャージやデニムで陽に晒されてないからか、とても白い。
いい。
競泳水着で足の付け根の隙間がチラチラ見えるのがよい。
それになんといっても股間がすっきりしているのがいい。
さすが子どもだ。
ボリューム感がまるでない。それがいい。
つぐくんもゆうくんも無駄な脂肪があまりなくスラッとしていて、惚れ惚れしちゃう。
それに全くすね毛がなくて毛穴も目立たず、産毛の気配もない。
あー思い切りスリスリしたい。撫で回したい。
さすがにそんことは出来ない。
セクハラはダメ絶対。
つぐくんは、ビーチパラソルの下で、荷物を置いて座っていた。
「小清水先生……? そろそろ着替えてきたら? 僕たちはジャージの下に水着を着ているから、さっと脱ぐだけだけど、先生は更衣室とか行かないとじゃない?」
「あっ、大丈夫よ。実は私も下に着てきているんだっ。えへへ」
「せんせーわたしたちのスクール水着を馬鹿にしたくせに、先生も競泳水着じゃない!」
「いやぁ可愛いのとか苦手だし、これ高校の時の水着なのよね」
「しかし先生、それぴっちぴちできつそうなんですけど? 大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫大丈夫。むしろ高校生の頃よりゆるいくらいよ」
そういうあなたたちも、ピッチピチじゃないの。
お尻、食い込んでいるわよ。
でも言わないでおこうかな。
胸のところに名前が縫い付けられてあるんだけど「4の2」ってあんたたちもう六年生のはず……。
程よくクタクタになってる色あせた濃紺スクール水着とはあざとすぎる。
お尻のところが少しけばだってるのもまた……。まあいいか。
「それじゃあ私はここで横になってるから、あなたたちは好きに遊ぶがいいわ」
すると女の子たちが残念そうに私に言った。
「えぇー先生も一緒に遊ぼうよー」
「私は外で遊ぶの苦手だし、あまり陽にあたりたくないのよね。あなたたちだけで海に入ってくるといいよ」
「んもー先生ったら女子大生のくせにおばさんくさいー」
私は「はいはい」と、いいながら行ってらっしゃあいと手をふった。
「じゃあ、ゆう! つぐ! あの沖のテトラポットまで泳いがない?」
しずくちゃん、元気ねえ。
「いいね、つぐのぶ行こうぜ」
ゆうくんが、そう言ってつぐくんの手を掴んだ。
「いや、僕はちょっと喉が渇いてるから自販機で飲み物を買ってくるよ。あとで僕も泳ぐから先に行ってて」
「それじゃあ俺の分も買っといて。ドクペがいいなあ」
「あーわたしオレンジジュース! ゆうこはどうする?」
「ん……レモンスカッシュ」
「じゃそれとあとは適当に色々買っとくよ」
そう言うとつぐくんが私の方を見て目でなにかを訴えていた。ははーん、そういうことね。
「あっそれなら私も行く。一人じゃ買ってくるの大変でしょ?」
「……うん、小清水先生ありがと」
水着を海水で濡らす前に「おもらし」ね。はいはい。自販機の裏手に調度良い背丈の草むらがあるわね。
ゆうくん、しずくちゃん、ゆうこちゃんたちが波打ち際に向かったのを確認し、私とつぐくんは砂浜沿いの道路を挟んで向かにある自販機へと歩いた。
*
一通りみんなの希望の飲み物を買って、あたりを見回してみた。
やはり自販機の裏手の草むらがいい感じで目隠しになる。うふふ。
「つぐくん、あっちに行ってみない?」
つぐくんの手を引っ張り、草むらの奥へ入っていってみた。
「うん……」
どうしたんだろう? あんなに楽しみにしていたのになんだか元気がない。なんかもじもじしている。いい。太ももスリスリしてやりたい。やらないけど。
「つぐくん?」
「さとみお姉ちゃん……、さっき海の家でおしっこしちゃって、今全然出そうもない」
「……!」
ちょおっとぉぉぉ、なにやってんのつぐくん!
―― 後編へ つづく ――




