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閑話フォル

フォル視点です

とにかく必死だった

兄さんが僕を肩に担ぎ、必死に森の外へ走る

雷狼たちの止まない斬撃、雷を纏った突進

魔法は体力も使うし、魔力も使う

飛んでくる斬撃には『水弾』をぶつけ

突進は正面に『水幕』を置いておき、威力を殺す

魔法を使い続けるほど体力が無くなり、精度がどんどん落ちていく

後ろを振り向けないため、終わりがいつ来るかわからない

でも防ぎ続けるしかない

すると兄さんが僕らを担いだまま身を投げ出す

一瞬転んだのかと思い、衝撃に備える

しかし柔らかい芝生にお尻から落ちたため痛みはない

僕ら三人を一気に光で包なれる

太陽の光だ

三人とも草原に投げ出される

兄さんはまだ意識があるようだけど、かなり限界に近い

アンさんも気絶したままだ

兄さんの視線を追うように僕も森の雷狼たちを見る

だが幸いなことに雷狼たちが森へ消えていく

(助かった…)

するとドサッと倒れる音が聞こえる

「兄さん!」

自分も体力が限界に近かったが、今はそんなことを気にしている場合ではない

這って兄さんのもとへ行き、状態を見る

(ひどい傷だ…)

脈はある、だが弱い

イヤな汗が伝った

水癒は回復には使えない

ガーゼを押し当てながら患部を冷やすのとほぼ同じ効果しかない

焦りで思考がまとまらない

このままだと兄さんが死ぬ、そう思うばかりで冷静ではいられない

その時、遠くから呼びかける声が聞こえた

「おーい!あんたら大丈夫かー?」

声のする方へ視線を送ると、30代ぐらいのおじさんがこちらへ走ってくる

「に、兄さんが…!このままだと死んじゃう!雷狼たちにやられて…!アンさんも!」

情報がまとまらず、話が飛び飛びになる

「落ち着けって。話は後だ。とりあえずこの兄ちゃんの状態が一番危なそうだな」

おーい、と後ろの仲間と思しき人たちを呼び段取りを決めているようだったが、何も話が入ってこない

助かった

そう思った瞬間、糸が切れたように全身の力が抜け、自分も倒れてしまう

人が来てくれた安堵感で自分も限界だったことを思い出す

「兄さんを…助けて…」

薄れゆく意識の中必死に絞り出す

「あぁ、任せろ」

返事を聞き、そのまま意識が落ちる

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