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エンライ王国part1

とても暖かい

フカフカの何か包まれている感覚がある

(これは…布団か…)

うっすらと目を開けると、目の前は木造でできた天井だ

「あ!兄さん、目が覚めたんだね!」

声がする方へ顔を向けるとそこにはフォルがいた

「フォル…?ここは?」

「ここはエンライ王国の中にある宿だよ。僕らをここまで運んでくれた人たちがいたんだよ」

今にも泣き出しそうなのをこらえながらフォルが説明してくれる

思考が段々回ってきて自分が意識を失う前の事を思い出してきた

「…ってフォル!お前は大丈夫なのか…ッツ!!」

ガバっと身体を起こすが、あちこちが痛む

「ダメだよ!兄さん、まだ治ってないんだから…僕は大丈夫だよ。アンさんも心配ない」

「そうか…よかった。お前らが無事で」

二人が無事で胸をなでおろす

すると部屋の入口の方からドサッと物を落とす音が聞こえてきた

音のする方を見ると買い物帰りなのだろう、果物類が床に転がっている

それを確認すると同時に何者かが勢いよく抱き着いてくる

「ラル!ラル!!よかった…もう目覚めないと思った…!」

「いてて!!アン!痛い!もう少し力緩めてくれ!傷が!傷がァ!」

「ご、ごめん。でも本当に良かった…」

抱き着きを解除し、フォルの隣にあった椅子に座る

ふぅ…と息を整える

「アンが言ったもう目覚めないと思ったってのはどういうことだ?まるで俺が何日も寝てたみたいな言い方だけど」

「そのまさかよ!アンタ三日三晩寝てたのよ!治療師に聞いてもラルの頑張り次第って言われるし…」

「治療師からはこの傷なら最低でも一週間は目覚めないって言われてたんだけどね」

「ラルの治療が終わった時、治療師がかなり疲れた顔してたわよ。時間もかかってたし」

「そうだったのか…でも俺って昔から傷の治りは早いんだよなぁ…」

子供の頃、転んで擦り傷を作っても一日か二日で治ってたことを思いだす

「でも本当に目覚めてくれてよかった…私が気絶してからの事はフォルから全部聞いてるわ」

グスっと涙をぬぐいながらアンが言う

「アンさん、兄さんがここに運ばれてからずっと離れなかったもんね。」

「フォル…!!余計なこと言わなくていいから!!」

アンがフォルを押さえ、顔を赤くしている

またいつものが始まった、そう思うと同時に大雷狼からの生還をかみしめる


「…俺が気絶してたこの三日間の事について聞いてもいいか?」

アンを落ち着かせ、気になってたことについて聞く

「そうだね。まず僕らを草原から拾ってくれたのはトスさん率いる銀狼隊っていう冒険者チーム。ここエンライでは中々名前の通った冒険者チームみたいだよ」

「私が最初に目を覚ました時は馬車の中だったわ。ここに向かう途中に私たちの応急処置してくれたのも銀狼隊ね」

「ここについてからは銀狼隊の人たちが宿の手配や、治療師まで呼んでくれたみたい。おまけに治療代はいらないって言って払ってくれてたよ」

「三人分だと治療代中々高いでしょ?だから流石に申し訳なくなって、今は私とフォルで銀狼隊の手伝いをしてるのよ」

「そうか、ここってギルドがあるのか」

「あ、まずはそこなのね。まあそうね、だってここは五属性国家のうちの一つだもの。ギルドくらいあって当たり前よ」

その時、入り口からノック音が聞こえてくる

アンが返事をすると、少し渋めな感じのおじさんが入ってきた

「お、兄ちゃん起きたか。最低でも一週間って言われてたのにその回復力すさまじいねえ」

ヒュウと口笛のようなものを鳴らしながらおじさんが言う

「アンタがトスさんか。まずは礼を言わせてくれ、助けてくれてありがとう。恩に着る」

ベッドの上から深々と頭を下げる

「あーいいっていいって、そういうの。固くるしいのは嫌いなんだ俺は」

頭をポリポリと掻きながら返事をする

「兄ちゃんが目覚めたなら俺はもう安心だ。色々聞いたが、あんたも災難だったな。しばらくはここエンライでゆっくり療養するといいさ」

「そうさせてもらうよ」

「俺たちは大抵ギルドハウスにいるからよ、動けるようになったら顔を出しに来な。フォル、アンちゃん、またあとでな」

「はい」「ええ」

二人の返事を背中で受けながらひらひらと手を振り、トスは部屋を出て行った

「いい人でしょ?」

トスを見送り、アンが行ってくる

「そうだな、そして多分あの人めちゃくちゃ強いな。佇まいが只ものじゃない」

「そうだね、実際かなりの腕利きだよ。でもリーダーとは言え、兄さんよく分かるね」

「うまく言えないんだがな。戦ったら確実に負ける、そういう直感が働くんだ」

「ふーん、まあそれよりもあんたは早く体を治すことを優先しなさい」

「え、今ギルド行っちゃダメなのか!?」

「ダメに決まってるでしょ!トスさんも言ってたじゃない!動けるようになったら来いって!」

這ってでも行くつもりだったのに…と思いながらも渋々布団に潜り、アンの買ってきた果物を食べる

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