十六話 未知の力
十六話 未知の力
体勢を崩し動けないオータキに、バレットの剣”口笛吹き”の斬撃が迫る。オータキの命運が尽きたかと思われた時……。
バーンッ!!
轟音が鳴り頭上から雷光が一閃し、バレットの放った斬撃がかき消された。そして、続けざまに雷光が落ちてくる。
「先生ーっ!! これをヴァッフェに付けて撃ってぇ 」
「ノッコか 」
頭上に浮かぶノッコが空からイノに珠のような物を投げてきた。どうやら、イノの頼みを無事果たしライディーンから帰ってきたようだ。イノはノッコの投げてきた珠をガシッと受けとるとロートホリゾントに、黄金色に輝く珠を付けてみた。すると、珠は吸い込まれる様にロートホリゾントと一体化する。イノはノッコの指示通り、神将目掛けて引き金を引いた。ロートホリゾントから撃ち出された弾丸は、バリバリと周囲に電気の火花を飛ばしながら飛んで行き、それをかわした筈のバレットが弾丸が纏った電気の衝撃で吹っ飛んだ。
「なに、これ? 電撃? 」
バレットが、よろよろと起き上がるが、その隙を逃さずイノが続けて狙い撃つ。バレットは素早く”口笛吹き”を縦横無尽に振り、その見えない斬撃で弾幕を張った。ノッコは前回の失敗があるため、すぐに移動しユーナの元に向かっていた。
「ユーナお姉ちゃん、この珠をヴァッフェに付けて使ってっ!! 」
「ノッコ、なにこれ? 」
戸惑いながらもユーナは背中に背負った自分のヴァッフェに、ノッコから受け取った珠を付けると同じようにヴァッフェと一体化した。何か自分のヴァッフェの力が増した様に感じたユーナはメイスンに狙いをつける。以前メイスンと戦った時、メイスンの衝撃波は貫通する事は出来た。ユーナは片膝を落としてロケット砲を構える。
「ミイさん、ケイさん、避けてっ!! 」
二人が左右に跳んだ瞬間、ユーナはロケット弾を撃ち出す。ロケット弾は周囲に火花を散らしながら一直線にメイスンに向かう。メイスンは余裕で自分の剣”ザ・ウォール”を振り抜き衝撃波を発生させる。そして以前と同様、ユーナの放ったロケット弾は衝撃波で軌道を変えられ、メイスンの左方向に反れていったが、その弾丸に纏っていた電撃がメイスンを襲った。
「グハッ! 」
電撃を浴びたメイスンが膝をつく。
「やった! ユーナさん、もう一発! 」
「ごめんなさい、ミイさん 私のヴァッフェ、1日1回しか撃てないの 」
「へっ? 」
ユーナが申し訳なさそうに言い、ミイが脱力した。
「ほら、ミイ 今がチャンスですよ 」
ケイが素早くメイスン目掛けて飛び出し、ヨーヨーをスローする。ヨーヨーのボディに付いた刃がメイスンを切り裂いたかに見えたが、メイスンは辛うじてケイの攻撃をかわしていた。しかし、その動きは明らかに鈍っていた。
* * *
ノッコはカシギにイノに頼まれてライディーンに行ってきた事を報告していた。ライディーンの人々もテクノポリスから援軍が近くまで来ている事を知り、防御を固めて耐えている中に希望が出来たと喜んでいた。そして、ヴァッフェに装着する研究者ユキーロが開発完成させた兵器「雷電」をカシギにも渡した。
「ご苦労様です、ノッコ この黄金色に輝く珠が「雷電」ですか 」
「はい、ユキーロさんが、これをノイメンが使うヴァッフェに付けると一体化して電撃を纏う事が出来ると言っていました イノ先生とユーナ先生には渡してあります 」
「なるほど これがあればノイメンの部隊がレベルアップ出来ますね 」
「ユキーロさんが、量産体制も整えられると言ってたからカイ隊長の部隊なんか強くなりそうですね 」
カシギとノッコが話している間、ラプラスは遠くの戦場を見つめていた。戦場の中では「見守る者」と呼ばれる物体が動き回っている。ラプラスは、その動きを注視していた。
「話している所、悪いがカシギ 少しいいか 」
カシギが、どうしたという様にラプラスを振り向く。
「この戦いは、もうすぐ終わる だけどそれは、おそらくここに居る全員が思ってもいない結果で終わるだろう 」
「思ってもいない結果? 」
「そうだ おそらく誰も想像すらしていないだろう 」
ラプラスは含みのある笑みを浮かべる。その時、1台の馬車がこの戦場に到着する。
「おい、凄いことになってるぞ 大丈夫なのか、フリップ? 」
「心配するな、シンフィールド 一発で終わらせてやる 」
フリップは双剣エピタフとスターレスを両手に持つと馬車から降り戦場に立った。




