十五話・激闘
十五話 激闘
イノとゴンタは三人の神将相手に苦戦を強いられていた。ギルモアがゴンタの攻撃を掻い潜り“ザ・エンドレスリバー“でイノに斬りかかる。地面に転がり辛うじてかわしたイノだったが、起きる間も与えられずバレットの“口笛吹き“の斬撃が襲ってくる。
「くそっ! さすがにコイツら三人相手は無理があるか 」
地面を転がりながら敵の攻撃を逃れているイノだが、敵の素早い攻撃に追い詰められていった。ゴンタはライトに足止めされてしまっている。そして、イノの動きが一瞬遅れた隙にギルモアの剣が襲いかかった。
・・いかん、避けきれん・・
イノが覚悟をした時……。
「ヴァッサーファル 」
ギルモアの動きが鈍り、その間にイノは体勢を立て直す。
「ヴァッサーファル 」
更にギルモアの動きが鈍くなる。
「オータキ隊長っ! 」
「カイから聞いていたが無茶苦茶な奴だな だがお前たちの勇気が突破口を開いた 礼を言うぞ、イノ マゴットとコッコも俺の部下が保護した、心配するな 」
その時オータキに狙いをつけていたバレットに気付きイノがロートホリゾントで銃撃する。バレットは銃撃をかわし舌打ちしながら地面に転がり銃撃を逃れた。
「礼を言うのは俺の方です 助かりました、オータキ隊長 でも、俺よりユーナの方を手助けしてください 」
「心配するな、あっちには俺より強い二人が向かって行った 」
オータキが笑顔で言いながらも油断のない目で戦況を見極め、バレットに攻撃を集中しようとした時、ギルモアが斬りかかってきていた。
「俺の剣“ヴァッサーファル“を二度も受けて、まだこれ程動けるのか! 」
オータキはギルモアの剣を受けようとするが、イノが叫ぶ。
「ダメだ、隊長! そいつの剣は受けられない! 避けろ! 」
オータキは咄嗟に身をかわしギルモアの斬撃を避けたが大きく体勢を崩し、そこへバレットの剣“口笛吹き”が襲いかかる。この体勢では避ける事は不可能。イノが体当たりしてオータキを助けようとするが、バレットの斬撃の方が早い。オータキの顔を冷や汗が伝う。
「万事休すか 」
「諦めるな、隊長! 」
イノが叫ぶが、オータキは体勢を崩したまま動けずにいた。
* * *
敵の剣”レインボーデーモン”を破壊するため、剣を持つヘルシャフト、ヘンズレーに向かっていたユーナだったが、ここに来て魔獣の群れに行く手を遮られていた。
・・・マゴットとコッコが身を挺して私をここまで送り込んでくれたのに イノとゴンタちゃんも私の為に神将を食い止めてくれている 私があの剣を何としても破壊しないと ・・・
「ローゼパイチェ 大切断 水平タイプ 」
もう力を惜しんではいられない。ユーナは聖剣の力を解放し突き進むが、際限なく湧いてくる魔獣の群れに心が折れそうになる。
・・・もう、すぐそこ 手の届く所に居る筈なのに どうして ・・・
ユーナは魔獣の壁に遮られ苦戦していたが、心なしか魔獣の層が薄くなった気がした。
「ユーナさん、魔獣は引き受けます 」
「ユーナさんは、ヘルシャフトを 」
ユーナの前に突然二人の黒い影が現れ、両手に装着したヨーヨーで魔獣を血祭りにあげていく。
「ミイさん、ケイさん 」
ブラックレディの二人は、余程無理に魔獣の群れの中を突っ切ってきたとみえ、自慢の黒いスーツはボロボロになっていた。
「まったく、このスーツ高かったのに、もう着られないじゃないですが 」
「大丈夫ですよ、ミイ 必要経費で落としましょう 」
「でも、ケイ カシギ様、結構細かいですから申請通りますかね? 」
「そうしたら、カシギ様お気に入りのイノさんに口を利いてもらいましょうよ 」
ケイが悪巧みを考えている子供の様にニヤリと笑う。ミイも、ふふっと笑うと自らタイトスカートを切り裂く。ミイの動きが更に鋭さを増し、魔獣の群れをまるで粘土細工を壊す様に倒していく。
「はしたないですよ、ミイ 」
そう言いながらケイも、すでにボロボロのタイトスカートを切り裂き、強力な蹴りをギガントに浴びせる。ブラックレディの二人の援軍でユーナは敵本陣奥まで辿り着く。
・・・見えた ・・・
ユーナの視線の先にヘルシャフトの姿が映った。三人のヘルシャフトの真ん中の一人が、あの時見た虹色に輝く剣を構えている。ヘルシャフトは迫ってくるユーナを確認し逃げる様子をみせた。しかし、逃走しようとする判断が遅かった。ユーナは、アッと言う間に目前に迫る。
・・・覚悟しなさい ここでその剣は破壊させてもらう ・・・
「ローゼパイチェ 大切…… 」
ユーナが聖剣の力を開放し斬り掛かろうとした時、ユーナは見えない力で弾き飛ばされ宙に舞った。
「ゴハァ 」
ユーナは口から血を吐き地面に叩き付けられた。身体がバラバラになるようなこの衝撃。ユーナは、この衝撃に記憶があった。
「ユーナさんっ!! 」
ブラックレディの二人が魔獣を倒しながらユーナに駆け寄る。ユーナは、大丈夫とヨロヨロと立ち上がり、一点を見つめる。
「出て来なさい あんただって事は分かってるわ、メイスン 」
魔獣の陰から神将メイスンが姿を現した。
「あの時の女か よく生きていたものだ 」
「冗談じゃないわ 死にかけたわよ 今度はあの時の借りを返させてもらうわ 」
「ふははっ 俺の“ザ・ウォール“をくらっておきながら、相変わらず強がりだけは大したものだ 」
余裕をみせるメイスンに隙をついてミイが飛び掛かり、メイスンの持つ剣目掛けてヨーヨーをスローする。が、メイスンはモーションなしの技を発動する。
「ザ・ウォールクライス 」
「ガハァ 」
ミイは衝撃波で弾かれ血を吐くが、ヨーヨーのストリングがメイスンの剣に巻き付いていた。
「ぬぅ 」
メイスンの剣の動きを封じた瞬間、倒立して足を開き独楽の様に高速回転したケイがメイスンに襲いかかる。
「∪FO'77 」
周囲の魔獣を粉々に切り裂きながらメイスンに迫るが、またもメイスンが剣の力を開放する。
「キャン 」
ケイも弾き飛ばされたが、空中で体勢を立て直し足から着地する。
「剣の動きを押さえても技が発動出来るのですか なかなか厄介ですね 」
ミイはヨーヨーをバインドし手元に戻すと憎々しげに呟いた。ヘンズレーはメイスンの後ろで、レインボーデーモンを使い次々に魔獣を生み出していた。




