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第46話 地球

 種族の珠、種族の珠……思い浮かべると体の中に感じたことのない異物が生まれた。


(キスだと思うから恥ずかしいんだ、仲間を増やすため仲間を増やすため……)、頭の中にたくさんの子供が思い浮かぶ。


「あのねー、地上でずっと見てきたから何を考えてるか何となく分かるけど、そのための行為でも良いんだけど、次世代の人たちに任せようとしてるの? でも結局それを実行するためにはちゅーするでsy──」


 被せるように必死で「ああああああああ」と叫ぶ、まったくこの(もや)はなんてこと言うんだ……ずっと……もしかして頭の中の恥ずかしいこと……パソコンやベッドのことまで知っているのだろうか。


「|ヽ(○´3`)ノ チュゥゥゥ《キス顔》」

「ちょ、ひなつ……」と慌てるが、やらないと先に進まない。みんなのためみんなのため……自分に言い聞かせてキスをする……(はぁ~柔らかい)……キスってこんなに良いもんなんだ。おっと、珠を彼女に入れて……。


「なら次はわたくしですね」

 わさびとのキス。リードされるがまま大人のキス……、珠を入れようと必死になるがガッチリガード……長い時間をかけてなんとか受け取ってもらえた。「ふふふ、次はわたしたちの子供を作りましょうね」と添えられて。

 

「あんこは……」どう考えても小学生、17歳と分かっていても心にちくちくしたものがある。

「拙者は出来ればお断りでござる、()()()()とかいうものには興味がないでござる」

「えっと」……困っていると急に大人になるあんこ、トヨタマが「百花繚乱を発動させといたよー」とキャッキャと話す。

「みるる殿、拙者は準備が出来たでござるよ。いつでもくるでござる」

 あんことのキスは作業という感じ、カチカチとした体強張りと熱い頬の赤らみ、うるうるする目にギャップを覚えてドキドキ。


「最後はみそらだね……って本当にいいの?」

「だって……」と迷っているのが分かる。恋心を抱いたこともある女性、そんな彼女とこんなことになるなんて……。

「あ、どれみちゃん、わたしがチューしてもいいかしら」、とふぁそらに切り替わったようだ。「ちょ、ふぁそらには聖一さん……」とふぁそらの人格が前面に出てきた。

「えっと……本当にいいの?」

「いいのいいの、隠してるようだけどちゃんと分かってるから。もう聖一さんはいないって。そんなことよりみるるくん、スライムの形になって」

 言われるがままスライムの形になる。ふぁそら(みそら)は小さくなった僕を拾い上げると唇を重ねた。

「そのまま珠をちょうだい」と言われるがままに珠を受け渡すと彼女は唇を離した。

「やったー、まさかスライムとチューできるとは思わなかったわ~、わたしスライムだーい好きなの。ねえ、その姿のまま結婚しようよー」


 

 とまあ、バタバタしながらも無事にみんながトヨタマ族として仲間になったのだった。


「ねえ、みそら。聖一さんがいないって……どういうこと?」

「それはわたくしから話しましょう」


 わさびが割って入ってきた。()()は直感で分かっていたようだが、聖一とふぁそらの核をひとつの珠に封じ込めたというのは嘘で、本当は聖一とどれみの体に埋め込んだ方がそれぞれの(本体)だという。


「それだったら、ふぁそらはどれみの体を共有して聖一先輩は剣聖先輩と体を共有しているってことだよね」

「ちょっと違います、どれみはみるるによってトヨタマになったので受け入れるキャパシティーを手に入れました。しかし、剣聖は元は人族、アトラク=ナクアはアラクネ族ですのでそんな力はありません」


(そういうことか……)


「なんとなく分かっていたの。そうなるんじゃないかって……聖一は心の中だけの存在になるんじゃないかって……」


 聖一とふぁそらが辿り着いた魔人の村、「匿ってほしい」という人族の頼みをただで聞いてくれる訳がない。アトラク=ナクアに勝ったらと勝負を持ちかけられ、なぶり殺されそうになった聖一をユングが止めたが、回復の見込みがない聖一にユングが永遠の愛と偽ってふぁそらとともに肉体から分離させた。


 ダイモーン族の王女として人族を匿い続けるわけにもいかず、核をそれぞれの家族に返すようにしてくれたらしい。


「ふぁそら……それで本当に良かったの?」

「いいのよ。高校生の恋愛なんてそんなものなの、高校生で付き合ってそのまま結婚する人ってどれくらいいると思う?」

「ふふふ、()()がふぁそらを慰めてあげてるんですね。魂を分離すると想いが強く残ってしまうので、強すぎる心残りを消失させておかないとせっかく生き残っても後を追ってしまうことがあるのよ」

「心残りが消失って都合が良いでござる」


「トヨタマが答えるね。地縛霊というのは知ってるかな」との問いに、僕とみそらがうなずき「心残りを怨念としてその地にいつまでも留まって悪さをする霊のことですね」と答える。


「|ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿《恐怖にひきつる》」

「みるる殿がいた世界にも霊はいるのでござるな」

「ふたつの魂を一つにするユングの秘術だねー、核となる魂を珠に入れて別の体に移すんだよ、魂にマイナスの感情が強すぎると転送先の魂を追い出してしまうか、相手の魂を喰ってしまうからそうならないように進化させたみたい」



(ふう、なんか色々と詰め込まれたようで疲れたな)


「みるるや、もうお腹いっぱいのようだねー。でもまだまだあるのよー。これからの君たちの使命を伝えるからね」


「あぁ、地上と戦うってやつ? まさか人族やダイモーン族と戦えってこと? その前に頼まれてたロンリにいかないと」

「ああ、アンソレイトで頼まれた件だね。大丈夫……とはいえないけど、もうロンリは滅んだから行っても無駄だよ」


 ロンリは既に滅ぼされていた。トヨタマの話によると『ミミ』という異魔神によって。


「そんな……異世界中を探し回ってでも生き残りを探してあげないとアンソレイトの村長……ホッキョクに申し訳ない」


「君は勘違いしているんだよ、この世界を異世界とかそんなふうに思ってるのかもしれないけど、ここは正真正銘、地球の中だよ」


 え、意味が分からない。こんな魔法だとか魔物だとかゲーム世界のような場所が地球? いやいやいやいや、冗談でも笑えないぞ。

 


「作戦名は『太陽と友だち計画(スキ~ム)』なのだー」


 トヨタマの声が辺り一帯に響いた。

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