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第47話 世界を護る(壊す)者

「はい?!」


 太陽と友だち計画(スキ~ム)。なんなんだ一体このネーミングは。


「いい、説明するからちゃんと聞いてね」


 トヨタマの話しが始まった。この世界は地球の内側、地表に住む人間から見れば地底と呼ばれる世界。そこに住む人は地底人と呼ばれる。

 地上では空を見上げれば空が放射状に広がっているのに対し、この地底世界では中央に集約されるように広がっている。


「つまりだ、空は宇宙につながる球体だと思ってもらっていい。どういう仕組みになっているのか分からないし誰も分かろうとしないから、解明するという概念がないんだよ。この辺りもシンオウの力なのかもしれないね」


(うーん、良く分からない)。みそらがボソッと「世界の中央に宇宙が集まっているってことなのかなぁ」と話した。


「地上世界から見える宇宙と地底世界から見える宇宙は同じ大きさってこと。分かる?」


 ひなつやあんこ、わさびまでポカーン。トヨタマが「この世界で生まれた者には理解しがたい事実だと思うよ」と話した。


「えっと、外径から見える空と、内径から見える中心が同じ大きさ?」

「考え方はその通り、でもね同じ大きさかどうかまでは答えられないの。無限同士の大きさが同じである証明はできないからね」


 ハッとするみそら、何かに気づいたようだ。


「じゃあ、私たちが戦うという地上って、私たちが元にいた世界のことなの?」

「そういうことだねー」


「大丈夫だよ、世界を相手に殺し合いをしようって話じゃないんだから。バンバン核を撃たせて破壊しようとかそんな話しじゃなくて、地球を傷つけないように、お互いの世界で選ばれた者たちが世界を繋ぐ通路に置かれた『重力の理』をひっくり返すだけで良いんだから」


 トヨタマの話しは続いた、この世界に繰り出してくる戦士を倒して戦力を削ぐか、通路に防衛されている『重力の理』をひっくり返すのだという。


「なんで僕たちが……」

「ほら、お互いの世界って表面積が違うから人口が全然違うじゃん、だからミリオンを使ってこっちの世界に人を引っ張ってくるわけ。その入口がミリオンなんだけど、入った段階で向こうの世界にいたことは無かったことになってるんだよ。でもね、向こうの世界も対策をしていてこっちの世界にこれなかった者は、向こうの(異魔人)となって地表を守っているはずだよ。場合によってはさらわれたりね」


 トヨタマが拡張現実(AR)のように映し出したのは異魔人。リストをスクロールしていき「これはトヨタマが把握している一部だよ」


「みるる様、異魔人です……しかもこんなにたくさん」

「ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿」

「今度こそ負けないでござるよ」


 何人もの異魔人が映っているが、容姿は2種類。ベオカで出会った女形と、アイソレイトで出会った男形。


「こっちの戦力は君たちと数人しかいないんだよ。こっちの戦力を削ごうと異魔人たちはSランク使いを潰しに来てるんだよー」


( そういうわけか……だからひなつを……それならなぜどれみや剣聖先輩たちは襲われなかったんだろう)


「みるるが考えてることは分かるよ。それは都市には手を出さない盟約が結ばれているからなんだよ、その代替えとして容姿で相手の見分けがつかないようにされているって訳。地底に飛ばされた人は前の記憶を持ってるから友人や知人だと思うと戦えなくなっちゃうでしょ」


「ということは、地表では僕たちの存在が無かったことになってるから知人……親や恋人であっても敵として認識できるってことか」


 トヨタマが手を振り払うと、中空に映し出された異魔人の容姿が人間に変化していく、高校生から30歳位までであろう人々。中には半亜人(ハーフデミ)や亜人の姿もあった。


「君たちは忘れちゃってるかもしれないけど、この小さな耳のある異魔人は一緒に旅をしたことがあるミミ。ロンリを滅ぼした異魔人」


「ミミ……僕たちがこの少女と一緒に旅を……それにさっき町は盟約によって手を出せないはずじゃあ」


「それはねー、盟約を結んでいるのはあくまで人族(ひとぞく)、それ以外はルール外ってやつね」

「みるる様、前に記憶の干渉を受けたかもしれないと話しましたよね。もしかしたらその時に消されたのかもしれません」

「記憶の干渉……」


 考えながら映し出された異魔神のリストを眺めていた。


「一葉……、天聖(天にぃ)……」


 拍手をするトヨタマ、「凄いねぇ、良く分かったね。このNO.0000982641がベオカで対峙した女異魔人でこっちのNO.0000982648がアイソレイトで襲ってきた男魔人だね」と。


「あ、ホントだ一葉ちゃんだ」


 みそらは映像をまじまじと見つめ、近づきすぎて通り抜けてしまった。



「そういうことだから。重力の理をひっくり返して、広々とした世界を照らす太陽と友達になれる世界でみんなが暮らせるようにがんばるんだ! この世界を地表とひっくり返すんだ!」


 気合を入れるトヨタマであった……。


 一葉……心の中が一葉のことでいっぱいになる。助けたい……いや、助けるってどうするんだ。倒せばいいのか……倒されればいいのか……




 地球を巻き込んだ地上人との戦い。どんな戦いが待っているのだろうか……一葉を救うには、ひなつ、あんこ、わさび、みそら。僕たちの運命はどうなっていくのだろうか。


 地表人との苦しい戦いが始まろうとしている。



――第1部完

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