表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/47

第43話 血のつながり

「じゃあやるよ……本当に良いんだね」

「いいわ。思いっきり私に突き刺してちょうだい」


 どれみの決意は固まっていた。しかし僕の決意は固まっていない。なんせ中学校時代に好きだった女の子を傷物にしようとしているのだ。


「みるる様~。早くしないとふぁそらが霧散してしまいますよ~」


 煽ってくるユング。分かってる、頭では分かっているんだ。誰がなんと言おうとやらなければならないってことを。


「|(((*・ω・)-oo-(*・ω・)《ギゅっ》」――ひなつが僕の手を握る。


 肩を叩かれる。無意識に振り向くと頬に何かが突き刺さった……「あんこ」、百花繚乱で大人になった彼女の人差し指。「この姿じゃないと届かないでござるからな」と力いっぱいの笑顔。


「みるる様、みんなあなたの味方ですよ。ひとりくらい家族が増えても大丈夫です」


 わさびの初めてみる笑顔だった。って……家族?なんのことだ一体。


「よし、覚悟を決めた。行くよ!」


 赤い珠を包んだ青水を一気にどれみに向かって放出。同時に『突き出した青水に緑水をコーティングしてあげなさい』と間延びした声が脳に響く。


 え、あ、青水は急には止まれない。そもそも緑水って……いや、今はそれどころじゃない。とりあえず「えい!」っと緑水を意識すると、ふわっと緑色の光が包み込む。


 ――ブシュッと 肉に突き刺した感触を僅かに感じる。仲間という意識と人を傷つけるという感覚が大きな罪悪感を有無が、どれみのためと一生懸命に正当化して更に深くへ送り込む。一瞬、どれみと繋がった感覚を覚えると赤い珠を置いて青水を引き戻した。


 ……何も起きない。どれみは両肘を上げて腹回りを見回す。体には傷一つついておらず空いたはずの服さえも破れていない。


「あら、みるる様は癒しの付与まで使えたのですね」


(そういえば咄嗟のことで忘れていたけど、大蛙牛の洞窟で緑色の水を吸収したときに『癒付与』と言っていた気がする)




「キャーー!」


 どれみが膝をつき(もだ)え苦しみだした。


 腹を抑えて懸命に痛みをこらえている。額や手に浮き出る血管、力強く閉じられた目、歯ぎしりが聞こえてきそうなほど強く閉じられた口。


 汗や涙など体液が地面を濡らしていく。痛々しい姿を見ている時間というのはとても長く感じる。仕方がなかったとはいえ原因を作ったのは僕。


 大の字になって空を見上げるどれみ、洋服が汗で湿っている。ぴったり張り付いた服が……モゴモゴモゴ。いきなり視界が遮られた。


「ぷっふぁ~」


 被せられていたのは服、どこから持ってきたのかひなつがどれみの透けた下着姿を見せまいとしていた。既にどれみの体には、これもまたどこから取り出したのかシーツがかけられていた。


「みるる様、これでどれみとふぁそらは一つになりました。成功した証として被毛(ひもう)が封じ込めた珠の色へと変化します」


 美しい黒い髪に赤みがかかってくる。少しづつ深みを増して紅色へと変わった。


「ユングさん、剣聖先輩もどれみのように色が変わったってことですか?」

「みるる様、妾のことはユングと呼んでください。ダイモーン族の王女であると同時にみるる様に魅せられておるひとりの女でもありますので」

Σ(ОД○*)(ビックリ!)


「剣聖とはアトラク=ナクアの眷属となった者のことであるな」


 ユングの一言に驚きが隠せない。


「えっ、眷属?。眷属って言うと吸血鬼が血を吸った人を(しもべ)にするっていう眷属か……」


 思わずヴァンパイアの半亜人(ハーフデミ)であるひなつに目を向ける。


「みるる様、眷属とはあなたが思い描くモノとはちょっと違います。ここでいう眷属とは同族や親族のことを意味します」

「ああ、てっきり奴隷的な意味合いで考えちゃったよ。お? え、じゃあ剣聖先輩は魔人と同族になったということ!!?」

「そうですね。あの者はアトラク=ナクアの眷属としてダイモーン族になったことでしょう」


 難しい話しが続いた。どうやら、珠を吸収したことで剣聖(本体)の能力が上昇、また魔人化したことで能力も上乗せされた。が、眷属として得た魔人の能力(ちから)は同族には効果がないらしい。


「ということは、どれみ殿も剣聖先輩殿と同じという事でござるか」

「そういうことですね。どれみとみるる様は血のつながりを持ったわけです」

「えぇ……」


 じゃあどれみが僕の妹になったということか……いや、もしかして姉さん? 「えっと、どれみって誕生日いつだったっけ」

「ふふふ、変なことを聞きますね。私は3月ですわ」

「僕は11月だから……兄さんになるのか!」


 妹……なんか良い響きだ。男なら誰しもが憧れる妹の存在。17歳にしてとうとう妹ができたのだ。


「なによこれ、誰かが私の体を使って喋ってるように感じるんだけど」

「そんなひどいこと言わないでください」


 え、ちょっと……どれみがひとりで喋ってるんだけど。


「あらあら、どうやらどれみの中に魂がふたつ混在したようですね」

「えぇ、どういうこと?」

「どれみがみるる様と同種族になったせいで、ふたつの魂を体の中に留め置けるようになったのでしょう」


 にこやかに話をするわさび。


「同種族って僕たちは元々人間……いや、人族だから同じじゃないの?」


 わさびが人差し指を口元に当てると言いにくそうな表情となって説明をしてくれた。「みるる様は人族ではありません。わたくしには理解できない上位の種族となっているようです」


「「「えええええ (でござる)」」」

Σ(ОД○*)(えええええ)


 えっと……僕は人族ではない? イコール人間じゃない? いつから……


『何を言っておる、この世界に来た時からずっとだぞ』


 間延びした声に衝撃の事実を告げられた。

==========

《登場人物紹介》 

 ・三流みるる LV35(??):衝撃波(絶対パリィ)

   所持金:金2,260:銅1

 ・日向夏ひなつLV35(38):猫耳髪作成(言霊詠唱)

   猫耳ヘアーの女の子。喋れない。

 ・餡子あんこ LV35(32):武器長短

   巫女のような服を着た女の子。聞こえない。

 ・山葵わさび LV35(25):精密射撃

   ユニコーン族王女、オッドアイだが目が見えない。

 ※カッコ内は本来の値

IN 魔人の村

 ・どれみ(ふぁそらが融合) 中学生の頃好きだった女性

 ・ユング 魔人の王女

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ