第40話 タイスリング
「そういえば剣聖先輩はどうしたの?」
「第一王女と結婚したわ。レベルと高いスキルを見込まれてね」
レベルは公開されていないがスキルは『一粒倍加』。全てのステータスを倍にする効果があるようだ。
人形で到達できる上限とされているのが50。ということは、レベルが25以上あればほぼ人形に負けることはない強さになる。
「わたしとふぁそらのレベルが25で部隊から外されているからそれ以上ね。聖一さんのスキルは『物理無効』、自分よりレベルの低い物理攻撃を無効にするみたい」
「そうだ、一葉は……一葉は知らない?」
「<●><●>」
「みるる様、一葉って誰ですか。わたくしたちの知らない女子がいるんですか」
「わさびさん、一葉ちゃんはみるるくんの幼馴染よ。仲は良かったわね~」
思い返すように首を傾げて人差し指で頬をぷにぷにするどれみ。心の中はドキドキであふれていた。
ひなつやあんこ、わさびたちに一葉のことは知られたくなかった。ましてやどれみに対してあった昔の恋心でさえも……なんとも複雑な気分。
「お主たち、さっきから雑談が多いようでござるが肝心の『ハージュク迷宮』は良いのでござるか」
「Σ(ОД○*) …… ヨシヨシ( ^^)/(・・)」――あんこの頭をなでるひなつ。
「グヌヌヌヌでござる」
「そうよ、そうなのよ。早くいかないと! 今日から剣聖くんたちの部隊が捜索に出たのよ」
聖一とふぁそらの件がスカイブ民に知られないように既に少数精鋭で捜索に向かっている。
どれみによると、『ハージュク迷宮』は最下層まで辿り着いた者がいないほど攻略が困難な場所であり、奥に行くほど魔物も強力で引き返すタイミングによっては命の危険がある場所。
「|ΣΣ(゜Д゜;)(゜д゜lll)《ガクブル》」
「どれみ殿はそんな危険なことに拙者たちを巻き込もうとしているでござるか」
「まぁ、まぁ。あそこはダイモーンの住処でもありますから。みるる様なら目を瞑っても辿り着けるでしょう」
ダイモーンってことは……わさびと知り合うきっかけになった魔人ジアンとの戦闘が思い返される。煙化して戦うスタイル。できれば2度と戦いたくない。
「ダイモーン?」
「ああ、僕たちは魔人のことをダイモーン族って呼んでいるんだよ」
「えっ!? そうしたらスカイブが魔人に戦争を仕掛けることになっちゃう可能性があるんじゃぁ……」
「大丈夫なんじゃないかな。今までその戦争が起きなかったという事は辿り着けた人がいなかったんじゃないかな」
「(இдஇ; )」──思い出したように泣き出すひなつ。
「みるる殿、ひなつ殿は一葉という女のことを思い出したようでござるぞ」
家が隣だったので姉弟のように過ごしてきた家族だよとその場を収めた。もちろん恋心が無かったわけではないが……それは憧れだったと自分に言い聞かせ、家族のように一緒に過ごした彼女をいつかは見つけ出したい。
「みるる様、出発は明日にして今日は準備をするのがよろしいかと。どれみ、今日はこの家を使っても良いですよね」
「どれ?って」と顔を傾げるどれみ、『(●´▽`●)』とするひなつ。
「どれみさん、きっとわさびは君のことを仲間だと認めてくれたんだと思うよ。ひなつのことはひな、あんこをあんって呼んでるから」
わさびから明日出発した方が絶対にうまくいくからと『ハージュク迷宮』の出発は明日として今日は迷宮攻略の準備をすることになった。
* * *
「じゃあ行ってくるね」
スカイブ商店街、闘技大会開催期間中もあってか人が多くとても賑やか。優しく照りつける太陽を霞ませるほどに明るい声が辺りから飛び交っていた。
やってきたのはひなつとどれみ、あんこは屋敷で武器の手入れをすると部屋にこもり、わさびは知り合いに会いに行くとひとりでどこかに行ってしまった。
多くのお店が立ち並びウィンドウには洋服やアクセサリー、武具も置いてある。広場に行けばあちこちから良い匂いが漂いにぎやかさと相まって地元のお祭りを思い出す。
「ひなつは何か欲しいものがある?」
「|((-ω-。)(。-ω-))フルフル《顔を横に素早くふる》」
「じゃあみるるくん、お揃いでアクセサリーでも買ってあげなよ。見てればわかるでしょ、ひなつちゃんは物をねだるようなタイプじゃないって」
「(*゜ー゜)ニヤニヤ」――遠くを見つめている。
「ほら、ひなつちゃんお揃いを想像してるわよ」
「Σ(ОД○*)……(///△///)」
魔法ショップで指輪を購入。プラチナのような素材に小さな石がはめ込まれた7つセットのタイスリングというもの。指輪を付ければサイズが自動的調整され、お互いの絆を守る魔法が付与されていると銘打たれている。
お値段は……金貨100枚! 一目惚れはしたもののいくらなんでも高すぎないか。うーん、女の子にあげるプレゼントを考えるなんて小学校以来だしなぁ。
「(ღ✪v✪)」
タイスリングをジーっと見て目をキラキラしているひなつ。お金はあるけどわさびが稼いでくれたお金だしなぁ……。どれみは小声で「こんなの貴族でもない限り買えるような代物じゃないわよ」
『買っちゃいなさい。この石は先々に役に立つかもしれないわ』
久しぶりに聞いた間延びした声、この声は要所要所で様々なことを教えられている。
「この指輪、買ったー!」
間延びした声が背中を押したこととお金の余裕があることが心を大きくしたのだろう。
黄色い石が入った指輪をひなつに、ピンクをどれみに渡す。「え”、わたしもらえないよー」と言っていたがお礼の意味をこめて受け取ってもらった。
「!」
彼女たちに指輪を渡す、手の平に乗せた瞬間に左手の薬指に収まった。
「え、え!? ちょっとこれは早いんじゃない」
「(o゜-゜o)?」
「お客様、人族は皆さん同じような反応をします。どうやら結婚指輪の指として認識しておられるようですね。心臓につながる指、加護の指とされています。仲間同士の絆がお互いを守る証として高い効果を得られるのです」
「(ღ✪v✪)」――指輪の角度を変えては見つめている。
「でも、店員さんが言ってるのって結局結婚指輪ってことの気もするんだけど」
「まあ、『ハージュク迷宮』を攻略する間だけでも仲間だと思ってつけててよ。終わったら外して付け替えたらいいじゃない」
「(ღ✪v✪)」――指輪の角度を変えては見つめている。
「なんかさ、みるるくんって随分と女性の扱いがうまくなってない? あんまり強引だと勘違いされちゃうから気を付けた方が良いよ」
「(o゜-゜o)?」
「?」
この後、食材を買い揃え、カフェでお茶をしてレストランで食事、街中を案内してもらいながら楽しい時間を過ごした。
隠れて大量の食材や薬を異次元ポケットにしまっておいたのはどれみには内緒だ。
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《登場人物紹介》
・三流 LV35(??):衝撃波(絶対パリィ)
所持金:金2,260:銅1
・日向夏LV35(38):猫耳髪作成(言霊詠唱)
猫耳ヘアーの女の子。喋れない。
・餡子 LV35(32):武器長短
巫女のような服を着た女の子。聞こえない。
・山葵 LV35(25):精密射撃
ユニコーン族王女、オッドアイだが目が見えない。
※カッコ内は本来の物
IN スカイブ首都
・美空どれみ 中学生の頃好きだった女性
・美空ふぁそら どれみと双子、聖一の彼女
・緋村聖一 ふぁそらの彼氏
・緋村剣聖 スカイプ1の剣豪となる。




