第39話 どれみふぁそらしど
巨大な建物、広い庭。まさしくゲームやアニメで見るような屋敷。
「すごいところに住んでるね」
どれみはクスリと微笑み、「ふふふ、スキルのおかげかもしれないわね」と大きくうなずく。
通されたのは20畳ほどの部屋。彼女の部屋のようだ。
「わさびの額に角が見えているっていうのは」
「ええ、わたしが持っているスキルは異者発見というものなの」
この世界は、人形である人族と獣族で成り立っており、人、亜人、半亜人に区分される。原住民である様々な種類の魔人が知的に活動しているが、それ以外にも未発見の種族は多く未知の存在とされている。そんな存在のエネルギーを感知するスキルであった。
「そのスキルでわさびのことが分かったんだ。それでそのスキルとお屋敷と何の関係が?」
「ええ、この異者発見はSランクとされているの。そしてこのスキルで未発見の種族を探しだすことを仕事にしているのよ」
「じゃあ、あなたはわたくしを捕えようという事ですか」
わさびの鋭い目が向けられる。反応するようにあんこも戦闘態勢を取り、ひなつは『|アタフタ((ヽ(;´Д`)ノ))アタフタ《アタフタ》』している。
「本来であればそうなんだけど、折り入ってみるるくんにお願いがあるの」
「お願い?」
「わたしが双子だというのは知っているわよね」
もちろん知っている。彼女は双子の美人姉妹として学校でも人気があった。姉のどれみ、妹のふぁそら。妹にしどちゃんもいる。
「ふぁそらさんだよね。しどちゃんも併せて音階3姉妹って呼ばれてたものね」
「ちょっと聞いてもらっていいかな」と僕の言葉はスルーされ、どれみは語り始めた。
この国に『緋村剣聖』『緋村聖一』の双子、『美空どれみ』『美空ふぁそら』の双子が飛ばされた。この4人は偶然か必然かSランクスキルを賜り、緋村兄弟は戦闘系スキルであったため『サイゲン侯爵』の一派に、美空姉妹は探索系スキルであったので『マリカ侯爵』の一派に属することになった。
頭の中に浮かぶのはSランクスキルと異魔人。ひなつのように襲われることは無いのだろうか。
更にどれみの話しは続いた。
話しの中で、聖一先輩とふぁそらが付き合っていたという話しには驚いたが、同じ場所に飛ばされたがゆえの不幸があったらしい。
――サイゲン侯爵とマリカ侯爵の仲が異常に悪い。
「いきなり知らない土地に飛ばされ一緒にやって行こうと誓ったんだけど」
「もしかしてロミオとジュリエット的な……?」
「(o゜-゜o)?」
人目を忍んで聖一先輩とふぁそらは会っていたようだが、|ロミオとジュリエット効果《障害が恋を燃え上がらせたよう》によって熱くなりすぎてお互いの侯爵にバレてしまったようだ。そこでふたりは団結してスカイブが誇る『ハージュク迷宮』に駆け落ちしてしまった。ということだった。
「そのふたりを見つけて連れ戻して欲しいということ?」
「ふたりが迷宮に入って1カ月以上経ってるの。生きているかも死んでいるかも分からない。そのふたりの証を見つけてきて欲しいの」
「みるる様、その女は生きていても死んだことにしてほしいということのようですね」
「なんで……」
「もし……もしよ。迷宮の中で生きていられるならその方が幸せだと思うの。生きていたらふたりの意志を聞いて、残ると言うなら遺品として何かを持ってきて欲しいの」
わさびだけ出会っていたら国に探索対象が見つかったことを報告しようと思っていたが、友人の知り合いだということで思い切って頼んだようである。
王国への背信行為でもあるがどうしても妹であるふぁそらに幸せになってもらいたい一心だった。
「でもどうして僕たちに頼もうと思ったの? 迷宮なんか潜れる強さなんてないかもしれないでしょ」
どれみは口を噤んだ。唇を頻繁に擦り目線は頭と共に下へと落ちる。
「彼女は何か重大な秘密を知っているようですね。物凄く隠したいオーラが溢れ出していますよ」
「<●><●>……|(゜ω゜)(。_。)ウンウン《大きく頷く》」
「拙者でもどれみ殿が何かを隠しているのが分かるでござる。その者はひなつ殿のように分かりやすいでござるな」
「Σ(ОД○*)」――ポカポカあんこに殴る仕草をする。
「こらこら、ふたりともちょっと落ち着いて」と宥める。
「このことを知っているのは侯爵以上の人だけなの。私は仕事柄教えてもらったんだけど……」
そう言いながらも教えてくれたのは幻族の存在。額に角が1本ある種族を一角族と名付け、勇敢で基本戦闘力が高く、共に歩む強者を探しながら種族を維持しているということが文献によって知られていた。
「一角族とわたくしは違う種族ですね。昔、一角族がスカイブに捕らえられたという話しを聞いたことがあります」
「ユニコーンのことを一角獣と呼ぶけど別の種族なの?」
「ええ、一角族は基本的なベースが白馬です。わたくしたちユニコーン族は彩がありますので」
「みるるくん、その強者を探すというわさびさんが主人と仰ぐくらいだからきっとふぁそらを幸せに導いてくれると思ったの」
かくして僕たちは『ハージュク迷宮』に、どれみの双子の妹ふぁそらと、聖一先輩の恋愛を成就するため挑戦するのであった。
「そうそう、ふぁそらのスキルは傀儡師、自分よりレベルの低い生命体を自由に操ることができます」
なんか物騒なスキルだな。ふぁそらのレベルがいくつか分からないけど、表示上のレベルで操られたらたまらない。あとで書換えておかないと。
僕たち4人の表示上のレベルを35に書き換えたのだった。
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《登場人物紹介》
・三流 LV35(??):衝撃波(絶対パリィ)
所持金:金2,362:銀1大銅1銅1
・日向夏LV35(38):猫耳髪作成(言霊詠唱)
猫耳ヘアーの女の子。喋れない。
・餡子 LV35(32):武器長短
巫女のような服を着た女の子。聞こえない。
・山葵 LV35(25):精密射撃
ユニコーン族王女、オッドアイだが目が見えない。
※カッコ内は本来の物
IN スカイブ首都
・美空どれみ 中学生の頃好きだった女性
・美空ふぁそら どれみと双子
・緋村聖一




