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中学生ユーリ~3年生~②

さて、成績が大変良いユーリ。


学校では相変わらず障害者と呼ばれ、周りの受験ストレスからいじめの状態は悪くなっていました。



「高校行っても障害者と一緒とかイヤなんだけどー。なんで特別学校に行かない訳?」


「会話もできねえやつが普通に高校行くとか信じらんねえ。周りが迷惑だし。死ねば?」


「挨拶でどもるとか超ウケるー!そんなんじゃ社会出れなくない?」



模試の結果が発表されるたび、周りから聞こえてくる刺々しい言葉の数々です。


ことあるごとに、障害者のくせに、と言われるのが、ユーリは苦痛でたまりませんでした。



(あたし、好きでこうなったんじゃない・・・)



進路を決める懇談でも、

「咲野さん、勉強はできるのにねぇ・・・本読みもスピーチもよくやってくれるって聞いてるけど、過緊張なのかな?なかなか治らないねぇ」

・・・と言われる始末です。




(先生、違うの。治らないんじゃない。治し方がわからないの。どうしたらいいの?誰か教えてよ・・・)




国語の先生には

「毎回スピーチ大会に出てくれるけど、ごめんね、何も変わってないし何がしたいの?みんなの期待を裏切ってるの、わかってる?どんな練習してるの?」

・・・と、わざわざ呼び出されて話をされてしまいました。


(違う、違うよ・・・出たいんじゃないの。出たくないよ。家ではちゃんと読めるの。話せるの)



(私だって、ちゃんと、みんなと同じように、すらすらと喋りたい・・・)



(どうして私だけ言えないの?どうして私だけできないの?)



(私だってどうしてかわからないよ・・・)




思えば思うほどユーリの声は喉から出てこず、誰にも思いは届きません。




言いたいことが伝えられず、またそれを誰にもわかってもらえずとても苦しんでいたユーリは、ある日、とうとうやってしまいました。



「ユーリ、あんた何してるの!」




朝学校に行く前、ユーリは泣きながら自分の首をタオルで絞めつけているところをお姉ちゃんに見つけられました。




「も、嫌だ、し、し、しっし、に、たい」




「馬鹿なこと言うんじゃないの!」




お姉ちゃんにタオルを取り上げられ腕を掴まれたユーリは、ずるずると床に座りこみ泣きながら叫びました。




「なんでなの、なんでお姉ちゃんもユイトも普通に話せるの?なんで私だけできないの、そそ、そ外で話せないの?」




「・・・ユーリ・・・」




泣き叫んでいるせいか、どもりは少なくなっています。



感情のまま、思いのまま、ユーリは叫びます。




「お母さんも、お父さんも、大きくなったらよくなるよって。いつになったら、よくなるの?あたし、いつまで、我慢すればいいの?ねえお姉ちゃん、あたしって障害者なの?」




「違うよ、障害じゃないってお父さんも言ってたでしょ?」




「学校のみんなが、障害だ、じゃなきゃ頭の病気なんだって。ねえ、ああああたし、どうすればいいの?どうすればいじめられなくなるの?」




「卒業すれば、あんなやつらとバイバイなんだからさ、修行だと思おうよ、ね?」




「みんなこんな修行してないよ!あたしだけだよ!」



「もうちょっとなんだから、頑張ろうよ」




「頑張れ頑張れって、あたしの我慢が足りないの?まだ我慢してればいいの?もうやだよ、いっぱいいっぱい我慢したよ、みんなが当たり前にできるのに、どうして、どうしてあたしだけこんなに頑張ってるの?なんで頑張ってるのにできないの?努力って報われるものじゃないの?」



「ユーリ・・・」



「どんなに頑張っても治らないなら、もう死にたいよ・・・挨拶もお礼もごめんなさいも言えない、あたしは、く、くくくクズで、人間失格なんでしょ?生きてても、しょうがないよ・・・・・・」




お姉ちゃんは、ユーリがこんなに思いつめていたことを初めて知りました。


家でつらそうにしていても涙を見せることはなかったので、この子は大丈夫なんだとどこかで思ってしまっていたのです。



お姉ちゃんもぽろぽろと涙をこぼしながら、泣きじゃくるユーリをぎゅっと抱きしめました。




「あんたは普通の子だよユーリ。ちょっと、ちょっと喋るのが苦手なだけ。そのうちきっとよくなるよ。

だからね、お願いだから死なないで。

自分を傷つけないで。

あんたが死んだらあたしの大事な妹いなくなっちゃうよ。

ユイトのお姉ちゃんがいなくなっちゃうよ。お母さんとお父さん、どうなるかわからないよ。

あんたがどんなだろうが、咲野家の次女は、あたしの妹は、あんたしかいないんだからね!」




2人の大声を聞いてか、登校前の弟ユイトが部屋に入ってきました。




「ね、姉ちゃん、俺が、俺が・・・まともに喋れよとか、いい加減にしろよとか、言ったから?俺が姉ちゃんに酷いこと言ったから、姉ちゃん死んじゃいたいの?」



どこから聞いていたのでしょう。ユイトも泣いていました。



「ユイト、違うよ、ユイトのせいじゃないよ」




「ごめ、ごめん姉ちゃん。ごめん、俺謝る、もう酷いこと言わない、周りのヤツに何言われても良いよ、俺、姉ちゃんが死んじゃったら嫌だ・・・嫌だよぉ・・・」



ユーリの隣に座り込んで服の裾を握って、言葉を紡ぎながらぼろぼろと泣いています。



「・・・わかるでしょユーリ。あんたは咲野家の大切な大切な1人なんだよ。お願いだから、死ぬとか考えないで。あたしもユイトも、お父さんもお母さんも、ユーリに何があっても全部受け止めるから、なんでも言って。私たちは絶対、ユーリの味方だから、守ってあげたいから」



お姉ちゃんとユイトの言葉を受けて、ユーリはわんわんと泣きました。

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