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第四話:ザ・ローカルルール

エレベーターが到着する、今回は街ではなく草原か


しばらくすると相手が到着する。綺麗な身なりと豪華な服、そして花冠……ここ研究施設である事を忘れさせるような女性が現れた


『C-1ブロック:原木 遊VSエミリア=F=シュヴァルツ、移送確認。それでは今からルールを説明します』


『制限時間はありません、相手を気絶させるか殺した方の勝ちです』


『それでは……スタート!!!』


「……なぁ少し話をしないか?」


「話……でしょうか?いいですわよ」


いいんだ、三回戦にしてやっと初手に話が通じるやつと会った


「俺は原木 遊。あんた、結構裕福な家系の出だろ」


「えぇ、私《わたくし》はドイツの貴族シュヴァルツ家令嬢、エミリア=F=シュヴァルツですわ」


(ちゃんと貴族だったか、なんでこの実験に……なんて考えは野暮か)


「じゃあ鬼ごっことか、かくれんぼとか、知ってるか?」


「申し訳ありませんが、私は生まれてから勉学に励んできましたので……その様な遊びと呼ばれるものは名前しか……」


「さすが貴族。大変なんだな」


初っ端から大ピンチだ、無謀だがあ(・)の(・)手(・)で行くしかない


「じゃあ、俺とトランプしないか?」


(今から遊んでルールを教える!!本当に無謀だがこれしかない)


「トランプ……知ってますわ、53枚の紙の束を使うと言う遊びですわね?」


「そうそう、よく知ってるな」


「でも私達は今から能力による殺し合いをするのですが……なぜ急に?」


当然の疑問だ、俺があっちの立場なら同じことを言う


「いやさ、勿体ないと思って」


「勿体ない……ですか?」


俺はその辺に座り込む、相手を警戒させないために


「俺はガキの頃から遊びって呼ばれる物が好きでさ、面白いんだぜ?一回一回にちょっとした駆け引きやドラマがあって」


目的はデュークの発動だが、俺が普段から思ってる事が口をついて出る


「せっかく制限時間がないんだ、俺が遊びの楽しさ教えてやるよ」


さあ、どうだ?


「……わかりましたわ、遊びましょう。一回だけですわよ」


微笑んだエミリアは俺の前に座った、美麗な所作はさすが貴族だ


「それで何をしますの?」


「大富豪って知ってるか?」


「私の事でしょうか?」


「ははっ、そうだけど違う」


大富豪:プレイヤーは順番にカードを出し、前のプレイヤーより強いカードを出すかパスする。カードの強さは、3,4,5~K,A,2となっていて、JOKERは最強となっていて、どの数字の代わりとしても出せる。また、同じ数字のカードは同時に出すことができる。そうやって最終的に手札を無くしたプレイヤーの勝ち。勝った人が大富豪、負けた人が大貧民となる。


「なるほど、その様な遊びなのですね」


「とりあえずやってみるか」


草の上にハンカチを引き、簡易的なテーブルにする。ゲームスタートだ






「やりましたわ、私の勝ちですわ!」


「負けちった、初めてにしては腕がいいな」


「……ですが、どこか物足りない気がしますわ」


「原木様が先ほどおっしゃっていたドラマ?や駆け引き?が無かったような」


自然と口角が上がる、そうだメインはここからだ


「よく気付いたな、大富豪にはここからさらに拡張ルールがある」


「拡張ルール……?」


「【ローカルルール】って呼ばれるんだけど、例えば」


8切り:8を出した瞬間、場に出ているカードは全て流れ、出したプレイヤーから再び好きなカードを出せるというルール。


Jバック:J(ジャック)を出すと、次に流れるまでカードの強さが反転するというルール。


5スキップ:5を出すと次のプレイヤーの番を飛ばせる、複数枚出した場合は枚数分の人数スキップできるというルール。


革命:同じ数字のカードを4枚同時に出すと、次に革命が起きるまでカードの強さが反転するというルール。


砂嵐:3を三枚出すと場が流れ、出したプレイヤーから再び好きなカードを出せるというルール。場のカードが何でも出すことができる最強の一撃。


スぺ3返し:ジョーカーが出された直後にスペードの3を出すことで、ジョーカーを打ち消せるというルール。


「みたいなのがあるんだ。ま、あくまで一例だけどな」


「なるほど……確かに奥深くなりそうですわね」


「だろ?じゃあもう一回やろうぜ」


「……まぁ、いいですわよ」






「あー!負けてしまいましたわ!」


その後、計四回大富豪をした。結果は二勝二敗、これで


(これで、ルールを覚えさせれた……!)


「どうする?ちゃんと決着つけるか、それとも……」


二人とも自然に立ち上がった、言わなくても分かったのだろう


「最後は、能力で決着つけましょうか」


お互い、最初にエレベーターで出てきた位置に戻る。遊びは終わりだ


「原木様、貴方様と出会えて本当によかった」


エミリアは流れるような動きでポケットからナイフとフォークを取り出す


(何をする気だ……?)


「遊ぶことの楽しさを、心の起伏を、何も知らなかった私に教えてくださった。私、こんなに楽しいの初めてでしたわ」


「心から感謝していますの……ですから」


そのままエミリアは花冠の花を一つ切り落として、フォークを突き刺した。そして──


「気絶で済ましてあげますわ!」


その花を食べた!!


(食べたぁ!?)


驚きも束の間、エミリアの瞳が瞬きの間に白から赤に変わる


そしてエミリアの手から巨大な火球が現れた


「フラム・カノーネ!」


(っ……本当に気絶で済ませれるのかよあれ)


まぁいいと言わんばかりにコートの内ポケットからトランプを四枚と、ライターを取り出して点ける


ライターの火が心もとなく揺れている、ライオンを前にした小鹿のように


「なぁ、エミリア。大富豪に例えると俺の火は【3】でお前の火球は【2】だな」


「えぇ、そうですわね……?」


困惑しながらもエミリアは火球をこちらに放つ、対抗するようにライターを向けてトランプ四枚を放り投げた


「ローカルルール【大富豪・革命】!!」


その瞬間、火力が反転した


「私の炎が!?」


巨大な火球だったはずのそれは、今やライターの火程度まで弱体化している。


逆に俺の点けた小さな火は、建物一つ焼き尽くせそうな業火へと変貌していた。


(こういう能力と戦うためにライター選んどいてよかった)


「くらえええ!!」


業火が轟音と共にエミリアへ襲い掛かる。


「くっ……!」


ドカアアアアン!!!!


着地した業火は破裂し、視界が真っ白になる


煙が晴れると無傷、そして瞳が青くなったエミリアが立っていた


(効いてない……!?)


「驚きましたわ、私の炎を吸収……いえ、先程の言い方的に革命を炎に適応させた……?」


「さすがだな、そっちは……食べた花によって効果が変わる、みたいな感じか」


微笑んだエミリアの周りに水が集まり、大きな波の様になる


「ふふっ、そうですわ。私のダッチェス【エディブルフラワー】は食べたお花によって見せる顔を変えますの!」


波が進み始めた、こちらも負けじとトランプ四枚を放り投げ、懐から水鉄砲を取り出す



「ヴェレ・ヴェーグ!!」

「ローカルルール【大富豪・革命】!!」



か細い水流と荒れ狂う波がぶつかり合う、普通に考えたら勝負にもならない……が


「あら、またですの」


反転、水鉄砲から内容量の何倍もの水が溢れ出て波に成り代わる


波が襲い掛かり、引いていくとエミリアが平然と立っていた


(今度は緑色……火・水、次は何だ……?)


「まさか、水鉄砲まで持ち歩いていますとは」


そう喋るエミリアの周りに風が吹き荒れている、その中をまるでそよ風を浴びるかの様に優雅に歩いているエミリアは──どこか綺麗だった


「これと、これと……これを」


(何だ、何かを投げ……石?)


「風を反転させて弱くしても、風が飛ばした物の勢いは止まりませんわよね」


その瞬間、エミリアが投げた石ころ達が弾丸の様に飛んでくる


「ウィンド・クーゲル」


(っ……まずい!!)


必死に避けようとするが、次々と投げられる石ころ達の猛襲を避け切れなかった


「がはっ!!っ……痛ってぇ……!」


蹲る俺にエミリアが一歩一歩近づいて来る、その瞳は真っ黒だった


(何だ……今度は何を────)


ドォォォォ……!


少しでも距離を取ろうとした俺の体は、地面に沈んだ


「な、何……が」


「シュヴェーア・ゲホルヒェン…………ふふっ、林檎の花を食べましたの」


「痛っ……う、あ……」


エミリアが近づく程にかかる重力が増していく、もう立ち上がる事はできない


「……苦しいでしょう?もう寝てくださいまし」


また一歩近づいて来た、腕を動かすのが精一杯だ


見降ろされている、真上から。元の立場的にはこれが正しいのだが


(負けるのか、重力を起こす物なんて持ってないし、そもそも痛みで動けるかわかんないし)


(……嫌だな、負けたら死ぬとか抜きにただ、ただ)


「悔……し˝い˝……!」


今にも意識が飛びそうな中、コートのポケットを漁る。


(手榴弾、自爆になるだけ……銃、弾が落ちるだけ……スタンガン、足に当てても気絶までは行かない……ペン、紙、ライター水鉄砲、扇子、マジックナイフ、トランプ……トランプ…………あ)


「原木様、勝負ありがとうございまし──」


その時、最後の力で投げた三枚のトランプが俺と一緒に地面にめり込む


「何ですのこれ、3のカードが三枚…………まさか」


そのまさかさ、全てを打ち消す大富豪最強の一撃


「ロ˝ーカ˝ル˝……ル˝ール˝……【大富豪・砂嵐】!!!!」


最後の力を振り絞って叫ぶと、重力が消え体が飛び出した


「そこだあああ!!」


急いで次の花を食べようとしているエミリアの首にスタンガンを当てる、能力発動に必要なその一瞬を電光は見逃さない


「うあああ˝っ!?」


そのまま、瞳も思考も真っ白になったエミリアは倒れた


『エミリア=F=シュヴァルツ 気絶確認、勝者原木 遊!!』


「ゲホっ、がはっ……よっしゃああ!!」






「原木 遊、貴様……勝てたとはいえ何だあの初動は」


「み、見てたのか」


試合が終わった後、王城の部屋に向かうと王城は腕を組んで待っていた


「敗者は試合を観戦することができる、それで何だと聞いているのだ。そして……」


王城が俺の背後を指さす、そこには


「ごきげんよう、原木様のご友人様」


「なぜ戦っていた相手を引き連れている!」


「試合終わって部屋に戻った後、ここに来ようとしたら既に俺の部屋の前に立ってて……」


「一緒に遊んだらもうお友達なのでしょう?本で読んだことありますわ。私、お友達としてもっと原木様と親睦を深めたいと思いましたの」


説明する俺、頭を抱える王城、にこにこしているエミリア。人体実験の収容所にしてはどこか和やかな一コマだった


そう思っているとエミリアが俺と王城の間に入る


「自己紹介が遅れましたわ。私はエミリア=F=シュヴァルツ、ドイツの──」


「ドイツの貴族シュヴァルツ家令嬢……であろう?試合を見ていたから知っている」


「我は王城 覇道、格闘家である。原木 遊とは昨日戦い、そして負けた……今は原木 遊のライバルだ」


「よろしくお願いいたしますわ、王城様」


握手している、せっかくならこの二人も仲良くしてほしい


「そうだ、せっかくだし三人でトランプしようぜ」


「まぁ、いいですわね」


「我はやらぬ…………待て、そのトランプどうした」


「三試合目の報酬に……欲しいもの一つくれるって言われたから」


「本当に貴様という者はぁ……!!」


その後、三人で仲良く?大富豪をした


第四話 完

エミリア=F=シュヴァルツ

4月17日生まれ 17歳 ドイツ住み


ドイツの名家シュヴァルツ家令嬢、一族の思いを背負って華麗に咲き誇る!


コスト:80

薔薇三本、蓮三本、百合三本、林檎「花」一本と花を食べる用のフォークとナイフ


ダッチェス:エディブルフラワー

花を食べると、食べた花によって一定時間能力が使える。発動中は能力によって瞳の色が変わる。

薔薇→炎・赤

蓮→水・青

百合→風・緑

林檎→重力・黒


好きなもの:植物


嫌いなもの:怒られる事


得意なこと:勉強


苦手なこと:お見合い


性格:ふわっとした心優しいお嬢様


信念:シュヴァルツ家の繁栄のために日々努力

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