第十五話:二つの新しい事
「えー……と言う訳で、本日から仲間になった毒島 浮利ちゃんです」
「毒島 浮利、13歳、女です。よろしくお願いします」
三人の視点が毒島に集中する、当の本人は堂々と直立したまま微動だにしない
「毒島様、ですわね。私はエミリア=F=シュヴァルツですわ」
「我は王城 覇道である」
「わ、私、文毬 装呀って言います……」
「エミリアさん、王城さん、装呀さん、ですね。覚えました」
なんか俺と話してる時より声が明るい気がするが、一旦置いとく事にした
「えーっと、それで、毒島 浮利ちゃんはサイボーグです」
「サイボーグだと?」
「その背中の赤いのが関係してますの?」
「な、名前呼び……?」
三者三様の質問が飛び出した。説明しようと口を開くと毒島に静止される、自分で説明したいらしい
「私は親に捨てられ、路頭に迷っていたところを石夜見様に拾っていただき、石夜見様の手でサイボーグに改造してもらいました。腕から銃が出せるし、背中のこれからはレーザーが出せます」
毒島は喋りながら右腕を上げる、そしてそこから銃口が
「ほう……本当に機械の体であるか」
「まぁ、物騒ですわね。経歴も身体も」
「あ、あの……名前呼び……」
銃がしまわれると、アカツキノハネがふわりと前に来た
「これは私のダッチェスで浮いています。実際の使用したところと詳しい説明はまた後で」
アカツキノハネを戻した毒島は背筋を伸ばして一礼した
「改めて、これからよろしくお願いします」
「うむ」
「よろしくお願いしますわ」
「名前呼び……」
(こいつ、本当に俺にだけ態度が悪いんだな)
毒島が座ると、今度はエミリアが立ち上がった
「お次は私の番ですわ。何を隠そう私、グランダッチェスを会得しましたの」
「グラン!?」
「あ、あの能力が進化するって言う……」
「興味深い」
「石夜見様と同じ境地……」
全員興味が毒島からエミリアに移る。それも仕方ない、ついに俺たちの中からグランが出たのだから
「どんな、どんな能力になったんだ?」
「お、お花が関係してるんですか?」
「ふふっ、そんな慌てなくても、後でちゃんと見せてあげますわよ」
なだめられた、だがこんなの興奮しない方がおかしい
「さ、文毬様も何か新しい発見、出会い、成長がありましたんでしょう?」
「い、いや……私のはそんな……」
文毬がエミリアに無理矢理立たされている
「えっと……そ、その……A-2は商店街のフィールドで……あと、仲間になってくれそうな人に会いました……」
「くれそう?まだ仲間じゃないと言うことですね?」
「誘ったんですけど……なんか最後はぐらかされちゃって……」
「じゃあ仲間じゃないですね」
「は、はい……」
文毬が毒島に負けた。態度が悪いのは俺へだけだが、ずかずか言うのは元の性格らしい
そこに王城が助け船を出した
「どうやってはぐらかされたのだ文毬 装呀」
「な、なんか……戻ってまた会えたら仲間になってくれるって……」
「フィールド外で再会?簡単ではないか」
「どのような方でしたの?」
「えっと……鳴静 天鏡って人で、髪が紫色のロングヘアで、綺麗な人です……」
後半あまりにも個人の感性すぎる
「うーん……でもそんな派手な髪色のやつがいたら記憶に残るよなぁ」
周りを見渡す、試合後の食堂には人がそこそこいるが、そんな派手なやつはいない
「もしかしたら、途中から参加した方は別の所で生活しているのでは?」
「確かに、何回か見たことあるやつはいても、新しく見かけたやつは全然いないな」
「うぅ……じゃあ会えないって事ですね……」
文毬が目に見えて凹んでいる、こいつなりに頑張って話して来たんだろう
「またフィールドで会えたら話を聞いてみようぜ、な?」
「は、はい……」
おずおずと文毬が席に戻る、すると、王城が待ってましたと言わんばかりに立ち上がった
「さて、最後は我であるな」
「王城は何かあったか?新発見」
すごい貫禄の佇まい、きっととんでもない事があったんだ
「まず、フィールドGは海であった」
「海?」
「うむ。海に船が浮かび、小さい島がいくつかあるだけのフィールドであった」
「そ、それで?」
「以上である、船から動けず誰とも合わず終わった」
王城が座った、本当に終わったらしい
「……まぁ、フィールドGがどんな所か分かっただけいいか」
飯を食い、報告を終えて全員席を立つ。向かう先は訓練室だ
訓練室、今日のフィールドは街中だ。理由は人がいなかったから
「さてと、まずどっちから見る?」
「わ、私、毒島ちゃんの見たいなー……なんて……」
「我はグランダッチェスが見たい、能力の行きつく先には興味が湧く」
意見が割れてしまった、確かにグランダッチェスは気になるが、毒島は俺が頼んでも見せてくれないだろうからこういったタイミングでちゃんと披露してほしい
「でしたら……」
エミリアが花を構える、まさか
「毒島様、お手合わせ願えますか?」
(やっぱり)
「構いませんよ」
「で、でも……レーザーなんて当てたら……」
「もちろん加減はします、その程度の常識は拾い子でも持ち合わせてますよ」
さすがに笑えない冗談が飛び出した
「………………そ、それならよかった」
「それではいきますわよ」
「【エディブルフラワー・シュヴァルツガーデン】!!」
「展開!ウィングユニット:アカツキノハネ!!」
六本のレーザーが飛び出す、それに対してエミリアは一気に花を三つ食べた
そして、炎と水がレーザーを防ぎ、風の渦が毒島にめがけて突き進み始めた
「っ……!」
毒島の左手からワイヤーが射出されビルの壁面に突き刺さる、ワイヤーが巻き上げられ風の渦を回避した
「すげぇ!三つの花を同時に!」
「能力の拡張、であるか」
「拡張なら、私も負けません」
そう言うと、毒島の腰部分から白い結晶が飛び出す
アカツキノハネのレーザーがその白い結晶に当たると、レーザーの進行方向が変わった
「展開!拡張ユニット:シロツキノホネ!!」
「なんだそれ!?」
「赤いのだけじゃなかったんだ……!」
真上からエミリアにレーザーが降り注ぐ。しかし、レーザーは一つもエミリアに当たらずコンクリートを焼くばかり
コンクリートが砕かれ粉塵が舞う、これが狙いだったのか
「目くらまし、ですわね。無駄ですわ」
風が吹き荒れ粉塵が秒で吹き飛ぶ、一方毒島は
ワイヤーの先端に瓦礫を付け、フレイルの要領でエミリアに振り下ろした……さらにレーザーがビルを撃ち、瓦礫が大量に降り注ぐ
「あ、あれ加減してるんですか……!?」
「案ずるな、エミリア=F=シュヴァルツなら」
「ツヴァイ・クーゲル!」
水と風の小粒な礫が瓦礫を打ち砕いていく、そして残った炎は
「フラム・カノーネ、ワイヤー無しで避けられまして?」
大玉になって毒島に向けられた。先端の瓦礫を砕かれたワイヤーはまだ宙にあり、戻してる程の時間はない。決まったか──
「なんの」
毒島の足から蒸気が吹き出し、炎弾を回避した
「なんだそれ!」
「私のダッチェスは生物には使えません。ですが私の体の大半は機械です。浮いた体は少しの風で動かす事ができる」
そのままダッチェスを解除した毒島は勢い良く降りて……いや、落ちてくる。そして落下中にアカツキノハネをブレードモードにして
「近接戦ですわね」
右腕に風、左腕に水を纏ったエミリアがブレードを捌く。無駄だと気付いた毒島がブレードを解除しながら距離を取って右腕をエミリアに向けた
「あら、銃を使いますの?効きませんわよ」
「いいえ、あなたの実力を称え、最高火力を叩き込む事にしました」
「や、やっぱり加減してな……」
毒島の右手にエネルギーが集中し、手のひらが開いて──
「スザクノイブキ!!!」
アカツキノハネから出る物の何倍も大きく太いレーザーが射出された
「ドライ・ヴィアヴェル!!!」
対抗して炎、風、水の合体した渦が放たれる。二つがぶつかり合って
ドカアアァァンン!!!!
大爆発を起こした、近くで見ていた俺たちもまとめて吹き飛ぶ
「げっほごっほ……け、結果は……?」
煙幕が晴れると、エミリアも毒島もそのまま立っていた
「あら……時間切れ……」
「っ……バッテリーが」
「引き分けっぽいな」
突っ立たままの二人に駆け寄る、言いたいことは山ほどあった
「二人共すごかったな!特に最後の撃ち合い!」
「ありがとうございますわ」
「……はぁ」
「す、すごかったですね、毒島ちゃん」
「ありがとうございます」
(こいつ……)
相変わらずの態度の毒島に辟易していると、王城が割り込む
「双方、詳しい解説をせよ」
「そうですわね、私のグランダッチェスは【シュヴァルツガーデン】三つまで同時に【エディブルフラワー】を使えますの」
「私のダッチェスは【風船】で、体に触れている物を浮かせれる能力と、このサイバースーツに搭載されてる電磁石機能で、アカツキノハネを自由に体の周りを漂わせれます」
「と、途中で出してた白いのは……?」
「これはシロツキノホネで、戦闘機能を失くした代わりにより長距離の操作を可能にし、アカツキノハネのレーザーを任意の角度に反射するサポート機能を持ちます」
「最後の巨大なレーザーは?すごい威力でしたわね」
「スザクノイブキはバッテリーの半分を消費して撃てるレーザーです。おかげで残量は25%程度ですが」
すごいスラスラと説明が出てくる、石夜見仕込みだろう
ある程度説明を終えた毒島が続けて口を開く
「よろしければ装呀さんと王城さんの能力も見せていただきたいのですが」
「よかろう」
「は、はい」
俺たちの異質な自己紹介はまだ続く様だ
第十五話 完
毒島 浮利 搭載機能
頭
視力3.0の目
???
右腕
特注4mm口径マシンガン
スザクノイブキ用大口径砲撃機
???
???
左腕
ワイヤー射出機
右脚
ブレード用持ち手を収納
空中機動蒸気射出機
左脚
空中機動蒸気射出機
???
胴体
アカツキノハネ六枚
シロツキノホネ四つ
電磁石サイバースーツ
???




