14 野生児化の加速
「つっっっかれた……」
4か月ぶりに王都から領地に戻った私は反動なのかおじいとおばあにべったり甘えていた。
「貴族のお嬢さまたいへん!もう!猫が!いなくなりそうだった!」
「猫って何だい」おばあが言う。
「よんねえさまが言ってた。貴族令嬢らしく振舞うことを猫を被る、って」
「ああ、そういうこと。大変だったんだね」おばあが私の頭を優しくなでてくれる。
「おばあー」私は猫みたいに目を細めた。
「まあ、頑張ったんだな。領地に戻ってきたんだ、なにか気分転換でもするといいさ」おじいが言う。
「おじい!山に行きたい!狩りしたい!収穫も!」
「それ、気分転換なのか?」おじいが言う。
「体を思いっきり動かしたいよ!明日山に連れてって……!」
「わかった、久しぶりにみんなで山に行こう」
「やったぁ!」
思い通りに行かなかった王都でのストレスを発散するかのように暴れまくった私。おじいやテオにはかなわないけど、狩りは上達した。解体も上手になった。料理を作れるようになった効果か、刃物の扱いもレベルアップ認定された。久しぶりに木が多い場所に来てテンションが上がって木登りしまくっていたら、おじいが、「猿みたいだな……」と呟いた。
収穫も腕を上げたとおばあに認められた。取りこぼしがすごく少なくなったって。やったね。
山の恵みと狩った獲物をたくさん持ってホクホク顔で下山したら、よんねえさまに呆れた顔をされた。
王都にいたときはマナーとか所作とかお茶会とか、急がないでゆっくり動くような暮らしをしていたけれど、領に帰ってからは忙しく過ごしていた。
レース工房に顔を出して、職人の弟子たちの腕が上がっているにびっくりした。特に腕を上げているのは「大きくなったときに自分で暮らせるようにしっかり働きたい」と言っていた女の子。レース職人に、もうすぐ一人前と言われて喜んでいた。
北の集落の大おばあに会いに行ってまた人生相談をした。大おばあと話していると、私は本当に貴族に向いていないんじゃないかという気がしてくる。平民になった方が楽しく暮らせる気がする。そんな気持ちが強まっていった。
御者のスキルを活かして、川下の集落に木材と食料を積んだ馬車で乗り付けたときは、集落の長が驚いていて、口が開きっぱなしになっていた。よーし、サプライズ大成功。
子爵領で忙しく過ごしていたら、あっという間に社交シーズンが来て、王都に向かう。
長く感じる社交シーズンを終えたら、子爵領に戻ってまた忙しく遊んだり働いたりする。
テオに会うのも年に数回になってしまった。社交シーズンで王都にいるときに、1回だけ市場で行商しているテオに会った。ゆっくり話したかったけれど、お客さんがたくさんいて、少ししか話せなかった。
領地に戻った時におじいとおばあにその話をしたら、私がいない間にテオが子爵領に来ていて、おじいたちと一緒に山に登ったらしい。いいなぁ。私がいるときはテオの方から遊びに来ることはないのに。
忙しい日々を過ごしていたら、いつの間にか王立学園に入学する年齢になっていた。
レベル1:
レベル2:木工細工、竹細工、相場の把握、料理、狩り、解体、御者、相談力。
レベル3:家畜の管理、天気読み、おもてなし、山歩き、刃物の扱い、山の収穫。
レベル4:乗馬、木登り。




