軍人さんとはいからさん
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「今作戦において足止めと滅妖の功績大として飛鶴世成、笹竜胆黎明、三階菱三蔵、小乃字小三治、青海波乙姫。
以上、剣衛訓練兵分隊の五名には剣衛武功徽章を授与し、各員の奮戦に敬意を示すと共に、更なる成長を期待するものである」
轡基地司令の言葉を合図に其々の胸にバッチの入った箱を手渡された。
厳密に言えば記章の一つ。鎮護府への召集と共に貴族とされる程の功績には勲章、長期的な積み重ねによる功績に与えられる褒章、短期的な功績に与えられる徽章である。
世成達が受け取ったのは滅妖、即ち妖怪を討ち取る功績によってだ。
訓練兵であり初の実地訓練でありながら味方の為に妖の注意を引き、滅妖までの時間稼ぎと少なくない有効打を与えた功となる。
そんな徽章授与式を終えて初めての実地訓練は終わりを迎えた。
「本当に美味しいね世成くん!」
青海波乙姫が非常に明るい顔で言った。信じられないくらいの量のパスタを頬張りながら。世成は『コテコテの満腹キャラだ……』などと思いつつ。
「だろ? 青海波さんも気に入ってくれたみたいで嬉しいわ」
「うん!」
そうなった理由は実地訓練後に訓練兵達は数日の休憩を与えられた為にカフェー・オッティモで打ち上げをしたからである。
「いい男見つけたじゃん乙姫」
そう不快にならない程度に茶化して笑うのは重扇舞と言う同期の女性訓練兵だ。
端的に言えば青海波 乙姫の付き添いで付いてきた片割れであった。セミロングの癖っ毛で物怖じしない印象を受ける。実際に第二男子寮13号室の面々とすぐに打ち解けていた。女性にしては身長があり非常に足が長い。剣衛は軍服姿でいる事が多いが軍服どころか何を着ても似合うだろう。
顔を赤くする青海波 乙姫をウリウリ言いながら突いて可愛がっていた。その頭にベシっと痛くはなさそうなチョップが落ちる。
「乙姫を困らすなよ舞」
もう一人の片割れである二頭波万里だった。
辛うじてショートヘアといった長さのウルフカットで何せボーイッシュである。姉御肌を絵に描いたような雰囲気、と言うよりその物な性格で誤魔化されるが、細身で平均か気持ち小さめの身長だった。そして何よりの特徴めっちゃ睫毛長い。
伐採遠征で分隊長を勤めていた二頭波|伍長の妹である。
「あいたー」
重扇舞はそうおどけると。
「ごめんね乙姫」
と、割と確り謝った。青海波 乙姫は困った様に笑って頷く。そして気にした風もなくスパゲッティを頬張り出した。
それを見て重扇舞 は三階菱三蔵へと話しかける。
ちょうど良いとばかりに笹竜胆黎明が眼鏡クイってして。
「ところで二頭波さんは能力が開花したって本当かい?」
「えっと。はい。この前の任務で弍字解放を」
「凄いな。個人差のある事だけど羨ましいよ。因みにどんな能力だったんだい?」
「結界系でした」
「おお! 結界系!!」
また眼鏡クイ。
「本当に凄い!! 結界系となると自身の意のままに操れる空間じゃないか! 凄く強力な能力だ」
「黎明、黎明。ちょっと落ち着け」
「ん? あ……」
世成に言われてテンションの上げ幅が急過ぎて驚かせてしまったことを自覚して眼鏡クイ。
「すまないね。個人として謝らせて貰うよ。立場不相応でもあった」
「あ、いえいえ! そんな気にしなくても。驚いたけど、はい……」
気を遣った返答。世成は表情に出さず『あちゃー』と思った。思ったので。
「まぁ二頭波さん。貴族とか気にしなくて良いですよ。コイツ剣バカ振り振り似非メガネですから」
「な! っく、ゥッ……。似非メガネ言うな」
「……自覚あり過ぎて反論できねぇのかよ。悪かったよ。剣バカは半分褒めてるから。眼鏡も取ると調子狂うんだろ?」
「ふん! 気を付けろ」
笹竜胆黎明は剥れた顔でサイダーを啜る。気安い関係を見せて安心させようとイジったら思いの外グゥの音も出なかったので申し訳なくなってしまった。そんな世成に二頭波万里はどこか恐々と。
「あの、飛鶴さん?」
「飛鶴で良いよ」
「えっと、飛鶴は笹竜胆様とどう言った御関係で?」
「唯の同室。敬語もいらんて。まぁ俺が世間知らずなのよ。関係で言ったら小三治のが面白いぞ。だって先生だし」
「先生?!」
二頭波万里が吃驚眼を向けた。小乃字小三治は少し吃驚してタジタジ。困った様な顔で世成に小声で。
「うお……。お、おい世成! 俺は女との関わり方がわからねぇって!」
「落ち着けって小三治。青海波 さんとは普通に話せてたろ。慣れとけって」
「いや、ありゃ……任務だったからよ」
「だからだよ。フォローすっから」
この間、約3秒。世成はアホ面を意識して。
「いやね二頭波さん。こいつスゲェ勉強出来てさ。黎明の奴に勉強教えてんのよ。で、その黎明の親族が喜んでて黎明も渾名で先生って呼んでるんだ」
「そ、そりゃ羨ましいね。私も勉強は苦手だから。あ、ですから。来年は尉官試験も受ける訳ですし」
「小三治。お前もう大体分かってたろ。触りだけでも教えてあげれば?」
「本当かい?!」
「え、あ、う、お、おう! ま、任せとけ!」
「有難う御座います先生!」
咄嗟に頷いちゃった小乃字小三治 に世成は苦手意識を持つよりもと、余計な御節介がエグい事になったのではないかとちょっと不安に思った。
「お! 来たよ」
三階菱三蔵が気付いた。マスターがケーキとコーヒーを持ってくる。皆がスパゲッティを平らげて絶妙な間を計った様に。
「「「わー!」」」
女子三名が思わず歓声を上げ目を輝かせ男四人もイソイソと。
「では皆さん。楽しんで下さいね」
マスターがそう言って七人は改めて頂きますと手を合わせ甘味を楽しんだ。




