第九十七話 寄り添う時間
【注意事項】
本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。
読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。
心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。
※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。
その言葉が、不思議なくらい心に残った。
「……うん」
自分でも驚くほど、素直な返事だった。
少し遅れて――紫紅兄さんが公園にやってきた。
「ほら」
兄さんは、手に持っていたものを俺へ差し出した。
「これ、お前が決めろ」
僕は黙って、それを見つめた。
「でも、一人で決めるな」
兄さんは少し間を置いた。
「両親の意見も聞いて、自分で選べ」
そして、静かに続けた。
「痛みっていうのは……結局、その本人にしか分からないからな」
その言葉は優しかった。
でも、どこか寂しかった。
兄さんは、僕の苦しみを消そうとはしなかった。
「大丈夫」と簡単に言って終わらせることもしなかった。
ただ、隣にいてくれた。
それから僕たちは、公園で時間を過ごした。
夕方の公園には、僕たち以外誰もいなかった。
聞こえるのは、風に揺れる木の葉の音。
遠くを走る車の音。
そんな静かな場所で、兄さんたちは3DSを取り出した。
「聞いてくれよ」
紅石兄さんが、秘密を話すように笑った。
「この前さ、知り合いから伝説のパチモンもらったんだ」
「なんか、引退するからって」
僕は思わず笑った。
「ゲームしたいなら、家でもいいんじゃない?」
すると紅石兄さんは真剣な顔をした。
「分かってないな」
「この場所でやるから意味があるんだよ」
「ゲームなんて、どこでやっても同じじゃない?」
僕が聞くと、兄さんは少し笑った。
「そのうち分かるって」
その時の僕には、その意味が分からなかった。
でも、今なら分かる。
あの日の公園は、僕にとって特別だった。
怖かったこと。
悔しかったこと。
何もできなかった自分への怒り。
僕は少しずつ話した。
兄さんたちは、何も否定しなかった。
ただ、聞いてくれた。
それだけで、心の奥に溜まっていたものが少しだけ軽くなった気がした。
いつもご愛読賜りまして、誠にありがとうございます。
重く深いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はなお続いております。
彼らの心の揺れや選択の行く末を、これからも温かく見守っていただけますと幸いに存じます。
一歩ずつ前へ進む姿を、読者の皆様と共に感じられますことを心より願っております。
次回も変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。
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次回更新日:8月16日(土)2時から、日付変わるまで二時間おきに投稿予定。(社会情勢によって変動。)
(8時,10時,12時,14時,16時,18時,20時,22時)
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