第百二十話 夜空と少年
【注意事項】
本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。
読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。
心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。
※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。
私は立ち上がった。
「そろそろ戻りましょう」
「どこに?」
「君が帰りたいところへ」
少年はしばらく黙っていた。
「。。。家」
「そうですか」
私たちは歩き始めた。
「近くに自販機がみえますけど、何か飲みます?」
「いいの?」
「一つくらいなら」
自販機へ向かう。
その途中、少年が足を止めた。
「ラッキー!」
「ん?」
「前の人が取り忘れたジュースが入ってる!」
少年が自販機の取り出し口へ手を伸ばす。
私は慌てて止めた。
「待って」
「なんで?」
「それは私が飲みます」
「え?」
「君の分は私が奢ります。いいですね?」
「ケチ」
「そうかもね」
少年は笑った。
自販機から缶を取り出す。
私たちは再び歩き始めた。
しばらくして、少年がぽつりと言った。
「。。。不登校だけど、大丈夫かな」
「人生、スタートに遅いなんてありませんよ」
「。。。」
「私も昔、ご高齢の方と一緒に勉強したことがあります」
「え?」
そんな話をしているうちに、目的地が見えてきた。
「ほい、到着」
私は足を止める。
「悪いですが、ここからは自分で入りなさい」
「。。。うん」
少年は玄関の前で立ち止まった。
「色々、あり。。。」
「ん?」
少年は恥ずかしそうに顔を背けた。
「……まあ、いいか」
私は笑った。
「少年。名前は?」
少年は少し迷ってから答えた。
「全。。。隆盛」
「全、隆盛」
その名前を聞いた瞬間。
私は、ほんの一瞬だけ表情を変えた。
「覚えておきます」
私は背を向ける。
「じゃあな、全隆盛」
少年は家の中へ入っていった。
私は一人、歩き始めた。
────────────────
私は夜空を見上げる。
そして、苦笑した。
少年の名前を思い出す。
「……そんなわけ無いか」
少しだけ空を見上げた。
「さて、私も帰るか」
いつもご愛読賜りまして、誠にありがとうございます。
重く深いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はなお続いております。
彼らの心の揺れや選択の行く末を、これからも温かく見守っていただけますと幸いに存じます。
一歩ずつ前へ進む姿を、読者の皆様と共に感じられますことを心より願っております。
次回も変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。
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次回更新日:8月31日 22時◇




