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自殺請負人ー依頼は、命の終わらせ方ー  作者: マイライト
幻想に縋る者

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第百十一話 残された答え

【注意事項】

本作品には自殺や精神的に重いテーマが含まれています。

読む際にはご自身の心身の状態を十分にご考慮ください。

心の不調を感じた場合は、無理に読み進めず、専門機関や信頼できる人に相談されることをおすすめします。


※この作品はフィクションです。登場人物・団体・事件はすべて架空であり、現実の自殺や暴力を肯定・助長する意図はありません。

僕の表情が止まる。

「……誰だ」

請負人は答えない。

数秒の沈黙。

「その人は」

「最後まで、貴方を信じていました」

「そして」

「貴方が笑って生きる未来を望みました」


請負人「依頼人を明かすわけにはいきません。それが約束ですから」


僕は言う。

「約束がどうとか、これを見て、見殺しにしているお前に言われたくはないわ」


請負人「お忘れですか?私は自殺請負人ですよ。どこぞの正義の味方ではありません。私は契約を実現しにきただけです。私は自分にできることをしているまでです」


僕は固まってしまった。


兄さんは口を開く。

「辰緑、これをするのは、お前じゃない。お前はお前の道を進め」

「俺と紫紅兄さんは、あの日別々の方向に別れたんだ。どちらかが必ず生き残れるように。もっと言えば、紫紅兄さんは分かってたよ、お前が緑林公園に来ることも。だけど、最後までお前を信じてた」


「俺は、やっぱり、たとえ理由があっても支えてくれた人に顔向けできないことはしたくない。

だって、俺は俺だから、俺にしかなれない、だけどそれが誇りだから」

「お前にも後で見せてやるよ。未来履歴書。俺の宝物の一つを。」


兄さんは執行中の方向へ向かっていく。

「うあーーーー消えろ、消えろ、消えろ。全部消えてなくなってしまえ」

僕は兄さんに拳銃を発砲した。

兄さんは倒れた。

「うわー、兄さん、兄さん、兄さんまで居なくならないでよ、兄さん。」


兄さんは崩れるように膝をつき、そのまま床へ倒れ込んだ。

乾いた銃声の余韻だけが、静まり返った部屋に残る。

僕の手から拳銃が滑り落ちた。

「……え」

自分が何をしたのか、理解できなかった。

「兄さん?」

返事はない。

「兄さん……?」

一歩、また一歩と近づく。

「違う……そんなつもりじゃ……」

震える手で兄さんの肩に触れる。

温もりは、まだあった。

「起きてよ……」

返事はない。

請負人がすかさず言う。

「まだ、息はあるようですね、マスターがやらないなら私が……」

「やめろーーーー」

喉が震える。

「これは貴方が望んだことでしょ?」

視界が滲む。

「……違う」

「違う、違う、違う……!」

僕は首を振った。

「こんなの、僕が望んだ世界じゃない……!」

静寂を破ることなく、請負人が一歩前へ出る。

「ようやく、現実を見ましたか」

僕はゆっくりと顔を上げた。

涙で歪んだ視界の先に、請負人が立っている。

「……黙れ」

「私は黙れません」

請負人は静かに続ける。

「貴方は悪を裁こうとしました」

「ですが、その果てに撃ったのは、貴方を最後まで信じていた兄でした」

「これが、貴方の望んだ正義ですか」

その言葉に、辰緑は何も返せなかった。

拳を強く握り締めても、震えは止まらない。

初めて、自分が歩いてきた道の先にあるものを見つめるしかなかった。

慌ただしい足音が近づいてきた。

「紅石さんは私に任せてください!」

駆け込んできたのは喜多川だった。

喜多川は請負人を見ている。

「僕は最後の仕事をやります」

「お前ら、自警団左衛門は今日を以て解散とする、お前たち今すぐ、拷問を中止しろ」

その声はこだました。

「そいつに毒されたのか?何言ってるんだ」

「え、望月さん?」

望月は目つきを変えて語る。

「あんたさんは勝手に毒されてろ、わしたちは関係ない。今までだって、あんたさんは命令していただけ、拷問道具を作ったのも、対象を捕らえたのも全てわしたちだ」

「あんたさんを担ぎ上げていたのは、もしものことがあった際の生贄のためだ。端っから、少なくともわしたちは、最初からあんたさんを当てになんかしてねえ。あんたさんは所詮ただのお飾りだ。弱虫」

「生贄がいなくなったら困るんだ。あんたさんには、このまま生贄として、生涯を終えてもらう」


請負人は言う。

「逃げますよ、今ならまだ逃げ切れます」

僕は言う。

「……わかった。」

望月は言う。

「手の空いているものは、あやつらを生捕りにしろ」

いつもご愛読賜りまして、誠にありがとうございます。


重く深いテーマに向き合いながらも、登場人物たちの物語はなお続いております。


彼らの心の揺れや選択の行く末を、これからも温かく見守っていただけますと幸いに存じます。


一歩ずつ前へ進む姿を、読者の皆様と共に感じられますことを心より願っております。


次回も変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。


―――――――――――――――――――――――――――――――――

次回更新日:8月30日(土)14時,18時,22時(社会情勢によって変動。)

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