アリス、出発!
…
「父上、母上、いってきますわ」
「気をつけていくんだよ」
「ルークべリス、アリスを頼んだわよ!」
アリス、10歳、学校に入学します!
家庭教師の先生との初めての出会いから5年、私は今年10歳となり、学校に入学することになった。
ルークべリスと共に馬車で揺られながら、アリスは入学する学校へと期待を膨らませる。
アリスはこの5年の間、魔法、勉強、礼儀作法、そして体力づくりに取り組み、魔法は論外として、どの点でも高いレベルまで磨き上げた。
入学早々の実力検査 ( 特に魔法の検査 ) が怖くはあるものの、先生と共に加減を練習したため、周りから奇異の目で見られることはないだろうと思いたいアリスだった…。
「そういえば、兄様は今Sクラスなのよね?」
「ああ、そうだよ。アリスの婚約者、リーディッヒ殿下ともクラスメイトだ。」
そう。アリスはゲーム通り、8歳の頃に白王子ことリーディッヒ殿下と婚約した。
ただし、あたりまえに政略結婚のため、顔を合わせたのは婚約したときとその後のお茶会2回のみで、
あとは月に1度、公爵家に形式的な花束が届くだけだった。
「へーそうなのね」
(婚約者とはいえ、本当に関わりないのよねー…
しっかしあの顔といい、あの体といい、眼福だわ…)
アリスはなんと、リーディッヒ殿下のビジュアルが超好みだったのだ!
(ま、婚約者のいる身でヒロインにうつつを抜かす男は勘弁願いたいわ)
婚約者であることとビジュアルはまた別の話である。
…
「…ス、アリス、起きて。」
「…うぅん……ふぇ?」
アリスが顔を上げ、ふと馬車の窓を見ると、どうやらもう既に魔法学校に着いたようである。
「ほらアリス、立てるか?」
ルークべリスはこの5年で、なんとも美しく色気のある男になっていた。
しかも、ゲームとは違い、アリスとよく遊んでくれる優しい兄にもなっていた。
アリスの努力の賜物である。
「兄様、かっこいい…」
本日のリーディビッヒは妹の入学に伴い、いつもよりもピシッと制服を着こなしている。
家族と言えども、眩しいくらいの美男である兄の賛美が寝起きのアリスの口から溢れ出た。
「はは、ではかわいいアリスお嬢様。お手を。」
リーディビッヒは照れたように笑いながら、外に出て、かわいい妹へ手を差し出す。
「ええ…。」
アリスの手をとり、エスコートされながら馬車を降りる。
傍から見たら、なんとも絵になる美男美女とふるまいである。
「では、また帰りに。応援しているからね。」
兄からそう告げられ、アリスは嬉々として頷き、
入学生の集う広場へと向かって行ったのだった。




