桁外れのアリス!?
そのあと、先生は30分くらい戻ってこなかった。
一方その頃、アリスはというと…
「『ウォーターボール』!」 ポンッ
「『ウォーターボール』!」 ポンッ
「『ウォーターボール』!」 ポンッ
魔法を楽しんでいた。
「はーあ、やっぱりなにかやっちゃったのかな…?まあでも、ゲームでもほとんどの人はこのくらい普通に使ってたし、何より実践魔法を使えるのが楽しすぎて!!」
そう、アリスはこの5年間の魔法の鍛錬で、実践魔法を使ったことは数える程しかない。
というのも、そもそも実践魔法が本格的に書いてある本は大抵は届かないところにあったし、
盗み聞きした内容で1度だけこっそりやった時に、ボヤを起こしてしまって以後絶対に使わないようにしていたのだ。
よって、魔力の循環で体内魔力を増やす鍛錬しかやっていないアリスの好奇心はもう誰にも止められなかった。
と、楽しんでいると、先生がアリスの父ルーシースと母マリスを連れてやってきた。
「アリスさん!お待たせして申し訳ありません。もう一度、先程見せてくれた魔法をやっていただけますか?」
「はい!もちろん」
「『ウォーターボール』!」 ポンッ
アリスが練習した魔法を見せると、3人は目を丸くして、生み出された大きな水の泡を見ていた。
「先生?どうですか?」
アリスが先生にそう声をかけると、先生より先に父が声を発した。
「アリス!祝詞なしでできるのか?!しかもこんなに大きなものを!」
「?祝詞は試してみると、なくてもできたのでやめてみました。それにどれだけやってみてもこの大きさしかできないのです…。」
「これは…将来有望だな。」
「まあ!さすがねアリス!」
「…なんというお嬢様でしょう!」
父と母、そして先生がそう呟く。
「えっと、どういうことですか?もしかして、私は普通ではないのですか…?」
アリスが訊ねると、父が食い気味で
「ああ、そうだアリス!お前は非常に優れている!兄のルークべリスにも引けをとらないぞ!」
それをきいて、アリスはゲームを思い出す。
…たしか黒王子は魔力が1番強い攻略キャラクターだったはず…。
いやでも幼少期は違うのか…?兄上はまだ10歳だし…。
アリスが考えていると、
「じゃあ、疲れただろうから今日はここら辺で終わりますね。しっかり休んでくださいね。」
先生がにこやかにそう言って、アリスは3人と一緒にお家の中へ戻され、ひとりで部屋に戻っていった。
アリスはベットに寝転び、
「はー疲れた、絶対やっちゃったな…。
まあでも楽しかったしいいか…?」
と呟くと、いつの間にか深い眠りに落ちていった。
…
一方その後の3人はというと、
「先生よ、どうかこのことは内密にしてくれないだろうか。金ならいくらでも払う。」
「いえ、公爵様、そんな恐れ多い…。
お金は不要でございます。
私もこのことを公にしようとは思えないほど、お嬢様は桁外れです。」
アリスの桁外れの魔法に関して話し合いが行われていた。
およそ5年間、アリスは密かに魔力を増やし続けてきたのだから桁外れはあたりまえである。
「まったくだわ。もし公になってしまったならば、幼いアリスは連れ去られてしまうこともあるかもしれないわね。」
「マリスの言う通りだ。いくら桁外れでもアリスは幼く、防御力がない。
それに、少なくとも魔法学校入学の10歳までは、人の悪意に触れることなく楽しく育って欲しい。
そして先生、どうか学校入学までアリスを教えてくれないだろうか。」
ルーシースは先生の方を向き、頭を下げる。
「そんな!頭をおあげ下さい!こちらからもお願いします。
あんなに素晴らしい生徒を近くで見守ることが出来るのを光栄に思います!」
「ありがとう。
では、アリスの魔法のことは公にしないということ、先生には学校入学まであと5年お願いするということでよろしく頼むよ。」
ルーシースは微笑みながらそう言った。
そして妻マリスと共に先生を見送った。




