第九六話 制覇者
今晩は。
投稿です。
王都は混乱していた。
原因はファルコンキャロット家より一言の連絡。
それは、魔法陣を通して伝えられた。
……チキンキャロット家当主、バンブ・チキンキャロットがドリオンの塔198階を攻略、制覇した……
有り得ないことである。
王都の情報管理局は騒然とし始める。
そして一気に噂となって広がる!
……青い飛竜を倒したのか!?……
……198階だぞ、どうやって登ったんだ!?……
……誤報だろ……
……何を言っているのだ、ファルコンの者は!……
……鱗だ!飛竜の鱗は回収できたのか!?……
……伝説の剣は実在していたのか?どうなんだ!……
情報が交錯し、混乱は拡大していく。
「事実を突き止めよ」
国王命令で調査団が組まれ、即日調査に向った。
だが連絡はそれだけでは終らなかった。
……塔が自己修復を始めている……
直接魔法陣の前に立つ国王。
「おう、無頼、久しいな、自己修復だと?」
……はい……
「それは制覇されたデーターを元に、強化しているということか?」
……おそらく……
「厄介な塔だな、他には?」
……今まで用途不明だった一回のゲートから、装備品や装飾品が大量に吐き出されています……
「はぁ?」
……おそらく、今まで塔に挑んで死んだ者達の、装備品と思われます……
「どういうことだ!?」
……未回収の装備品でしょう、おそらく上階を目指した者達の……
「それを返していると?塔が?」
……ドリオンの塔制覇者が出たため、塔がリセットしたのではないかと……
「新たに仕切り直しということか?」
……はい、塔自体を強化しているようです……
「誰の指示だ?」
……さて、知りようがありません……
「だよな、攻略のメンバーは?」
……バン、白魔道士ユトラン、ブンドル騎士団騎士団長レイン、ゴーレムマスターのロック、人造獣人ホラー・ルンルン、忍者マスター路傍一心、以上6名です……
「皆無事か?」
……今のところ……
「ホラーは塔に入れないだろう?拒否反応が出ると報告にあった、一心も高齢で動けないはず」
……塔外より援護をしていました……
「ああ、高角砲か、なぜそこに騎士団長がいる?職務放棄か?」
……本人の意思ではなく巻き込まれたようです……
「ふん、まぁそういうことにしてやるか」
……バンが塔より戻ってくるようです、では後程……
「待て、街の様子はどうなっている?」
ここはファントムが報告したくなかった項目である。
被害は甚大、この王、借金を増やしかねないのだ。
バンブを必要以上に縛るのは本意ではない。
……塔周辺と西区の一部は壊滅、チキンキャロット家は建て替えが必要でしょう、他にも被害が……
「おいおい、どんな戦いだったのだ?更に借金で縛るか?」
……青い飛竜の鱗が100枚以上確保されています、他にも……
「飛竜の鱗だと?」
……未確認のゴーレムも確保しています……
「未確認?どんなゴーレムだ?」
……ドラゴンタイプの飛行ゴーレムです……
「!」
……解析を進めれば、我が国の技術が飛躍します……
「借金返済の目途が立ったか?」
……いえ、それでも幾分か……三分の一程残ります……
「……青い飛竜の鱗の評価は?」
……まだ検証していません、ですので一般飛竜の価値の倍として計算しております……
「……ここは正直に動くか、バンブを正確に評価し、俺に報告しろ」
……はい……
そしてファントム・ザ・無頼はバンブの前に立つ。
民衆の前で、名乗らせたかったのだ。
我こそは覇者、前代未聞のドリオンの塔攻略者、クライマーズ198!
この生真面目なアホは絶対集まった民衆が非難すると思っているはず!
そうではない、みなお前のことを知っているのだ!
とんでもない苦労も、借金も!傭兵生活も!
こいつらは、お前におめでとう、と言いに来た連中だぞ!
お前の父親に、母親に、世話になった街の連中だ!
さぁ名乗れバンブ!
雄叫びをあげろ!
ファルコンは力を込めて名乗る!
「ファルコンキャロット家当主、ファントム・ザ・無頼である!」
「チキンキャロット家当主、ドリオンの塔制覇者クライマーズ198、バンブ・チキンキャロットである!」
(ははっ!そうだバンブ!お前は今、世界最高のクライマーズだ!生きた伝説だぞ!)
本家のファントム・ザ・無頼は我がことのように嬉しかった!
次回サブタイトルは未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




