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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第九話 ぶへっ     

今晩は。

投稿です。


「塔はもういいです」


 遠い目になる白魔道士ユトラン。


「あ、でもバンブくんが望むなら……」


 ……ちょ、待ちなさいっ!……


 今度は杖に現われる小さなお姉さん。


 ……あら、いい杖ね?……


「でしょう?誉めてくれてありがとう……」


 ……いや、そうじゃなくて、条件をだすのよっ!……


「条件?」


 ……駆け引きよっ!向こうはあなたの白魔道士としての能力を欲しがっている……


「……能力だけ、ですか?」


 ……はっきり言ってそうよ、い・ま・は!……


「今は?」


 ……そう、そしてあなたはバンブのことを、どんな男の子かもっと知りたい……


 ぼっ、と赤かなる白魔道士ユトラン。

 こくこく。


 ……ここで条件を出すのよ!……


 この会話、バンブにはあまり聞こえていない。

 ボソボソと言葉の端々は聞こえるのだが、はっきりと聞き取れないのだ。

 一応この小さなお姉さんの主は、バンブなのだが、お姉さんがなるべく聞こえないようにお話ししているのだ。

 ちなみに第三者にはまったく聞こえない。

 そして力ある者にしか見えない。


「じょ、条件ですか!?」


 ……結婚は早いわ、まず男を見定めるのよ!そのための条件……


「……ま、まったく思い浮かびません……」


 ……でもその前に、動機を聞くのよ!……


「動機ですか?」


 ……そう、動機よ、なんで白魔道士が欲しいのか!……


「それは回復役が……」


 ……違う、違う、バンブの口から聞くの!……


 ここで素直に従う白魔道士ユトラン。


「バンブくん、なんでユトランをパーティーに誘うの?」


「……それは……回復役が欲しいからさ、それと僕はクライマーズゼロだ、クライマーズ48の経験は貴重だと思う。ゴクゴク」


 リンゴジュースを美味しそうに飲むバンブ……しかし!


「う……100%ジュース、すっぱい……」


「え?美味しいよ!ごくごく」


「リンゴより、ミカンがよかったかなぁ?」


「ふふっ、バンブくんは酸っぱいのが苦手?」


 回復に経験かぁ……それだけ?バンブを見つめるユトラン。

 ユトランは最大の疑問をくちにした。


「……ユトランは問題を起し、パーティーをクビになった白魔道士ですよ」


「問題?違うね、さっきの魔法コントロールは凄かった。弓の腕がどれだけか知らないけど、クライマーズ48なら相当な腕のはず」


「……何が言いたいのです?」


 冷静さを保つユトラン、しかし本音は次の文章である。


(うえええええええええっ!?う、うれしいっ!うれしいいいっ!誉めてもらった!も、もっと誉めて下さいっ!なんでだろ!?バンブくんに誉められると、とんでもなく嬉しいっ!)


「49階のエリアボスは二体だ」


「!」


「それに気がついた、違うかい?モグモグあ、タコ大きい!こっちも食べなよ!」


「……」


「どしたん?ユトランさん?」


「な、なんで知っているの!?」


「たぶん、デカいブラックキラースパイダーは雌だ。蜘蛛は普通雄が小さい、それに気が付いたのでは?雄は子蜘蛛と変わらない大きさだ、でも力は雌と同等!その雄蜘蛛が死角からリーダーに急襲」


「……」


「そこで君は脚を矢で射て攻撃を回避させた。これが正解さ、断言する、君はリーダーを助けた」


「ぶへっ」


「えっ!?」


「う」


「う?」


「……うううっ……うわあああああああんっ……」


 号泣する白魔道士ユトラン。


「え?え?」


 突然の泣き叫びにビックリするバンブ。

 ぶしゅうううううっ!

 白魔道士ユトランは、リンゴ100%ジュースの紙コップを思わず握り潰す!

 そして小さな可愛いお口から、たこ焼きのタコが飛び出す!


「うげぇえ……ひいいいいいいいいいんっ!」


 涙は止まらない!流れ続ける!

 鼻水も、ヨダレも垂れ流し!


 理解者がいた!


 ここにいた!目の前にっ!

 わかってくれる人がっ!


 いたんだっ!


 こんなに嬉しいことはないっ!


 ここで集まる周囲の目。


 ……え?女の子泣いている?……

 ……なに?あれ、別れ話?……

 ……ひど、男の子サイテー……

 ……いや、待てよ、あの女の子……

 ……あ、ギルド回覧で見た子?……

 ……え?あの子、彼氏にまで捨てられたの!?……

 ……ざまぁ……

 ……酷いよねぇ、49階アウト……


「ハンカチ、ハンカチ!」


 バンブのポケットから綺麗なハンカチーフが出てくる。


「!……ぞ、ぞんなぎれいな、は、ハンカち……つ、づかえません……」


「まぁ、そう言わずに、ね」


 ハンカチを受け取ると、口元に当てるユトラン。


「どうしたの?急に?ビックリしたよ……」


「……う、うれじかっだ……」


「え?」


「……わ……わが……ってくれる人がいた……うっく……」


 バンブの雰囲気が変わり始める。


(やはり、問答無用でクビにしたんだな、そしてリンチ?)


 ……むっほむっほ……

 ……怒りを抑えろ……

 ……ワシら近づけん……


(あ、ごめんよ、でも怒りたくもなるよ!)


 ……そうだな……

 ……ストライプに暴力?けしからん……

 ……そのうち、思い知らそうぞ……

 ……むっほむっほ……

 ……そうじゃ、そうしよう……


(あ、小さい妖精に嫌われたな、あのパーティーもう終わりかも……)


 そう、妖精に嫌われると全てが終るのだ。

 好かれる必要はないが、嫌われると終わり、要注意である。


(ユトランさんに謝れば許してくれるかも、だけど。まぁあいつら、謝らないだろうなぁ)


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは 第十話 動機と本音 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

明日のお昼は投稿無理かも、です。

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