第八話 今後の相談
こんにちは。
投稿です。
はむはむ。
もぐもぐ。
美味しそうに肉串とたこ焼きを食べる二人。
周囲は緑が綺麗である。
「おいしいね、モグモグ」
気軽に声を掛けるバンブ。
ユトランは緊張気味である。
そして押し寄せる不安。
(な、何から話そう?自己紹介?名前は伝えたけど……ああ、これからどうしよう?お家もお金もなくなってしまった……モグモグ……替えの下着、どうしよう?)
元々ギルドの宿舎暮らしのユトラン、いつ塔で命を落とすか分からないから、持ち物など殆ど無い。
全財産没収と言われても宿舎はパーティー名義だし、お金の管理もパーティー任せ。
手にあるのは、母の形見の杖だけだ。
父親の弓はリンチの時折られ、魔法使いに焼かれてしまった。
(ああ……どうしよう?ユトランの未来、あるのかなぁ……)
でもお肉はしっかりと食べるユトラン。
3本目である。
そして4本目に無意識に手を伸す。
「それ、欺されてない?クライマーズ48でギルドの宿舎?」
ギルドもグルだな、と確信するバンブ。
「そ、そうなのですか?モグモグ」
「まずは疑わなきゃダメだよ」
「……疑うのですか?」
「そうだよ!酷いパーティーだな!クライマーズ48ならもっといい暮らしが出来ているはずだ」
そう、ユトラン以外は皆、超高級マンションに住んでいるのだ。
もちろんユトランは知らない。
「……じっ」とバンブ見つめるユトラン。
「?」
「あの、あの、バンブくんも疑えということですか?こんなに親切なのに!」
「え?……!……そ、そうだよ!」
「できません」
一言、断言する。
「え?なんで?」
「ユトランはバンくんを疑うなんて、したくありません、できません」
「でも、僕、下心ありありだよ、もぐもぐ」
「ええええええええっ!?そ、そうなのですか?もぐもぐ、ごっくん」
「じつは、そうなんだ。そこでご相談」
「ど、どんな?」
高鳴る鼓動。
ど、どんな相談?
下心?
結婚かしら?いやそれは考えすぎ!
まず、お付き合いが先ね。
いやいや、まだ出会って半日も経っていないわ。
ここはお友達から?
イヤそうじゃなくて?
でも運命のデスティニーなら時間は関係ないわ!
出会った瞬間、激アツよ!
魂を撃ち抜かれるはず!
以上、ぐるぐると回る白魔道士ユトランの思考。
だが実際、死を覚悟したユトランを見事に助け出したのは、目の前の少年、バンブ・チキンキャロットなのだ。
白魔道士ユトランの目には、召喚士バンブが白馬の騎士に見える。
いや、ホワイトドラゴンを駆る竜騎士?それともホワイトプテラを駆る飛龍騎士か?
そう、白魔道士ユトランはもう魂を撃ち抜かれているのだ。
撃ち抜いた言葉は、ありがとう、その感謝の言葉だ。
ユトランが一番欲しかった言葉。
白魔道士として、役に立っているのだろうか?
パーティーメンバーから、常に浴びせられる罵詈雑言。
ユトランの心は壊れかけていたのだ。
『あり』
バンブにとっては普通に感謝の言葉だが、ユトランにとっては違っていた。
それは特別な言葉なのだ。
「……になってほしいんだ」
「え?」
「僕の話、聞いている?」
「生涯のパートナーになってほしい?」
「え?生涯のパートナー?僕まだ16だし、結婚は早いよ、経済力も無いし」
ここでポン、とユトランの右肩に小さな妖精が現われた!
10センチ程の、綺麗なお姉さんである!
……ねえねえ、あなた、バンブがスキスキなの?……
(うえっ!?そ、それは……命の恩人ですし、食べ物や優しい言葉……)
なんだか涙が出そうになるユトラン。
明日が見えないのだ。明日、私はどうなっているのだろう。
そして、今日も見えない。
……あんた、孤独なの?……
「!」
行くところが無い、お金も、知人も、無い引き籠もる場所さえ無いのだ。
その思いが小さなお姉さんに伝わる。
いや、小さなお姉さんは読み取った!
……バンブは悪いヤツじゃないわ。それはわかるでしょう?……
「?」
……だって私達、小さな妖精を召喚できるのよ、私達は悪いヤツには召喚できないの……
「そ、そうなんですか?」
……そうそう……
「ち、ちょっと妖精さん、ナニお話ししているの!?僕の妖精じゃないの!?」
……妖精は自由よ、気に入った人には無償のプレゼントを大奮発するの!……
そう言って、ポンと消える小さなお姉さん。
「もう一度言うね、僕とパーティーを組まないか?塔攻略のパートナーになってほしいんだ」
「!」
「人生のパートナー!?」
……むっほむっほ!わはははっ、ストライプ、なかなかいい耳をしているなぁ……
突然現われる小さなおじさん。
無造作に置かれた朱槍に、器用にしがみついている。
「いや、塔攻略のパートナーだよ」
塔攻略と聞いて明らかに曇り始めるユトラン。
そう、とんでもない思い出しかない!
あそこには、いい思い出なんてこれっぽっちも無いのだ!
今回はここまです。
ではまた次回。
次回サブタイトルは 第九話 ぶへっ です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




