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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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第八話 今後の相談     

こんにちは。

投稿です。



 はむはむ。

 もぐもぐ。


 美味しそうに肉串とたこ焼きを食べる二人。

 周囲は緑が綺麗である。


「おいしいね、モグモグ」


 気軽に声を掛けるバンブ。

 ユトランは緊張気味である。

 そして押し寄せる不安。


(な、何から話そう?自己紹介?名前は伝えたけど……ああ、これからどうしよう?お家もお金もなくなってしまった……モグモグ……替えの下着、どうしよう?)


 元々ギルドの宿舎暮らしのユトラン、いつ塔で命を落とすか分からないから、持ち物など殆ど無い。

 全財産没収と言われても宿舎はパーティー名義だし、お金の管理もパーティー任せ。

 手にあるのは、母の形見の杖だけだ。

 父親の弓はリンチの時折られ、魔法使いに焼かれてしまった。


(ああ……どうしよう?ユトランの未来、あるのかなぁ……)


 でもお肉はしっかりと食べるユトラン。

 3本目である。

 そして4本目に無意識に手を伸す。


「それ、欺されてない?クライマーズ48でギルドの宿舎?」


 ギルドもグルだな、と確信するバンブ。


「そ、そうなのですか?モグモグ」


「まずは疑わなきゃダメだよ」


「……疑うのですか?」


「そうだよ!酷いパーティーだな!クライマーズ48ならもっといい暮らしが出来ているはずだ」


 そう、ユトラン以外は皆、超高級マンションに住んでいるのだ。

 もちろんユトランは知らない。


「……じっ」とバンブ見つめるユトラン。


「?」


「あの、あの、バンブくんも疑えということですか?こんなに親切なのに!」


「え?……!……そ、そうだよ!」


「できません」


 一言、断言する。


「え?なんで?」


「ユトランはバンくんを疑うなんて、したくありません、できません」


「でも、僕、下心ありありだよ、もぐもぐ」


「ええええええええっ!?そ、そうなのですか?もぐもぐ、ごっくん」


「じつは、そうなんだ。そこでご相談」


「ど、どんな?」


 高鳴る鼓動。

 ど、どんな相談?


 下心?


 結婚かしら?いやそれは考えすぎ!

 まず、お付き合いが先ね。

 いやいや、まだ出会って半日も経っていないわ。

 ここはお友達から?

 イヤそうじゃなくて?

 でも運命のデスティニーなら時間は関係ないわ!

 出会った瞬間、激アツよ!

 魂を撃ち抜かれるはず!

 以上、ぐるぐると回る白魔道士ユトランの思考。


 だが実際、死を覚悟したユトランを見事に助け出したのは、目の前の少年、バンブ・チキンキャロットなのだ。

 白魔道士ユトランの目には、召喚士バンブが白馬の騎士に見える。

 いや、ホワイトドラゴンを駆る竜騎士?それともホワイトプテラを駆る飛龍騎士か?


 そう、白魔道士ユトランはもう魂を撃ち抜かれているのだ。

 撃ち抜いた言葉は、ありがとう、その感謝の言葉だ。

 ユトランが一番欲しかった言葉。

 白魔道士として、役に立っているのだろうか?

 パーティーメンバーから、常に浴びせられる罵詈雑言。

 ユトランの心は壊れかけていたのだ。


『あり』


 バンブにとっては普通に感謝の言葉だが、ユトランにとっては違っていた。

 それは特別な言葉なのだ。


「……になってほしいんだ」


「え?」


「僕の話、聞いている?」


「生涯のパートナーになってほしい?」


「え?生涯のパートナー?僕まだ16だし、結婚は早いよ、経済力も無いし」


 ここでポン、とユトランの右肩に小さな妖精が現われた!

 10センチ程の、綺麗なお姉さんである!


 ……ねえねえ、あなた、バンブがスキスキなの?……


(うえっ!?そ、それは……命の恩人ですし、食べ物や優しい言葉……)


 なんだか涙が出そうになるユトラン。

 明日が見えないのだ。明日、私はどうなっているのだろう。

 そして、今日も見えない。


 ……あんた、孤独なの?……


「!」


 行くところが無い、お金も、知人も、無い引き籠もる場所さえ無いのだ。

 その思いが小さなお姉さんに伝わる。

 いや、小さなお姉さんは読み取った!


 ……バンブは悪いヤツじゃないわ。それはわかるでしょう?……


「?」


 ……だって私達、小さな妖精を召喚できるのよ、私達は悪いヤツには召喚できないの……


「そ、そうなんですか?」


 ……そうそう……


「ち、ちょっと妖精さん、ナニお話ししているの!?僕の妖精じゃないの!?」


 ……妖精は自由よ、気に入った人には無償のプレゼントを大奮発するの!……


 そう言って、ポンと消える小さなお姉さん。


「もう一度言うね、僕とパーティーを組まないか?塔攻略のパートナーになってほしいんだ」


「!」


「人生のパートナー!?」


 ……むっほむっほ!わはははっ、ストライプ、なかなかいい耳をしているなぁ……


 突然現われる小さなおじさん。

 無造作に置かれた朱槍に、器用にしがみついている。


「いや、塔攻略のパートナーだよ」


 塔攻略と聞いて明らかに曇り始めるユトラン。

 そう、とんでもない思い出しかない!

 あそこには、いい思い出なんてこれっぽっちも無いのだ!


 今回はここまです。

 ではまた次回。

次回サブタイトルは 第九話 ぶへっ です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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