第七三話 6日目・ドリオンの塔 夜
今晩は。
投稿です。
深夜、声が聞こえてきた。
微かな声だが、レインは聞き逃さない。
パチッ。
切れ長の眼が動く。
(ん?ここどこだ?)
横を見ると、男が寝ていた。
(……誰だコイツ?)
肩の隆起が凄いな、剣を持たせれば相当速く振りそうだ、などと考えて男を起さないように静かに起き上がるレイン。
酒臭い。
自分で分かる程酒臭い、これは相当呑んだな、などと考えている。
(あ、ロック?)
じんわりと記憶が鮮明になっていく。
男はロックである。
(オニギリ食って、酒呑んで、ロックの倉庫で陛下と謁見して……それから……)
頭を抱え込むレイン。
(塔の話をして、パーティーの話し、隣国、騎士団今後、王都に対する不満、ああ、そしてロックと陛下の関係を聞いたのだ……まさか話してくれるとは……)
そこで更に酒は進み、ロックを押し倒すレイン。
(……呑みすぎてまた男と寝てしまったか、まぁ仕方あるまい、それより!)
音も無く立ち上がると、レインは声の主を探し始めた。
足音はなく、影のように動くレイン。
素裸なので衣擦れの音もせず、まるで足の裏には肉球でも付いているかのように、無音で歩く。
その姿は獰猛なネコ科の獣だ。
倉庫を出ると、二人の人物がいた。
空には星もなく夜の闇が深い。そんな中、二人の人物が話し込んでいた。
……明日……
(ルンルンだな、もう一人は誰だ?)
男のようだが、周囲が歪みよく見えない。
(防御魔法?結界か?)
「明日、ドリオンの塔の攻略です」
「明日?勝算は」
「あります」
(ルンルン、別人だな、こっちが本性か?)
顔付きが全然違う。
優しさの欠片も宿していない冷たい目。
レインの評価通り、別人である。
屋敷内で出会っても分からないのでは?
そう思えるほどルンルンは違って見えた。
「バンに死んでもらっては困る、死なせるな。本家はバンの死を望まぬ」
「……はい」
「ユトランなる人物は、バンに相応しいか?」
「はい、高速詠唱の使い手、弓の腕も確かです」
「ほう、明日は影ながらフォローする、騎士団や警備隊も動くようだな」
「はい、国王陛下のご命令とか」
「危険と判断したら、本家が介入する、以上だ」
ゆっくりと歩いてくるルンルン。
「盗み聞きか?感心しないな」
「聞かれて困る内容でもあるまい、バンブ殿は愛されているのだな」
「どうかな?お前もだいぶ愛されたのではないのか?」
「……私のはお互いの貪り合い、傷の舐め合いだ、愛にはほど遠い」
「人の屋敷で貪り合いなど、ホント騎士団か?ロックもロックだ!」
「ロック殿を責めるな、私が押し倒したのだ……手を貸そうか?腕は確かだぜ」
「ふふっ、ブンドル騎士団の団長さまだ、腕は一流だろう、だがバン様は見ておけと言った、手出しは無用だ。さっさと服を着て帰れ、目障りだ」
「そうさせてもらう、ここは相当危険な所だしな」
「……」
殺気が漲り始めるルンルン。
「おいおい、獣人とヤルつもりはないぜ、盗み聞きは悪かったよ、先程の人物は結界で誰だか分からなかった、いや私はそもそも何も聞いていない、見ていない、これでいいか」
「今回はそれでいい、次回はないぞ」
「ああ、注意するよ」
そう言ってロックの元へ戻るルンルン。
部屋に戻るとロックはいなかった。
(どこだ?取敢えず……パンツはどこだ?剣はここか?)
隣室から灯りが漏れてくる。
(お?ロックそこか?)
ドアの開けようとして止まるレイン。
(なんだ?イヤな予感がする。このドアは開けない方がいいのか?)
そう、開けたら後戻りできない、そんな気がしたのだ。
「さて……どうしたものか」
装備一式を身につけ静かにドアを開けるレイン。
好奇心がイヤな予感、直感を上回ったのだ
(!!!!!!!!!!!)
目の前には、巨大な兵器が列んでいた。
(な、なんだ!?このゴーレムは!それも一体だけではないぞ!?)
見たこともないゴーレム。
(どこの国の技術だ!?なんだこの仕上がりは!?)
静かに進むと、更に驚愕の兵器がそこにあった。
見上げるほどの兵器。
(こ、これは……高射砲!?)
鈍く光る砲身。
(バンブ!あいつら何をする気だ!?塔の破壊か!?)
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第七四話 7日目・ドリオンの塔 朝 の予定です。
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