第六五話 6日目・ドリオンの塔 ユトランは躊躇わない
今晩は。
投稿です。
「なかなかの太刀捌き」
「騎士団長からお褒めの言葉とは、うれしいね」
「だが荒いな」
「そうかい?」
スッ、と剣を引き抜くレイン。
「おいおい、騎士団ともめる気はないぜ?俺はユトランとケジメを着けに来ただけなんだが?」
「ケジメ?お前の勝手な言いがかりだろう?ユトランは私のお気に入りでね」
「ほう、女同士で擦り合いかぁ?憶えてるかユトラン?俺とヤッた時は咥え方も知らねぇつまらん女だったよな?」
ユトランではなく団長が動揺する。
「なんだと?」
「今じゃ騎士団の団長を咥えるとは、たいしたもんだ」
ニヤニヤ笑いながらユトランを睨むリーダー。
「……ゲスが」
一瞬の怒りがレインの手元を狂わせる。
キンッ!
一撃目はリーダーを押したが、タイミングがずれた!
二撃、三撃目は押され、後退するレイン。
「あんた、ホントにクライマーズ70か?偽証は重罪だぜ?せいぜい10か20だな!」
四撃目は切っ先が変化しレインの左籠手にヒットする!
キイイィッ!
「なっ!?私に当てた!?」
リーダーの剣は籠手に弾かれ刃毀れする!
「チッ!さすがは国家騎士団の鎧か?」
大きく下がるリーダー。
(下がった!今だ!)
ユトランの目が光る!
コケッコウ!
空かさず高速詠唱が唱えられる!
クライマーズ48に襲いかかるホーリーバースト!
ドゴオオオオオオオッ!
直撃である!
巻き上がる粉塵から飛び出てくるリーダー。
「白魔道士如きが戦士に刃向かうか!」
(ダメージなし!?魔法防御?あ、呪符だ!簡易高速詠唱では効果なし?)
ちゅん、ちゅん、ちゅん!
雀のような可愛い鳴き声がユトランの口からこぼれる!
しかしその効果は凄かった!
氷の矢の連続攻撃である!
「この程度!」
ユトランの攻撃を上回るリーダーの動き!
氷の矢を剣で防ぎ、間合いを詰める!
「なんだこの魔法!所詮クズの白魔道士!」
「そ、その白魔道士の矢に助けられたくせに!」
「はぁ!?なんだと!口答えするのか!」
レインが剣を振るうが、寸前で回避される!
「はん!左腕、折れているだろ?」
リーダーの攻撃が、レインによって流れる。
バランスを崩したのだ!
ここでユトランはリーダーの足下に氷の矢を撃つ!
ちゅん、ちゅん、ちゅん!
「!?」
足下が滑り、バランスを大きく崩すリーダー!
(よし!今だ!本格高速詠唱っ!)
歌声が流れ始める!
バランスを崩しながらも距離を詰めるリーダー。
「あん?子守歌か?余裕だなぁ!この距離!ハズさねぇ!斬れる、俺の恨みっ思い知れっ!」
目は血走り、狂気の笑顔でユトランに斬りつけるリーダー!
外さないと確信したのはユトランも同じである。
そして防御力無視のホーリーバーストが炸裂する!
地面が大きく抉れ、吹飛ぶ!
「なっ!?呪符が効かない!?」
ユトランはそのまま走り出し、ルンルンの手を掴む!
「ホラーお姉ちゃん!走って!ユトラン、もう魔力がないの!」
ユトランを抱き上げ、走り出そうとするが、ダメージが大きい。
(なぜだ!?回復が遅すぎる!あの剣、魔剣か!?)
ひょい!
ユトランを右腕に、ルンルンを左肩に乗せると、全速力で走り出すレイン!
「撤退っ!後は部下に!騎士団が対応する!犬ころ!あの剣は魔剣だ!」
フル装備で全力疾走するレイン!
「おい、レイン!今なら確実だぞ!お前ならトドメ刺せるだろ!」
「お前らの安全確保が先だっ!あの魔剣はヤバいっ!」
左籠手から鮮血が流れ始める。
バラバラと降り注ぐ大地の破片。
粉塵の中からゆっくり起き上がる影。
それはボロボロで血まみれのリーダー。
「……や、やりやがったなぁ……ゆるさんぞ……ユトランッ!」
ザッザッザッ。
規則正しい足音。
ブンドル騎士団到着である。
……囲め……
……抵抗するなら命はないぞ……
……2名、団長の元へ走れ……
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第六六話 6日目・ドリオンの塔 決着 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




