第六三話 6日目・ドリオンの塔 人気者
今晩は。
投稿です。
ゆっくりと振り向くルンルン。
「なに用だ?あたいらに、後から近づかない方がいい」
そこには3人の女性。
(なんだこいつら?今はそれどころじゃないんだが?)
一人は魔法使いの出立である。
残りは剣士か?
「獣人さん、あなたに用は無いわぁ……あなたユトランさん、ですよね?」
ユトランは応えない。
十字路が気になっているのだ。
「ふーん……クライマーズ49にもなると無視なんだぁ」
「ちょっと人気者だからって無視?」
「ユトランさん、借金で貴族に身売りしたってホント?」
ガチン!
と、きたのはルンルン。
どこで話しがそうなった?
借金と貴族の言葉が迷走してそうなったのか?
「うちら、クライマーズ40なの、あなたさえ良かったら、借金肩代わりしてやってもいいわよぉ」
(よくもまぁ未確認情報で、ここまで話しを進められるな?)
ある意味感心するルンルン。
(クライマーズ40?ホントか?せいぜい5か6?)
「その代わりさぁ、うちらのパーティーメンバーにならない?」
「明日、朝8時オリオン塔前、これでいい?」
3人の声は、ユトランに届かない。
「ホラーおねえちゃん、確かめよう……イヤな予感がするの」
「屋敷に帰った方がよくないか?」
「……確かめるだけ」
「……わかった」
だんだんと苛立ち始める3人組。
「ちょっとぉ、無視?あんたチビのくせホントにクライマーズ48?」
ギロリと3人組を睨むルンルン。
「お前らこそホントにクライマーズ40か?クライマーズ偽証は重罪だぞ」
「「「!」」」
(あ、青ざめた。重罪確定だな、臭いも変わっちまったし!こいつら騎士団に知れたらブンドルの街、追放だぞ!)
「ユトさま、確認だけですよ」
「うん」
ユトランは十字路に向って走り出す!
「待ちなよ!」
「待てよ!ごらっ!」
3名が痺れを切らし、動いた瞬間!
ぱっくん。
「え?」
驚くルンルン。
再び3人が消えたのだ!
消えた3人組の足下には、デカいミミッコが三匹。
モゴモゴ×3
オエエエエエッ×3
そしてマッパで吐き出される3人組。
ミミッコ、容赦無しである。
……ひいいいいいっ……×3
白昼堂々のマッパである。
……ケケケケケッ……×3
笑いながら走り去るミミッコ。
「待てっ!装備!パンツかえしてぇ!」
……ケケケケケッ……×3
……おい、見ろよ……
……ああ、西区のクライマーズか?……
……ミミッコ、東区で大活躍だな……
「やり過ぎだろう、ミミッコ達」
そう呟き、哀れみの眼で3人を見るルンルン。
ミミッコは東区で愛されているのだ。
街の清掃、警備。
商店街のおばちゃん達は、ミミッコに声を掛ける。
……あんたら働き者だねぇ、いつもゴミばかり食べてイヤじゃないかい?……
そう言って残り物だけど、と、売れ残りの野菜とか果物、賞味期限、消費期限ギリギリの食べ物を与える。
時には新作を惜しみもなく与えるケーキ屋さん、パン屋さん。
……いつも残り物や、失敗作ですまないな、これは自慢の新作だ!……
水場では、泥だらけのミミッコに水を掛けて洗う子供たち。
まぁこれは一緒に水遊びか?
そう、ミミッコは子守りもするのだ。
ミミッコは成長する。
賢くなる。
危険を判断し、予測する。
そして受けた恩は忘れない。
ではなぜそんなミミッコは自分達の世界に帰らなかったのか?
バンブの召喚魔法で呼び出されたミミッコ。
こちらの世界が余程気に入ったのか?
まぁ、居心地がいいのであろう。
そんなミミッコを一瞥し、ユトランは走る。
(確かにいた!)
焦り始めるユトラン。
クライマーズ48のリーダーの気性を知っているからだ。
自己中心的で残虐な人間。
自分以外は道具と見ているのでは?
バンブと出会ってからは、元リーダーの利己性が更に目立った。
「いない?……あ!?」
路地裏で動く影。
走り出すユトラン。
「ユトさま!」
罠だ!
(なぜすぐに、止めなかった!)
ミミッコ達に気を取られ、行動が1テンポ遅れたのだ!
気づいた時には遅い、世の中のあるあるだ。
後悔が押し寄せる。
次回サブタイトルは未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




