第六一話 6日目・ドリオンの塔 ユトランの実力
今晩は。
投稿です。
「え?ですが」
空かさず割り込むルンルン!
「電車のロック、知っているだろう?ユトさまはロックの友人でね」
「あ、あのロックさまの?」
そう、ロックは有名人である。
プラス、イケメンさん。
「ああ、アイツなら器用だし、修理できるんじゃないのかな、金は払う正規の値段でかまわん」
「私が払おう、壊したのは私だ」
しかし、ルンルンの方が早かった。
さっ、と硬貨を握らせる。
「これでいいか?プロテクターが欲しい、ユトさま用だランクはS、案内を頼む」
もはやレインはいないことになっている。
「ではこちらに」
足早にその場を去ろうとするユトランとルンルン。
ルンルンは思った。
(こんなヤツとパイプができたら大変だ、バン様に怒られる!)
「待て!謝罪したい」
振り向いたユトランが一言告げる。
「今後、バンお兄ちゃんの許可なく騎士団と会話することはありません、では」
キッパリと言ってのけるユトラン。
もう以前のユトランはいないのだ。
「なんだと……」
再び怒りが込み上げてくるレイン。
「ご案内します、こちらです」
「ユトさま、強くおなりですね」
「そうかなぁ?」
「そうですよ」
感心するルンルン。
「ただ……バンお兄ちゃんのこと考えると、行動が決まってくるの」
「バン様の?行動が決るとは?」
「うん、ユトラン、いつもバンお兄ちゃんに嫌われない行動、喜んでくれる行動を考えているの」
(それが強さの秘訣か?ユトさま、それはもう戦士の妻の心得ですよ)
「きっとバン様もユトさまに嫌われない行動、喜んでくれる行動を考えていますよ」
「!……だったら嬉しいな」
(私を無視しただと?この私を!)
かわいさ余って憎さ百倍、ユトランへの気持ちがぐるり、と反転するレイン。
(斬る)
一瞬過ぎる殺気。
衝動を抑えきれず、自然と手が剣に伸びる。
「!?」
剣を掴もうとする己が右腕を見て、固まるレイン。
息をするのも忘れ、右腕を凝視する。
傷跡がないのだ!
あの消えない傷痕が消えているのだ!
(ばかな……鏡、鏡っ!鏡はどこだ!?)
商品であろう壁掛けの鏡。
そのやや大きめの鏡に映るレイン。
「……首の傷も……頬の傷もない……」
横腹を斬られた痕も、額の傷痕もない。
……むっほむっほ……
「!?」
……不満か?……
……消えたら消えたで不満か?……
……むっほ、人とは難しい存在よのう……
「……なにヤツ……」
声だけで気配がない。
……戦いの思い出の傷……
……傷痕は戦士の誇りでもあり、屈辱でもあるか?……
……むっほ、その傷痕を作っているのはお前自身じゃ……
「自ら傷痕を望だと?有り得ん!」
……どんなに白魔道士が傷痕を消しても、お前が復活させるのじゃ……
……むっほ、罪悪感か?それとも強者を倒した誇りか……
……傷痕を望むならば復活するぞ……
「……そうなのか?」
……むっほ、ストライプのネッコを思う気持ち、それ以上の感情があれば、だが……
……お前はネッコ以下じゃ……
……そうそう、とばっちりでたまたま治っただけ……
「ストライプ?クライマーズ49のことか?」
……感情の上書きじゃ……
……ストライプの他者を思う気持ち、感情、その強さ、思い知るがよい……
「……誰だ?……!?」
一瞬だけ鏡に映る小さなおじさん達。
「!!!!!!!!!」
だが、レインの眼には何か別のモノに見えたようである。
青ざめる騎士団長ナルオーエル・レイン。
「……ユトラン……今のは……鬼神か?……」
今回はここまでです。
次回サブタイトルは未定です。
投稿も未定です。




