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ラインハトルの塔 (2026.6)  作者: MAYAKO


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66/70

第六十話 6日目・ドリオンの塔 パキ、それは悲しい音     

今晩は。

投稿です。


「クライマーズ70、なぜ仲間であるバンお兄ちゃんのお父さんを、助けなかったのですか?」

「!」


 驚いたのはルンルン。


(おいおい、直接聞くか?相手は騎士団、それも団長だぞ!不敬と見なされるぞ)


「お客様、店内ではお静かにお願い致します」


 キッチリと制服を着込んだ、メイド風の女性が止めに入った。

 ゴタゴタはお外へ、他のお客様に迷惑です。

 そう言っているようである。


「ご、ごめんなさい」


 素直に謝るユトラン。


「わりぃ、静かにするよ」


 ルンルンも謝る。

 お気に入りのお店でトラブルはゴメンである。

 しかしレインは違った。

 店員の言い方が気に入らない。


「ここでは話しもできないのか?」

「お話しでしたら、バルコニーか奥の食堂、茶室でお願い致します。今でしたら季節のケーキがございます」

「ユトさま、プロテクター見に行こう」

「え?でもユトランのネッコが……」


 とんでもなく悲しい顔をするユトラン。

 その表情をチラ見しながらも引かないレイン。


「騎士団にその物言いか?」

「ここは皆様のお店、特別待遇をお望みでしたら、他店か専用のお店へどうぞ」


 店員さんも引かない。

 いや、引けないのだ。

 相手が誰であろうと、みな同じお客様なのだ。

 客の身分によって態度を変えるな、オーナーの厳命である。

 そしてこの店員さん、自分の職務を全うし職場を守っているのだ。

 それはお客様を守ることに繋がると知っている。

 そう、彼女はプロフェッショナルなのだ。


「専用の店だと!?」


 かっ、と頭に血が上るレイン。

 その様子を見てルンルンはイヤな予感が走る。


(おいおい、騎士団、店員さん?落とし所はどこにするんだ?このままじゃ終んねぇぞ?)


 パキッ。


 手の中で小さな音がした。


「あ」


 声を上げたのはユトラン。


「……ユトランのネッコが……」


 ネコの置物はレインの手の中で割れていた。

 手を広げ、後悔するレイン。


(しまった、砕いたか)


 怒りにまかせ、割り、砕いてしまったのだ。


「す、すまん!わざとではない!」


 手のひらには、バラバラのネコの置物。

 それを見た瞬間、ユトランの本格高速詠唱が始まった!


「お、おいユトさま!?」


(置物に回復魔法は通用しないだろ!?)


 ルンルンは止めようとしたが、ユトランは止まらない。


(ユトランのネッコがっ!)


 店内全域に広がる神聖魔法!

 聞いたこともない不思議なメロディと歌声!

 そして漂う聖魔法の霊気!


 絶句するレイン。


(な、なんだ!?この高速詠唱は!?聞いたこともない言語と歌声のようになっているぞ!)


 ……え?……

 ……わっ!?……

 ……きゃっ!?……


 他の客達も癒やしの波動に触れ、言葉を失う!


「はぁ、はぁ、やっぱりダメか……しくしく……」

「ユトさま、そりゃ置物に回復魔法は効果ないよ、あれ遺伝子やホルモン、粒に干渉して治すんだろ?無機物には……」

「……うう、それでも……」


 レインは店員に頭を下げた。


(頃合いだ、これは私が悪い。だがユトランの力の片鱗を見ることができた、歌声になる高速詠唱か……)


「悪かった謝罪する、この置物は買わせてもらう」

「いえ、私も言葉が過ぎました、お客様に不快な思いを」


 と二人は話しながら、視線はユトランである。


((何者)ですの!?)

(しかし置物にこの魔法は無駄だな、魔力は高いかも知れないが、使い方を知らぬとは愚かだな。クライマーズ49とはいえ、所詮民間人か)


 冷ややかにユトランを見るレイン。


「お買い上げはよろしいです、こちらで処分致します」


「!!!!!!!!!!!」


 処分と聞いて泣き出すユトラン!


「……く、くださぁい……ううっ……捨てるの?捨ててしまうの?それならユトランに下さいっ!」


 今回はここまでです。

次回サブタイトルは 第六一話 6日目・ドリオンの塔 ユトランの実力 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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