第五九話 6日目・ドリオンの塔 49と70
今晩は。
投稿です。
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普段、敵味方男女問わず気に入れば、押し倒し、あーんなことやこーんなことをしまくる団長。
焦ることも戸惑うこともない傍若無人ぶり。
傲岸不遜!
なのだが!
「ホラーおねぇちゃん、知ってる人?」
「お、おねぇちゃん!?犬コロを姉と呼ぶのか!?」
その暴言を無視するルンルン。
「ユトさま、ちゃんと聞いていた?こちらはブンドル騎士団の団長サマだ」
「え?」
騎士団と聞いて、一歩下がるユトラン。
騎士団にはいい印象がない。バンブの影響だ。
70階を制覇した仲間であるバンブの父。
その家族を助けなかった騎士団。
騎士団とはなんぞや?バンブの考えがユトランに影響する。
困っているバンブの家族。
なぜ助けない?アドバイスとかしたのだろうか?
塔に登るだけの関係か?
バンブの父がどのような能力を持ち、70階制覇に貢献したかは知らない。
知らないが、仲間ではなかったのか?
ユトランはもう知っている。
パーティー、チームは補い合い、助け合うものだと。
利用するだけではない、思いやりや相手を思う気持ちがあれば、思いがけない力が湧くのだ。
騎士団とはカッコいい者達ではないのか?
目の前の団長を名乗る騎士は騎士の名に値するのか?
自然とユトランの眼が冷たくなっていく。
クライマーズ48のリーダーと、同じ臭いがしてきたのだ。
「おい、何故下がる?私は怖くないぞ!」
ユトランに警戒されたことに、軽いショックを受けるレイン。
そう、小さい子供や大抵の者達はレインを見ると後ろに下がる。
身体中に走る傷痕、鋭い眼、盛り上がった筋肉、フォルムは女性だがその冷たい吊り上がった眼に、皆恐怖を覚えるのだ。
特に目立つのが右腕の傷だ。
白魔道士が何度も傷を消しても、浮かび上がってくる傷痕。
それはまるで、戦いに敗れた死んでいった者達の恨みや呪詛の現れのよう。
「怖くはないのですが、バンお兄ちゃんが……」
(怖くない?ふん、口ではなんとでも言える!)
「バン?ああ、チキンキャロット家当主殿か?彼がどうした?」
ユトランは真っ直ぐな眼でレインを見る。
そして言い放つ!
「私はクライマーズ49、バンブパーティーの白魔道士ユトラン」
「!」
その堂々とした突然の口上に、虚を突かれるレイン。
ユトランの調査書は読んでいる。
幼少からかなり酷い目に遭っているようだ。
性格は素直、臆病とあったようだが、素直という言葉をレインは信じなかった。
これほどの目にあっていたら、素直どころではないであろう?
世の中を恨むか、憂うか、復讐心に満ちてもおかしくはない、そう思っていた。
まさに塔の犠牲者だ。
そして実際に会って驚く。
なんだこいつは?
ユトランの容姿、仕草、声、行動、全てがレインの心を直撃した。
前パーティーからは搾取され、ギルドからも奴隷扱いされていた少女。
(だがこの物言いはなんだ?堂々として、この私が一瞬圧倒されたぞ!このチビに!)
改めてユトランを見るレイン団長。
あ、コイツには嫌われたくない。
これがユトランに対する第一印象だ。
戦いで無情、非情、いや戦い外でも冷酷になれる騎士団団長が、ユトランに対しては感情が先に立った。
(まずい、どうしてもユトランが欲しい。欲しいんだが、それ以上にコイツに嫌われたくない!)
「おい、団長さん?ユトさまな名乗ったぜ?」
冷ややかにルンルンが告げる。
「あ……わ、私はブンドル騎士団、団長のレイン、クライマーズ70だ」
クライマーズ70を名乗り、幾分か落ち着きを取り戻すレイン。
(そう、今の私はこの時代、最高のクライマーズだ)
次回サブタイトルは 第六十話 6日目・ドリオンの塔 パキ、それは悲しい音 の予定です。
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