第四七話 5日目・ドリオンの塔 2階にて
今晩は。
投稿です。
「次は3階の階段ですか?」
「そうだが、ゴブリンは回収するか?」
「しなかったらどうなるんです?」
「放置しておくと、塔に飲み込まれる」
「え?」
「あ、表現が悪かったか、塔に吸い込まれるように消えていく」
「……それって本当にゴブリンなのですか?」
「見た目はゴブリンだ。マジックポーチに吸い込まれ、ギルド本部で受け取るときもゴブリンだ」
「でも、塔内で死体は残らないのですね?」
「そうだ。何故だか分からんし、だれも調べない」
「ギルマス、先急ぎましょう、3階は7番が近いかな?」
「ん?7番付近で交戦中か?」
赤い点と緑の点が対峙している。
「誰か分かるか?」
……道具屋が素材集めに登っています、クライマーズ3です……
「初心者?」
……はい……
「デテイさん!今のは?」
「ああ、これは指輪を通してギルド本部と話しが出来るんだ」
「凄いですね、念話の一種ですか?」
「多分な、これもポーチ同様一つの石から二以上のリングを作ると、塔内外で会話できるんだ、な?ギルドのフォローは大事だろ?」
「……これも昔から?」
「ああ、だがこれは数百年前に偶然見つけた技術らしいぞ」
「ギルマス、助けますか?」
「そうだな、ガクオン……バンブ、少し時間いいかな?」
「助けに行くんですか?」
「ああ、俺の所のギルドメンバーだしな」
「他のパーティーも見たいですね、行きましょう!」
昇降口7番の途中、ゴブリンの死体が3つあった。
「どうする?バンブ?」
「回収します、奪った命です最後まで責任を」
「……だよね、バンお兄ちゃん」
ユトランは小さな声で何か呟いた。
そしてポーチの口を開くと、ヒュン!と3体のゴブリンが吸い込まれていった。
(……どこかで見たことあるぞ、この光景……)
なにかが繋がるバンブ。
(ああ、ミミッコだ、ミミッコの吸い込む現象にそっくりだ)
「48、なにを呟いたのだ?」
ガクオンが尋ねる。
「え?ゴブリンにもゴブリンなりの事情があるのかなぁと」
「それで?」
「ユトラン、本当はバトル嫌いなんです、ですから力及ばず負けた者よ安らかれ、と」
「ほう、次は48かもしれないぞ?倒されるのが」
「そうですね、その時はユトラン、どう思うのかな?恨むのかな?呪うのかな?」
ここでギルマスのデテイが口を挟む。
「お優しいことで、さぁ見えてきたぞ道具屋3人とゴブリン7匹だ!」
「囲まれているな、バンブは48の護衛を、俺とギルマスで先制する!48!援護を!」
そう言い残し、3匹のゴブリンを瞬殺するガクオン!
……え?ギルマス!?……
……た、助かったぁ……
……なんでギルマスが!?……
ギルマスは2匹のゴブリンに深手を負わせ、道具屋の3人がトドメを刺す!
「残り2匹か」
バンブが魔槍を構える!それに気づくゴブリン。
が、バンブとユトランを見た瞬間、ゴブリンが態度を変えた。
大量のよだれを垂れ流し、爪と牙がグングンと伸び始める!
「あ、こいつらアブゴブリンだ!」
「なんです?アブゴブリンって?」
「アブノーマル・ゴブリン、子どもや女の子の好んで食べるド変態ゴブリンさ」
「……ユトラン、お祈りやめたら?」
「……バンお兄ちゃん、だからねユトランバトル嫌いなの!」
が、どういうワケか、アブゴブリンの視線はユトランではなくバンブである。
「え?僕の方なの!?」
シュッ!
ブゥン!
魔槍が唸るとアブゴブリンは斬られ、貫かれ、燃え尽き灰になった。
燃え残った爪と牙はマジックポーチに吸い込まれていく。
「おい!道具屋3人っ!」
怒号のギルマスデテイ。
……はい……
「逃げるのも選択肢の一つだ!」
……はい……
「お前ら死んでたぞ!」
……あ、誤射の白魔道士48だ……
「人の話を聞けっ!お前らはその48のパーティーに助けられたんだ!」
……頼んでねぇし……
……せっかくの獲物、横取りされたな……
「おい、きさまら、助かった、とか言ってただろ!」
ガクオンが凄む。
……酒に溺れた騎士団崩れが説教か……
……はいはい、助けていただき、ありがとうございましたぁ……
……行くぞ……
「さて我々も次に行くか」
「デテイさん、これでいいの?」
バンブが尋ねる。あいつら次は確実に死にますよ、という言葉はグッと抑える。
「こんなもんだろ、まぁ次はないな」
3階への階段を上りながら、悲しそうにデテイは呟いた。
次回サブタイトルは 第四八話 5日目・ドリオンの塔 3階にて の予定です。
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