第四四話 5日目・再び塔へ
今晩は。
投稿です。
「じゃ、ロックさん!あとよろしくお願いします!」
一言残し、離れを去るバンブ。
「おい!こら!バンブ!待てっ!」
チュイイイイイインッ!
ギーコーギーコー!
カンカンカンッ!
工作音が響き渡る。
これで塔の最上階まで行ける。
バンブは確信する。
あとは青い飛龍をどうやって倒すかだ。
ユトランの本格詠唱攻撃が決め手だろう。
そしてこの魔槍だ。
じっと魔槍を見つめるバンブ。
父親から譲り受けた唯一の槍。
(この槍は……!?)
「バンお兄ちゃん、考え事?」
「わっ!?ユトラン?」
槍に意識を集中していたので、かなり驚くバンブ。
「あのね、相談があるんだけど?」
「なんだい?」
「これ……」
ジャラジャラと音を立て、ユトランの小さなポケットから出てくる銀貨5枚。
「え?どうしたの!?」
「もらったの、その警備隊の人から」
「え?なんで?」
「いらないってユトラン言ったんだけど、どうしてもって」
「治療?」
「うん、それと温泉入浴料だって」
「温泉!?」
「すんごいよかったんだって!また入りたいって!」
「まぁ、我が家自慢の温泉だし」
「それでね、ユトラン思ったんだけど、温泉屋さんできないかな?」
「え?」
「バンお兄ちゃん、ユトランね塔攻略の後のこと考えたんだ」
これには驚くバンブ。
そんなこと、まったく考えていなかったのだ。
「銭湯だっけ?」
「そうそう、東区の名物にするの!食堂も作って、できれば宿泊施設も!」
(一応僕んち、貴族なんですけど。屋敷を開放して商売するのは多分、ダメでは)
と思いながらも、ユトランの言葉に耳を傾けるバンブ。
「バンお兄ちゃん!ゆくゆくはブンドルの街の名物に!どう?」
「商売か、いいね!」
「でしょ、でしょ!皆の癒やしの宿!」
「!……癒やしの宿……ちょっと気に入ったかも」
「ええ?ちょっと?沢山でしょう!そこは!」
そして二人は、今日も塔の前に立つ。
塔を観察していると、一人の屈強な人物が近寄ってきた。
「チキンキャロット家の当主殿か?俺はギルドマスターのデテイ、話がある」
「こっちにはないよ」
「こちらにはある、これ以上の厄介ゴトはごめんなんだ、話しを聞いてくれないか?」
「……厄介?まるで僕が仕掛けたような言い方だね?仕掛けたのはギルドの方なんだけど?」
「お前が一つ潰したせいで、どれだけ迷惑被ったか!」
「知るか、僕は……僕達は自分自身の身を守っただけだ。それとも黙って斬られろと?」
「提案がある」
提案?
その言葉にバンブは少しだけ興味を覚えた。
「どんな?」
「俺のギルドの最高装備を一式お前に貸し出す、塔に登ってみないか?」
「え?」
「塔に登れば、ギルドがクライマーズにとって、どれだけ大事な存在かが分かるはず!」
「おいおい、僕を馬鹿にしているの?塔に入った瞬間、僕を消そうと?」
明らかな罠だ、とバンブは決めつけた。
「そのような事はしない、ギルドはクライマーズにとって、良きパートナーであることを証明したい」
「塔内で消せば、魔物に襲われました、で済むからね。坊ちゃんの没落貴族でもそれくらい気づくよ」
と言いながらも、バンブは登ってみたいと考え始めていた。
次回サブタイトルは未定です。
投稿も未定です。
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